映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

「スラムドッグ$ミリオネア ~Slumdog Millionaire~」

2009年03月06日 | 映画~さ~
2008年 イギリス映画


インド・ムンバイのスラムに生まれ生活していた2人の兄弟と1人の幼馴染の成長を軸に、主人公が「クイズ・ミリオネア」に出演し大金を得るまでを描いた物語。


本当はベンジャミン・バトンを観に行ったのだけど、この日は「オレンジ・ウェンズデー」。イギリスではオレンジと言う会社の携帯を使用している人は、系列映画館で半額で映画を見ることが出来るのね。さらにアカデミー賞の後と言うこともあるのかないのか、チケット売り場は長蛇の列。結局映画の時間までにチケットは買えず、もう1つ見たかった映画『スラムドッグ・ミリオネア』がその15分後からだったのでこちらに変更。



クイズ・ミリオネアは全世界で放送されていて、スタジオのセットも音楽も、司会者の番組の進行の仕方も全く一緒。もともとイギリスの番組だったのね。へ~、知らなかったわ。インドでも放送されてるのね~。主人公のジャマールはこのクイズの回答者。もう少しで全問正解で賞金に手が届く。彼の足を引っ張ろうとするトリックにもめげず、彼は全問正解を果たす。「事前に問題と答えを知っていたのでは」と言う疑惑も湧くが、もちろんそんなわけはなく、すべてのこたえは彼がたどってきた人生の中にあった。



とにかく、違う。



監督はダニー・ボイル。『トレインスポッティング』のひとね。あの後ディカプリオの『ビーチ』やここ数年だと『28日後』とかで有名な監督。まぁ、『28日後』は見てないんだけど。今回の映画は彼のカメラワークの面白さ、疾走感がすばらしい。冒頭の子供たちが走り回るシーン(いや、映画全体で走り回ってるけど、特に冒頭)は最高。そしてインド独特の色使い。洋服や洗濯物の色だったり、街の風景だったり,埃っぽかったり、原色が押し寄せてきたり。「ビーチ」を見たときは、ディカプリオの名前と存在が大きすぎて、なんだか旨やけになった記憶があるんだけど、トレスポも今回のスラムドッグも、まだそこまで有名でない、もしくは全くの無名の新人たちを起用して思いきった演技をさせるのがものすごくうまい監督なんじゃないかと思う。



そう、俳優たちがものすごくものすごくいいの。子供時代から始まって現在に至るまでの時間、1人を3人の俳優が演じているのね。子供時代、青年期、そして現代。ジャマールとおにいちゃんのサリム、幼馴染のラティカも当然だけどそれぞれ3人が演じているんだけど、そのすべての俳優たちが、誰一人色あせることなく、見事にすばらしいのね!これって奇跡に近いと思うのよ。どんなにいい映画でも、脇役を含めてどこかにがっかりな誰かがいるものなのよ。それが全然ないの。お兄ちゃんは、青年期にジャクソンファイブ時代のマイケルに、そして現在に至ってはサミュエル・L・ジャクソンになっちゃうのね(謎・・・いや、私にはそう見えただけ)。良くぞ見つけてきたわね、とため息混じりにボイルにつぶやきたいくらい(何様?)。


主役のジャマールを演じたデイブ・デパールはイギリス人らしいわ。イギリスの『スキンズ』と言うドラマに出ていて人気があったとのこと・・・『スキンズ』は10代向けのドラマなのね。ブリストルと言う街が舞台で毎年やってるんだけど、見たことなかったわ。2008年の『スキンズ』には、『アバウト・ア・ボーイ』の子が出てたのは覚えてるんだけど。


この映画は構成上、時代が前後するのね。現在と過去を言ったり来たりするのだけど、それぞれの時軸がしっかりしているからか、全く話がぶれたりしないのね。


まさか「クイズ・ミリオネア」があんなに大々的に映画のテーマになるとは思っていなかったわよ。映画の名前からの憶測(スラム出身の人がお金持ちになる)以上の情報は全くなしだったから、いやーびっくりしたわ。



何となく『フォレスト・ガンプ』を思い出したのよ。映画の構成が。いや、全然違うんだけど、『フォレスト・ガンプ』は1人の男性の人生が、アメリカの栄光に見事に沿っているわけじゃない?この映画は、ジャマールの人生の中に、ミリオネアになるべく質問のすべての答えがあるわけよ。あ、フォレスト・ガンプは好きじゃないんだけどね。


スラムにの生活の現状、問題もきちんと描いていて、観ていられなくなる場面もあります。しかしそんな中でもイギリス映画が得意とするユーモアや笑わせどころもきちんと丁寧に作られていて、とにかくテンポのいい作品。非凡です。

ラティカが美しくて、ずっと彼女を見つめていたくなります。

最後のエンドロールまで目が話せません。あの物語の後に、このエンドロールは洒落が聞いていて最高です。ボイルさん、見直しました!



日本公開は2009年4月18日から。



おすすめ度:☆☆☆☆☆



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