日記

日々の雑記にございます。

李香蘭を観に~2~

2008-04-11 22:08:00 | Weblog
 李香蘭のキャストの感想でも。

李香蘭:野村さん
 小さい人だなあ、というのが最初の印象。子供時代も、身長だけなら違和感なし。でも、リフトとかされても全然危なげないのがさすが。異国での佐渡さんと石丸さんのごりごりなダンスに比べりゃ断然アリでした。歌は・・・う~ん。ちょっと苦しそう、高い音はガツンと抜けるのに、地声とファルセットが全く切り替えられないみたいで;昔は綺麗な声だったんだろうな。でも、リサイタルの場面はめちゃめちゃ良かったです。歌もすごく良かった。

川島芳子:濱田さん
 他の方も言ってますが、ヅカの男役の人のようでした。あの喋り方、あの動き、あの声、どうもヅカっぽい。そして、濱田さんだなあと思う。ストーリーテラーに近いかな、ああいう役回りだったのか。カーテンコールの拍手は一番多かったです。

李愛蓮:五東さん
 もしかして初めましてかも。めちゃ声きれいです。愛蓮の信念の強さ、優しさ、愛、全てに感心しました。

杉本:芝さん
 芝さん、とても素敵でした。静かに喋っているのよく通る耳に心地よい声。暖かな歌。優しい表情。もっと出番があってほしかったな。杉本のように、満州に理想を抱いた人はどれほどいたんでしょうか。

 これい以上は長くなるのでちょこっと。芹沢さん、背が高くて歌もうまいし目鼻立ちもはっきりしていて素敵な方でした。種井さんの裁判長も良かったです、将校で行進をしているときに一人だけ脚があがっていないのもご愛敬。
 役付きの男性はその役で判断できますね。織田さんの高橋是清が好き。中村さんも良かったな。青山さんは、何となく。役のないアンサンブルさんはいまいち。高城さんと渡邉さんはお顔が特徴的なのでわかりましたが。三階からオペラグラスもなしでわかるってある意味すごいなあ。女性アンサンブルは王クンさんしかわかりませんでした、衣装がお似合いでした。

舞台裏見学
 案内役は舞台監督のヒラガさん。すみません、漢字調べるの面倒だったのでカタカナで;なかなかおもしろい方でした、ふっと内部事情を暴露してみたり(笑)
 舞台セットは二幕頭。月月火水木金金の場面なんで、軍艦ですね。舞台セッティングの間に、質問に答えたりしてくれました。舞台を動かすのに12人、照明、音響等含めて総勢22人のスタッフだそうです。
 バミリテープをもっと小さくしろと演出家に言われたとか(あれ、蛍光塗料かなんかで暗くすると光って見える。舞台中も意外に気になった)、幕についての質問が出たら幕を下ろしてくれたりもしました。ワイヤレスマイクがどうして人によって額と頬についてるかとか、ワイヤレスの本体はどこにつけてるだとか、そういう質問もOKでした。車のハンドル操作は俳優さんで、動かしてるのはスタッフ。下から見れば脚が見えるそうな。
 月月火水木金金の場面での手旗信号については「われは海の男たち」という意味だそうで。へえ。
個人的にスタッフさんに質問できます。何人くらいいたか知りませんが、一斉に舞台にあげられて「自由に見ていいよ」的な雰囲気でした。袖にも出入り自由。船のセットにも上れるし。影コーラスの担当表なんかも貼ってました。ありとあらゆるところに貼られた注意書きもおもしろいです。
 わりかし楽しいです、自由度高くて。うまく聞けばおもしろいことを聞き出せるかもしれません。

李香蘭を観に~1~

2008-04-11 21:31:46 | Weblog
 秋劇場まで行ってきました。13:30でかっちり仕事切って上がったらかなり余裕で到着。初バルコニー席で、どこから行けばいいか分からずうろうろ。二回くらいお姉さんにお世話になりながら行きつけば一列目センターブロックにしか人がいない。ちなみに私は下手ブロックだったので誰もとなりにいなくて快適(笑)がさがさしても迷惑にならない、いいね平日。マチネで仕事帰りとかありえないんだろうな、傘とか持ってるの私だけでした(朝は雨だったから傘が必要だったのです;)
 いやしかし、出てくる直前に緊急の不具合修正要請メールが飛び交っていたのですが(しかも私が手直ししたとこ!)、不具合じゃなくて仕様の問題だったので気付かないふりして出てきました。ちょっと罪悪感。

 で、肝心の本編。私、まだあの辺の話ならわかる。ちょっと安心。歴史の経緯としては大学受験レベルの日本史をさらっていればわかるくらいなのでそれほど難しくはないかもしれません。
 そうだなあ・・・南十字星ほどではないにしても、かなりの情報量。ひとりひとりのセリフの中に、とてつもなく多くの歴史が詰まっているような気がします。どうして日本が大陸を目指したのか、どうして日本は南下政策をとったのか、どんな思想があったのか、セリフにしてしまえば一瞬で過ぎ去ってしまうのに戦争を考える上ではあまりに重要な材料だと思います。
 川島芳子の歌で、がんがん時代が進んでいく展開がすごかったです。途中までは昭和○年と年代を述べてくれましたが、五・一五事件のあたりからは年代は脳内で流してました。二・二六事件は事件名を述べたのに、五・一五事件ではなかったな。国連脱退が1933年、二・二六事件は1936年、盧溝橋事件は1937年で、日米開戦が1941年。最初は一年刻みだったから、途中で数年飛んだりすると「あ、とんだ」とか思ってました。

 戦争についての演出家の考えは「戦争を語り継ぐ」かなんかで述べられているので、それはそれで一つの考えとして受け止めています。裁判で李香蘭が言う「私、何も知らなかったの」だっけ?最後に愛蓮にそういうのが気になりました。何も知らなかった、それを謝っていたのかしら。まあ、だとしたらそれはそれでいいかな。何も知らなかったことが言い訳になるはずもないのですしね。。。
 裁判ですが、漢奸として裁かれる人がいたという話はちらっとしか知らないのでひとまずそれはそれで勉強になったということで。日本人の戦犯に対して、人道的に対応したのが中国だったような気がします。特にBC級戦犯裁判や捕虜の扱いはかなり人道的だったようですね。それでも、中国の人々の中には多くのものがわだかまっていて、日中の溝が埋まらない原因の一つになっているのだと思います。

 ナンバーとしては、月月火水木金金の場面が好きでした。唯一楽しい。出征していった兵士たちの遺言のような場面や、映像の場面などは胸が詰まりました。ミュージカルを見て感じる疑問、悲しさ、憤りなどは、私たちが戦争を考えるきっかけなのだと思います。

 長くなりそうなので、キャストと舞台裏については次に。