日経ビジネスによると、トヨタ自動車がSUV(多目的スポーツ車)「RAV4」のプラグインハイブリッド車(PHV)の国内受注を発売から約3週間で停止した。消費税込みで469万~539万円と決して安くない車両価格にもかかわらず、月販300台という販売目標を上回った受注に年度内は電池の生産が追いつかないというのが理由だ。

話はそれるが、Clicc Car10thという自動車専門サイトが、プリウスなどのHV, PHV車のバッテリーの進化を調査し、電圧(V)、電力量(kWh)、容積(L)、重量(kg)、セル数を掲載していた。以下はプリウスに関するものである。充電時間や持続時間あるいは価格はそう改善されていないという。そして、駆動バッテリーはLi電池かと思ったら、今まではニッケル水素電池であるという。

初代(前期)ニッケル水素電池:288V 1.8kWh 95L 74kg 240セル
2代目・3代目ニッケル水素電池:202V 1.3kWh 37L 39kg 168セル
4代目ニッケル水素電池:202V 1.3kWh 35L 40kg 168セル
4代目リチウムイオン電池:207V 0.8kWh 30L 25kg 56セル

因みにプリウスのPHVは、Li電池で電力量は88KwHで、車の値段もプリウスの倍はしている。HV,PHV,EVが値段が高く中々普及しないのは偏にバッテリーの課題であったのがわかった。HV車が同じクラスのガソリン車に比べておおむね2割くらい高いのはどうかならないかと思っていたが、バッテリーの現状を考えると致し方ないであろう。それにしても、最初に燃費がガソリン車の倍はよいHVを提供したトヨタ、そして、ガソリンエンジンで電力を起こしてモーターで駆動させ、燃費もHVと同等のe-Powerを提供した日産の技術はもっと声を大にして世界に宣伝した方が良いのでは?

いかは、日経ビジネスのトヨタRAVのPHV車に関する記事::::::::::::::::::::::::::
発売から3週間で受注停止になったRAV4のプラグインハイブリッドシステム

 RAV4のPHVは欧米などでの発売やスズキへのOEM(相手先ブランドによる生産)供給も予定しているが、電気自動車(EV)をはじめとする電動車の需要に対し電池の供給能力という壁が改めて立ちはだかったといえる。

 RAV4のPHVの電池の生産を担うのは、トヨタとパナソニックが車両電動化の拡大に向け、4月に新設したプライム プラネット エナジー&ソリューションズ(東京・中央)だ。ハイブリッド車(HV)だけでなく。より大容量のEV向け電池の生産も視野に入れた会社だ。RAV4向けの電池を作っている姫路工場(兵庫県姫路市)はもともとパナソニックの液晶パネル工場で、昨年11月に車載電池の生産を開始している。車載電池の工場としては、これから成長していく工場といっていい。

 米系調査会社アーサー・ディ・リトル・ジャパンによると、新型コロナウイルスの影響が収まってくると想定する2026年以降ではEV、PHVともに年率で前年比11%増のペースで世界的に生産が伸びていくと推測している。欧州や中国で強化される自動車の環境規制が追い風になるとの見立てだ。

 しかし、ある国内証券アナリストは「液体を使った現在の電池をこれ以上いじっても性能は向上しない。トヨタが開発している全固体電池を搭載した市販車も2030年までに出てくればいいレベル。EVの普及というより、当面の現実解はHV」と話す。HVより大容量のバッテリーを積み、電気での航続距離を伸ばしたPHVは現実解の1つに当てはまるだろう。

 こうした状況下で、トヨタは長年手を携えてきたパナソニックだけでなく、中国の車載電池世界最大手、中国・寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)、日本勢でもGSユアサ、東芝などとの全方位外交に19年6月に舵(かじ)を切った。「電池は自分たちで手の内化した技術だが、必要な量を全て自分たちでまかなえるとは思っていない」(トヨタの寺師茂樹副社長、当時、現取締役)。この発表の際、トヨタは車両電動化のスピードが従来の想定より5年早く進んでいることを認めている。

 スズキへのOEMが示すように、トヨタは電動化で他の自動車メーカーから頼られる側だ。全世界での規制に対応して電池の量を確保していくには、パナソニックと二人三脚で取り組んできた従来の枠組みだけでは難しい。今回のRAV4の電池不足も避けては通れない道だったのかもしれない。

 世界に目をやれば、時価総額でトヨタを上回ったEVメーカーの米テスラは長持ちする電池の確保に向け、スイスの資源大手グレンコアと新たな契約を結びコバルトの調達拡大に乗り出すという。高性能なEVの動力源を確保したいとの狙いだ。

 ウィズ・コロナ、アフター・コロナの状況下でも、車両電動化の流れは止まっていない。むしろ、各地域の自動車普及策が電動車を後押しする可能性すらある。しかし、電池供給の壁はなお厚い。この壁をいち早く乗り越えられるかが、次世代の自動車産業をリードする存在になれるかのカギを握っている。