ぽせいどんの今日の一枚 +

写真とかCGとかを気ままに + DIY

沖縄不安ダイブ & Cカード取得ツアー 1993秋 その9

2021-11-30 13:20:11 | 写真 海

                                   ニ十九日   

  三日目ともなると多少の疲労が出て来た。
 少々風気味のうえにエアコンをつけっぱなしで眠り込んだのがいけなかった。食欲もあまり無い。
 本日はパン食とした。一口サイズのロールパンを三個。サラダ少々。珈琲二杯。ダイエットメニューだ。
 「今日は多めに持って行きますよ」T 村は早々に生卵を確保している。
 「では、私も」と丸ポチャと架純。こちらはロールパンを紙ナプキンに包んでいる。
 「どうして今日は一時間早いのかしら?」
 「夕刻の飛行機で帰る奴がいるのだろう」
 「そんなことしていいの?」
 「私は絶対にいたしません」

 「今日、カメラを貸してください」
 「いいけれどフラッシュは無いからな。明るいところで撮れ。それから水深が深くなると殆ど青の世界になるからその心算でな」
 「明るくても色が出ないのですか?」
 「赤系統の光は届かないんだ。学科でやっただろう。まあ、自分で撮ったてのが嬉しいんだよな。タイトルを『グレート・ブルー』とでもしておけ」
 ニコノイス-Vにフィルムを詰めてT 村に渡した。
 ネクサスは今回に限りネガカラーを詰めた。記念写真用だからこれでいい。

               泊港
  セッティング。
 「今日の機材、昨日と違うんですよ」
 「大差は無いだろう」
 「BCジャケットにポケットが無いんです。カメラもゆで卵も入れるところがありません」
 「卵はどちらかに預ければいいだろう。カメラは落とさないようにしっかり持っていろ」
 
 本日のボートは大人数故に講習組がセントモアモア。十五名はもう燥いでいる。
 我々はオープンデッキのルックⅢ。小型艇だ。チービシは近距離であるからこの艇でも充分である。
 イントラのKOが乗船の注意を述べている。それが終わるのを待って立ち上がった。
 「どうでしたか、昨日の試験の結果は?」
 「まだ発表していないのですが全員合格です。女性が一人満点で最低が八十点です」
 「補講をやった甲斐があったな。それから一本目に去年と同じように連中の写真を撮りに行きますので宜しく」
 「分かりました」
 K 田がセッティングを始めた。タンクにファーストステージを取り付けてレギュレターの調子を視ている。
 首を傾げながらパージ釦を何度も押している。
 座り込んでマウスピースに棒を突き刺して穿りかえした。
 細い透明のプラスチック片のような物が出て来た。
 K 田はさらに作業を続けた。黒っぽいもの?。・・・・・・椎茸?。
 「それ、昨日の昼飯ですよ。椎茸の天ぷらもありましたから」とT 村。
 透明のプラスチック片のようなものは昨日のすき焼きの白滝だった。
 連日、レギを咥えたまま嘔吐したのだ。・・・・・・『犯人はイトウだ』
 「これだからレンタルは・・・T 村、お前にあたらなくて良かったな」
 「ええ、でもこれだけ詰まってて苦しく無かったんですかね」
 「いやーね。スクール生だってレギを口から離して吐くわ」とK 田。
 妹に弟子入りをすべきだイトウは。

 ※自分の機材を持たずにレンタルで賄っている諸兄。
  「チェックは必要以上に念入りに」

  ルックⅢが先に出航した。セントモアモアがその後をついて来る。
 賑やかそうだ。船尾に立って嘔吐の真似をした。
 船酔いの懸念がある者はこれを視て多少の不安に陥るはずだ。
 しかし、距離がある。誰も視ていないかもしれない。だったら間抜けだ私は。
 艇の上にはスタッフと我々以外には中年グループが一組と単独参加の二十代の男。MX-10を持っている。

               五本目 チービシ ナガンヌ北

  懐かしい砂州が近づいて来た。一年半前のことが甦って来た。
 「ぽーさん。懐かしいでしょう」とシマ。
 「まあね」感慨に耽っていた私はあっさりと答えた。
 アンカーリング。セントモアモアも五十メートルほど離れてアンカーリングをした。
 「シュノーケーリングをします」シマがいつもの調子で言った。
 「T 村!。バックロールをしてみろ」
 「エッ!。バックロールですか?」
 「お前はその経験が無いからな。よそで恥をかかないためにもここでやっておけ」
 「よし、T 村、ここに来い」シマが偉そうに呼んだ。あれこれレクチャー。
 水音。飛沫。及第とは言い難い。
 「よーし、もう一度やってみろ」私が叫んだ。
 「マスクを押さえなきゃ。もう少ししっかりと」とシマ。
 T 村をシマに託してタンクを背負った。
 「先に行きますか?。その方がいいかもしれないな」
 シマに送り出されて水面移動でセントモアモアを目指した。

