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温暖化で20億人洪水被災 過去20年、世界の豪雨深刻 「想定外」への備え急務

2020年07月28日 08時42分30秒 | 日記

日経が、『温暖化で20億人洪水被災 過去20年、世界の豪雨深刻「想定外」への備え急務』という記事を載せていたが、世界的規模で豪雨が起きているとは。同根の特に後進国や大国で行われている国土開発も、異常気象に輪をかけるとともに、備瀬いびつを拡散してしまい、新型コロナウィルスなどの厄介な微生物の攪拌を引き起こしたのだろう。この記事の結論も、防災の観点からの対策と、原点良かった温暖化抑止ノp対策の検討が必要と説く。

洪水のため冠水した中国安徽省の街(20日)=新華社・AP

洪水のため冠水した中国安徽省の街(20日)=新華社・AP

世界で豪雨や洪水が深刻な被害をもたらしている。背景にあるのが地球温暖化に伴う気候変動だ。国連によると1998年からの20年間で世界の洪水被災者は20億人に達した。温暖化の影響が既に表れ、今後も気温上昇は続くとみる専門家は多い。大きな自然災害は、もはや珍しくはない。新たな日常を生きる備えが問われる。

中国では7月も雨が降り続き、6月以降の雨量はここ60年近くで最大となった。長江流域の数十の河川で観測史上最高水位を記録。濁流が街をのみ込み、取り残された人々がヘリコプターの救助を待つ。約4000万人が被災し、経済損失は1兆円を超えた。長江中流にある世界最大級の三峡ダムでも水位上昇への警戒感が強まっている。習近平国家主席は豪雨被害に「状況は厳しい」と漏らした。

 

 

インドやパキスタンなど南アジアでも、19年7~10月の大雨で2300人以上が死亡した。アフリカや欧州では、ほとんど経験したことのないような豪雨で被害が出ている。

こうした洪水が「一過性」ではないのは明らかだ。国連防災機関が自然災害の発生件数をまとめた統計によると、98~17年は洪水が最多の3148件。台風などを含めると水害関連が全体の7割を占めた。別の統計でも洪水の件数が19年までの直近10年で毎年150件前後に達し、80年代の50件前後から大幅に増えた。

 

 

洪水などの被害は今後さらに増えると国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は警鐘を鳴らす。元凶は温暖化だ。既に産業革命前から世界の気温は約1度上がり、今も上昇を続ける。

九州大学の川村隆一教授は「温暖化で気温が高くなると海面から盛んに蒸発し、大気中の水蒸気量が増えて大雨が降る」と話す。

豪雨や洪水の発生度合いは30~40年前とは違う。変化を最も実感できる国の一つに日本がある。気象庁のデータでは、国内で「滝のように降る」とされる1時間雨量が50ミリ以上の雨の平均年間発生回数が、10~19年は統計を取り始めた76~85年の約1.4倍に増えた。

ここ最近も梅雨前線が九州を中心に予想外の大雨を降らした。気象庁の関田康雄長官は15日、「予想を超える雨量となった。われわれの実力不足だ。(予測の)技術開発を進める」と語った。

温暖化の影響は人々の想像を超える勢いで広がっている。それでも、新しい研究や技術の進化でやれることはある。大切なのは従来の延長線上ではなく、これまでの前提を見直すことだ。

全米で浸水被害の恐れがある物件の数は、米連邦政府想定の1.7倍に達する――。世界中の洪水研究者や科学者と共同で洪水予測技術を開発する米非営利団体、ファースト・ストリート財団は新事実を突き止めた。

 

 

IPCCなどの新しい研究を踏まえ、「豪雨」や「洪水」「高潮」「海面のうねり」などの影響を予測に取り入れた。将来に起こり得る気候変動を見すえ、浸水のリスクを再評価した結果は「1460万の物件が危険にさらされる」。米連邦政府所管の機関が想定する870万件を上回った。

最新の予測に基づく分析は新たなリスクを浮かび上がらせた。手に入るデータが増えても、解析や更新を怠れば天災ではなく人災を招く。同財団は「最も重要な資産である家を守るため、可能な限り多くのデータと情報を提供し、人々の意思決定を助ける」とリスク開示の意義を語る。

これからの時代は、堤防やダムのような対策から情報の伝達や避難計画、居住地の選択まで、すべてが新しい前提の下で見直しを迫られる。

九州大学の島谷幸宏教授は「従来はダムありきで被害ゼロを目指した。今後は人が住む場所を根本から見直すなど、被害をいかに抑えるかという発想も必要になる」と指摘する。ハード・ソフト両面からの総合対策が欠かせない。

総力戦は温暖化対策でも同じだ。新型コロナウイルスの感染拡大は、経済活動の自粛と引き換えに世界の温暖化ガスの排出を減らした。20年はエネルギー関連の温暖化ガスが前年比8%減るとの試算もある。温暖化対策でも、かつての日常に戻るだけでは不十分だ。再生可能エネルギーの活用や省エネの徹底で、「グリーン復興」による新しい日常をつくることが急務だ。

温暖化が引き起こす気候変動は一国で解決できる問題ではない。最新の知見や技術を世界で共有し、「想定外」としてきた災害に個人や企業、行政が一体となって取り組むことが必要となる。