思いつくまま

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弘兼憲史著『気にするな』(新潮選書)を読む。

2010年10月26日 23時28分28秒 | 読書
言わずと知れた『課長 島耕作』の漫画家の弘兼さんが書いた本。喫茶店や待合室などで『課長 島耕作』は、読むとは無しに面白くて結構読んだ。
弘兼さんは、早稲田大学法学部を出て、松下電器に入社して、その後漫画家になった。最近は中日新聞の土曜日夕刊の「ハートナビ」にも回答者として登場している。

タイトルは「気にするな」だが、内容は弘兼さんの自伝のようなものだった。
漫画家として大成しても、一般の人が思い描いているような世界、つまり、海外旅行へ行ってのんびりしたり、毎晩お洒落なバーに行ってアルコールに浸ったり、素敵な女性と次々に恋愛したりするようなことは一切無く、昼夜もなくひたすら漫画を描く仕事をし続けなければならない、漫画ってそうやって作るのかということがよくわかった。
自民の麻生政権の時に麻生氏の趣味もあって、アニメの展堂を作る話があったが(民主政権でポシャッてしまった)、この弘兼さんの本を読むと漫画はただ子供が面白がって読むようなものばかりではなくて、いわゆる芸術の域に達しているものもあるのだということがよくわかる。今になってみて初めて、アニメの展堂も良かったのではと思えるようになった。
弘兼さんは、小さい頃からサンタクロースなんかいないと思っていたり、人生は自己責任で今の自分があるのは決して他人や社会のせいではなくてすべて自己責任だとか、夢は願っても誰でも必ず叶うものでないなどとと考えており、非常に現実派である。
若い頃には、30代の女性はオールドミスだと思っていたり、年寄りになってから色恋沙汰なんて気持ち悪いと思っていたが、いざ60歳を過ぎても決してそんなことは無いことがわかったそうだ。自分も若い頃の人生設計では、なぜか歳くらいまでしか描けない感じで、それ以上の年齢になったら自分がどのようになっているのか全く想像できなかったが、その年齢を超えてもまだ生きているし、気持ちだけは若いまま(悪く言えば全く成長していないまま)でここまで来ている。
無駄なことなんて何ひとつ無い、中東の国や江戸時代に生まれてこなかっただけでも安心で長生きできて何不自由なく暮らせてラッキーだと思えとか、いろいろなことがあるけど非常に前向きな人だ。
自分も現実主義者で、あまり夢は見ないほうなので、弘兼さんの気持ちは非常によくわかった。
コメント
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