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先端技術とその周辺

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カミカゼ・ドローンは、無敵空軍爆撃機

2021年04月10日 13時35分47秒 | 日記

ニューズウィークが、『カミカゼ・ドローンで戦況は一変 米軍「最強」の座も危うい』という紹介記事を載せていた。攻撃ドローンを打ち落とすのは至難の業。価格も安いから、たくさん飛ばせば、べらぼうな攻撃力が出て、しかも打ち落としにくいというから、恐ろしい時代になったものだ。

アゼルバイジャンの戦争パレードで披露された無人機(2020年12月) Aziz Karimov -REUTERS

<昨年のナゴルノカラバフ紛争では安価な戦闘用ドローンが大活躍。莫大な軍事力がなくても大国相手に戦える時代に>

現代の戦争では、敵軍を追跡し、殺すことがかつてないほど容易に、しかも安くできるようになった──これが昨年秋、ナゴルノカラバフ地域を実効支配していたアルメニアと、アゼルバイジャンの間で起きた紛争で、米軍の戦略家たちに突き付けられた現実だった。

アゼルバイジャンが市販のトルコ製ドローンや自爆攻撃を仕掛ける「カミカゼ・ドローン」を使って、アルメニアに勝利したのだ。

今や、安価な戦闘用ドローンが世界中の戦場を飛び交っている。そう遠くない将来、警戒心のない兵士がトイレに行こうとちょっと持ち場を離れただけで、一瞬にして空から仕留められるようになるかもしれない。

「映像を見ると戦車や大砲、部隊が、いずれも無人航空機から攻撃されている様子が分かる」。そう語るのは、5月に退役する米陸軍・非対称戦連隊長のスコット・ショー大佐だ。

アゼルバイジャンがアルメニアを完敗させたことで明らかになったのは、今は比較的貧しい国でも、立派な「空軍」部隊をほとんど市販で買えるということだ。「この紛争で、資金の豊富でない国でも複合的な戦力を用いて戦えることがはっきりした」と、ショーは言う。

「アメリカやロシアのようになる必要はない。複合的な戦力で紛争を戦うのに必要な資金は、従来考えられてきたよりも安い。米空軍のように卓越した訓練や突出した能力がなくても、局所的な対空戦や、空中戦はできる」

昨年9月末から6週間に及んだ紛争で、アゼルバイジャンはトルコ製の滞空型無人戦闘機「バイラクタルTB2」や、ターゲットを見つけると突っ込んでいくイスラエル製の自爆型ドローンを投入。これによって戦闘エリアを避けつつ、アルメニアの装甲部隊や、前線に行き着く前の後方支援部隊を駆逐していった。

アゼルバイジャンが紛争地域で占領地を拡大し、同国軍がアルメニアの輸送隊や弾薬庫を破壊するプロパガンダ映像が出回るにつれ、従来とは違う新しい軍事的アプローチが浮き彫りになっていった。

紛争終結を迎える頃にはアゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領が、破壊または獲得したアルメニア軍の装備として、250台近い戦車、歩兵戦闘車50台、ロシア製のミサイル防衛システム「S300」4台、トラック198台、自走砲17台などを列挙した。またアリエフは昨年10月時点で、トルコ製のドローンのおかげで総額10億ドル以上に相当するアルメニア軍装備を破壊できたと述べていた。

アメリカは消耗戦に備えよ

ドローンによる空爆で破壊されたナゴルノカラバフの道路や車 BRENDAN HOFFMAN/GETTY IMAGES


もっとも、その数字がどこまで真実を示しているのかは分からない。ネット上には、膨大な量の偽情報が飛び交っているからだ。

また専門家たちの目にも、ドローンが攻撃と防御のどちらかに決定的な優位性をもたらすか否かははっきりしない。

ナゴルノカラバフの紛争が示しているのは、イラク戦争開戦直後の「衝撃と畏怖」作戦のように、米軍が圧倒的な爆撃による攻撃に頼る時代は終わりつつあることなのかもしれない。そうした作戦よりも、アメリカはかつての消耗戦のような泥沼の戦いに備えるべきだろう。

「米軍には、自分たちは一点集中型の攻撃と軍事力による『衝撃と畏怖』が敵に影響を及ぼし得るという思い込みが今もある。実際はそうではないのに」。米海軍分析センターの上級科学研究員であるマイケル・コフマンは、将来の戦争に備える上での現在の米陸軍の発想をそう語る。

一方で現実は、ドローンのような機械の自動操作による戦い方が空以外の戦場にも広まっていく可能性が高い。歩兵部隊の将校であるショーは、今後はより弱小な軍がアメリカに倣って、地上や海上に無人の車両や船舶を配備していくと予想する。

「空でできることは地上でも、ひいては海上でもできるようになる」とショーは言う。「これらの無人システムは安価だから今後どんどん広まっていくだろうし、小型化も進んでいくだろう」

米国防総省の計画立案者たちは、既にその方向で動いている。マーク・エスパー前国防長官は、ドナルド・トランプ前大統領が掲げた米海軍増強案「355隻体制」を達成するため、無人船舶の研究と設計に多額の資金を投じた。バイデン政権が艦隊の規模と構成についてどう構想しているかはまだ不明だが、海軍と海兵隊は今年3月、無人システムの活用に向けた工程表を発表した。

こうしたなか、無人航空機はその殺傷能力を増しつつある。ショーは、ドローンは今後ますます「破壊的なパンチ力を持つ空飛ぶ武装車両」のようになっていくだろうと指摘する。

ドローンを破壊するのが難しくなっていく一方で、戦場監視システムもまた安価になりつつある。つまり、地上部隊の殺害はこれまで以上に容易になる可能性がある。長年迷彩柄のフェイスペイント一辺倒だった米陸軍も、今後は敵に見つかって殺されないようにするための新たな方法を考えなければならない。

これがアメリカ式の機動戦にとって新たな課題となっている。ロシアなどがレーダー機能を大幅に向上させているため、20年にわたりイラクやアフガニスタンで戦ってきた米軍にとっては標準的な交信手段のFM通信でさえ再考が必要だ。

 

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