日韓トンネル構想は戦前からあったということで、最近でも大林建設が1980年代に打ち立てているという。ルートは概ね戦前の弾丸列車計画時のものと同じで、佐賀県の東松浦半島から壱岐、対馬を経て釜山または巨済島へ至る構想であり、全長は約220km。道路(自動車道)と鉄道(磁気浮上式鉄道か新幹線)の併設を前提にしているようである。工法については海底を掘削するのではなく、コンクリート製のケーソンを一定の深度に並べて構成する沈埋トンネル方式が提案されている。
ということで、全く要望のない話ではないようだが、韓国の意欲はどうなんだろう。
日韓トンネルのイメージ(国際ハイウェイ財団提供)
韓国から対馬・壱岐を経由して九州へ至る「日韓トンネル」構想について、西南学院大の野田順康(としやす)教授(開発論)が利用・収支予測をまとめた。物流は年間営業利益を2253億円と試算。旅客は試算から外したが、「日帰り圏が韓国南部と九州・中国地方に形成され、新たな観光需要が期待される」とした。
野田教授は元国土交通省国土計画局総合計画課長。日韓トンネルの検討もしたという。今回は日韓トンネル実現九州連絡協議会などから調査依頼を受けた。
2020年着工、30年供用開始と想定し、総貨物輸送量を韓国、ロシア、中国との間の輸送実績から推計した。国交のない北朝鮮は韓国との人口比などを基に算出。これに英仏海峡トンネルの利用状況を反映させ、3276万トン、655万TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個)とはじいた。
この量を運ぶには鉄道18万両が必要となる。1両当たりの通行料金は英仏トンネルが約45万円のため、距離に比例し約5倍の225万円と設定。年間収入は4095億円、営業利益は英仏トンネルの利益率を適用し2253億円とそれぞれ見込んだ。
建設に向けた資金調達と返済の方法も検討した。建設費を10兆円と想定。このうち4兆円を出資で賄い、着工3年後と6年後にそれぞれ3兆円ずつ融資(利率1%)を受けることで確保する。30年の供用開始から元利均等償還すれば35~50年後に完済すると予想した。
野田教授は「東アジアの平和と安定が実現し、十分な出資とソフトローン(貸し付け条件の緩やかな借款)が供給されれば実現可能」としている。
日韓トンネルは戦前から構想があり、1980年には大林組がユーラシア・ドライブウェイ構想の一環として提唱。現在は国際ハイウェイ財団(東京)が対馬、壱岐、佐賀県唐津の3市内で調査用斜坑工事を進めている。
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