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はんぶん おえて。 緑の指と魔女の糸 「高尾山事変1」

2015-11-07 14:07:57 | 日記

今日で 四日目

あと二日 仕事が続く

今日は バスの台数が少なくて楽だったけど

明日は20台?

うわあ 怖い

でも 走り回っている方が 色々考えなくていいから

気持ち的には 楽かな …

それにしても 鎖骨の痛みが 和らぐどころか

次第に痛くなっているんだけど

放っておいて 本当に大丈夫なのかなあ

息をするだけで 痛いんだけどな …

レントゲンなり撮ってもらって

本当に骨が折れてたり ヒビが入っていたりするのを

この目で確認していないので 不安 …

今日は 肩の方まで 痛みが広がって … ヤダなあ …



今夜は キノコの肉巻き

豆腐と ワカメの味噌汁 納豆小鉢 サラダ 

そんなところかな


久しぶりに 小説描いたので 下げときます

ようやく 「高尾山」の話 

ちょっと 痛ーい話になります。




































緑の指と魔女の糸 「高尾山事変1」



町内の飲み会に誘われて、母さんは真っ青になっていた。

「そんなに緊張しないで下さいよ。軽~い顔合わせだと思って」

誘った猫平さんは、ニコニコしている。

「ここの商店街は、団結力が強いですから、一度は顔を出しておくべきですよ」

「はあ…、そうですか」

と云いつつ、母さんは次第に俯いてゆく…

わたし、七字 凛、5歳。この商店街の事は、友達の夏ちゃんから聞いていて、

実はもうとっくに、馴染み、親しんでいる。

外出を苦手とする母さんの代わりに、

「ついでだから…」と、わたしの保育園の送り迎えをしている夏ちゃんの母さんのお蔭。

帰り道に買い物もするので、どこのお店のおじさんの名前とかも覚えている。

いつも、コロッケを食べさせてくれる、親切なおばさんの名前も。

母さんとも、早く友達になって欲しいと思っていたよ。

それで、やっと、母さんは商店街の飲み会に参加することになったのだ。

「猫平さん、ずっと私のそばにいて下さい」

と、母さんは猫平さんにくっついたままだった。

でも、猫平さんは、うまく、私たちをみんなに紹介してくれ、

母さんは、消え入りそうな声で、「よろしくお願いします」と頭を下げたんだ。

「凜ちゃんのことは、もうみんな知っているからね」

と、コロッケ屋さんが云うと、

「ここでは、子供はみんなで育てるって気持ちが強いから、いつでも頼っていい」

と、夏ちゃんの母さんが云った。

「遠慮することは、ないんだよ。紫さん」

夏ちゃんの母さんは、ドンと、母さんの背中を叩いて笑った。

わたしの保育園の友達も沢山来ていて、とても楽しい時間が過ぎていった。

「あの、猫平さん」

その喧噪の中で、母さんがそっと、猫平さんに伝えたことがある。

「私と、凛。明日から、一週間程、出かけて留守にしますから、承知していてもらえますか」

「何処かに、行くんですか?」

「身内のいる、八王子に。…高尾山って、知ってますか」

「ああ、知ってますとも。子供の頃、遠足で行きました。駅に、大きな天狗のオブジェがある」

「そう、その山に行ってきます」

「そうですか。じゃあ、しばらく夏ちゃんは、凛ちゃんに会えないねえ」

「ええええ!? そんなあ!」

夏ちゃんが、落胆した。

「お土産に、木刀を買ってきてあげる。欲しかったんでしょ?」

わたしは、夏ちゃんに云った。

「そりゃ欲しいけどさ…、一週間も、なんで? 凜ちゃんも保育園休むの?」

母さんは、夏ちゃんに小さく、

「ごめんね」

とつぶやいて、お酒を一気にあおった。

まさか、その、「高尾山」で、あんなことが起こるなんて、



思いもしなかったよ … 。



そもそも、「高尾山」に行く理由が、わたしには判らなかった。

出発の日。

母さんは、いつもの緩い服を脱いで、なんか軍隊のような服装で準備を始めた。

「母さん、命はどうするの? おいてゆくの?」

「連れていきます。命を連れていかなきゃ、意味がない」

「高尾山に、なにをしに行くんですか?」

母さんは、ふと、いつもの優しい顏になった。

「貴女の、ひいおばあちゃんに会いにいくのよ」

「わたしの、ひいおばあちゃん … ?」

わたしは、思わず命をぎゅっと抱きしめた。「生きているんですか、その山で」

「私の祖母、白水さんは、高尾山の山伏です。山伏とは修験道を行じる行者の事のこと。

当山派、本山派、真言、天台、出羽三山… 」

ううう…

「…大峰、高尾山、立山、石鎚、熊野、白山…」

何かにとりつかれたかのように、母さんは続けた。

「… 富士山、日光、木曽御岳、など流派は様々ありますが、

各々の伝承に従って修行を行っているの。

うちの流派は特別で、何にも属さない。…祖母は、ずっと、その山で、

うちの流派を護って生きている人よ」

「母さん…、わたし、怖いです…」

「凛 …」

母さんは、そっと私と、命の頭を撫ぜた。

「怖くても、避けては通れない道があるのよ。貴女は、その山で …」

しばらく、間があった。「本当に怖い想いをするかも知れない。でも」

わたしの顔を覗き込む。「その為に、命がいる。安心なさい」

「こんな小さな命に、頼れと云うのですか?」

「その子は、お守りのようなものです。貴女が傷つくことにはしないから、

疑問に思ったこと、理不尽に感じたこと、悩みや、迷いを、貴女は貴女なりに、解決すること」

母さんは、意を決したように、云った。

「私は、駒をひとつ、進めたい」

そして、大きなリュックを担いで、笑ったのだった。

「さあ、行くよ、凛、命! 」



緑の指と魔女の糸 「高尾山事変2」に続く。




































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