 セントの潜行ロープに掴まって待っていた。しかし、なかなかエントリーする様子が無い。
 微かなエア漏れの音。?。またインフレットからか。
 乗船。セントのスイミングステップ。ネクサスを置きBCを脱いだ。
 「どうして一人でここにいるの?」頭上から声がした。艇長だった。迷子になったと思ったのだろう。
 「その連中は私が連れて来たんですよ。写真を撮ってやろうと思ってね」納得したようだ。
 ファーストステージを装着しなおした。再び潜行ロープへ。
 暫く待った。漸くエントリーしてきた。最初はT 大女子部隊だった。・
 黙って視ているとどんどん流されて行く。
 「おい、ロープに掴まれ。そのままじゃ遥か彼方に行っちゃうぞ」
 先に潜行して待つことにした。コンパスでルックⅢの方向を確認・記憶。
 潜行。水深は六メートル。多少の流れがあった。透明度は今回最高だ。
 海底に仰向けになった。しばしバブルリングを作って遊んでいた。
 潜行が始まった。すんなり沈んで来る者もいれば苦労している者もいる。
 誰がどうだったかは記さずにおこう。本当の私は心優しいのだ。

 まず、手近の一人に近寄って行った。マスクを着けているのでよほど近寄らないと誰かは分からない・・・?。
 愁いを含んだ美少女。あるいは困ったような顔をしていると言われているTK嬢だ。
 『うーむ!。水中でも困った様な顔はやはり変わらない。カメラを向けると両手でVサイン。




 次の二人はKS女子大。名前は・・・まだ憶えていなかった。
 『水中ではアクセサリーは不要だよ』やはり二人ともVサイン。他に考え付かないのか。


 四番手は小柄だ。NHピグモン嬢に違いない。近寄ってみるとやはりそうだった。右手でVサイン。
 私と並ぶと親子同然?。『向こうが嫌がるか』 


 次は・・・またまた細かい。KS女子大のピグモンだ。しかしこの娘は落ち着いている。
 カメラに向かってゆっくりと自分から近寄って来る。右手をサムアップ。
 『もう浮上するのかい』



 どん尻は大歩危KB嬢だ。(これは私が言ったのではなく学内でそう呼ばれていた)
 両手でサムアップ。笑顔を作る余裕さえある。他よりも泳力が乏しいので心配していたが大丈夫そうだ。


 少し距離を取り全体を写す。残すは野郎ども九名のみ。

 待つことしばし、やっと野郎どもが潜行してきた。


 最初は滑って転んだW辺だ。どうにか中性浮力は取れている。こいつは大丈夫だ。

 二番手はK野ともう一人、『誰だこいつは?』
 全員マスクを着けているのでさながらマスカレード(仮面舞踏会)だ。 
 全く判らない。まあよい。とりあえず撮影。


 次はS口。私と御宿で体験ダイブ済。『どうだ耳は抜けたのか?』


 『S 谷、お前も耳は抜けたのか?』撮影。
 他の連中は手間取っている。『早くしろ』
 K野が私の前に泳いできた。『いくらアピールしても一人一枚だ』
 海面を見上げるとまともに潜行できない者が一人いた。バランスが全く取れていない。
 『誰だ?。大丈夫かこいつは』


 どうにか全員潜行。イントラのKOが集合をかけた。距離を取り大勢を写す。
 まだ半数の個人撮影が残っていた。一区切りするのを待った。その間に魚を数カット。
 再び近寄るとウェイトの脱着をしていた。しばし眺めていた。
 バランスを取れずに苦労している者も数人いた。『頑張れよ』



 他人のそれを視ているのはなかなか面白い。T 村が一緒にいれば喜ぶに違いない。
 どうにか全員終了。次はBCの脱着だ。『多少の流れがあるから辛いぞ』


 バランスが取れずにサポートのイントラ見習いに支えられているのは誰だ?
 九人が並んでいると本当に誰が誰だか判らない。
 潜行時にもたついていた憶えのあるウェットスーツ。手招きして撮影。
 後は適当に数人ずつ撮影しておしまい。

 残圧は充分だった。ファンダイブの方へ合流しようかと思ったがどこにいるかは判らない。
 一人、勝手気ままに潜行を続けることにした。魚の姿を追って移動。
 ハリセンボンがいた。刺激しなければ膨らまない。なかなか素早い。珊瑚の下に逃げた。
 さてどうするか?。片手がネクサスで塞がっているから無理はすまい。

 潜水時間が一時間を越えた。フィルムも使い切っていた。
 そろそろシマが心配するころだろう。コンパスで方向確認。ルックⅢを目指した。
 人影・・・シマと二人だった。エア消費量の多いT 村は既にエキジットしたのだろう。合流。
 「撮影は済んだのか?」とジェスチャーでシマが訊いた。
 「OK」
 架純を手招き。水中で仰向けになった。バブルリング。黒島と異なり流れは緩い。数回つづけた。
 シマが『遊んでいないで早く移動しろ』と促がす。エキジット。

 
 

 つ づ く

   ※掲載順位がランダムなのでダイビング記事の目次を作りました。
   年代順となってます。

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