現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

田中功起展@群馬

2004-11-28 | アート感想@関東
群馬県立近代美術館に行ってきた。この美術館は、高崎駅からバスで30分くらいと少し不便だが、「群馬青年ビエンナーレ'03」で椎名勇仁の『火山焼』を大賞に選出したり、「日常の変貌」展で指揮:会田誠による『駄作の中にだけ俺がいるオーケストラ』を展示したりと、なかなか面白い企画が多い。しかも、建築(写真)は横浜トリエンナーレ2005ディレクターの磯崎新によるもの。一方、常設にモネの『睡蓮』があったり、日本画のコレクションも充実していたりと、守備範囲もかなり広い。

受付を済ませ、展示室3に入ると、日本の戦後~現代の作品を展示。荒川修作や河原温などビッグネームの作品が並んでいた。特に印象に残ったのは、川俣正による「ドクメンタ8」のプロジェクト(ドローイング・立体モデル・写真)。あと中堅・若手では、小林孝亘『House Dog』や、福田美蘭『道頓堀』が気に入った。

隣の展示室4では、オノサト・トシノブの作品を28点展示。作風が年齢を重ねるごとに変化していくのが興味深い。私の好みは晩年の作品。

そして、お目当ての特別展示 田中功起「買物袋、ビール、鳩にキャビアほか」。田中功起と言えば、調理の場面を断片的につないだ『どれもこれも』(越後妻有アートトリエンナーレ2003、十日町市内)や、スーツケースが血の海を滑る『スーツケースと血と光』(六本木クロッシング、森美術館)が記憶に新しい。今回の展覧会タイトル「買物袋、ビール、鳩にキャビアほか」は、風変わりな題名だったけど、展示を観たら意味がすぐ分かった。あまりにストレート!!

会場の展示室5に入ると、仕切り壁やガラスの展示ケースなどが所狭しと並んでいて、まるで迷路。この迷路を彷徨いながら作品を鑑賞するのだけど、家具のジャングルを探検しているようで楽しくなってくる。

展示作品は、10の映像と10のインストラクション(言葉による指示)。

映像は、30秒~3分程度とどれも短く、全部観てもそんなに時間はかからない。特に良かったのは、展覧会のチラシにも使われている『Plastic Bags into the Sky』。これは、ポリ袋(買物袋)にヘリウムガスを入れ、ニューヨークの空に飛ばす光景を撮ったもの。ニューヨークの街並みと、空飛ぶポリ袋の対比がなんとも言えない。あと、『滝を使ってサラダを作る』や、『鳩にキャビア』も面白かった。

インストラクションというと、オノ・ヨーコの凛とした作品が頭に浮かんだが、田中功起は何か違う。まず、文字がテプラ(ネームランドかも)貼りというのに脱力。指示自体が微妙にズレているかと思えば、指示になってないのもあった。このセンス好きだなあ。

東京から行ったけど、それだけの価値がある展覧会だった。群馬でしか観られないのは惜しい。12月19日まで、月曜休館。