映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

『トレインスポッティング2 ~T2 Trainspotting~』

2017年04月01日 | 映画~た~
2017年 イギリス映画


*ロンドン地下鉄の駅に登場したT2ポスター

20年前に公開された『トレインスポッティング』の続編です。


日本でもコアなファンを持つこの作品。公開当時、この映画のサントラCDを購入した人も多いはず!『トレインスポッティング2』は、1作目から20年経った彼らの姿を描いています。そして、彼らの現在の姿は想像通りで、そこは期待を裏切りません(笑)。



内容はと言いますと…そのまま、彼らの20年後の姿です。一応端的に内容を説明しますと、ドラッグを売りさばいたお金を持ち逃げし仲間たちの前から姿を消していたレントン(ユアン・マクレガー)が、20年ぶりにスコットランドのエディンバラへ。彼以外の仲間たちは、20年前の出来事以降も、罠にハマったかのようにずっとかわらぬ生活ぶり。しがないパブ経営、妻子持ちで生活保護を受けながらの困窮した生活、刑務所暮らし…。そこに現れたレントンは、生活のすべてが上手くいっていて自分たちとは異なるライフスタイルを謳歌している様子。あの時持ち逃げしたお金を元に。過去の恨みつらみの爆発、袋小路に追い込まれたような将来に希望を見いだせない生活、自分たちを出し抜いて成功したかつての仲間。でも本当にそうなのか?…というところから話が動き始めます。


1作目から20年後の設定なので、前作と比べるのは全く意味が無いことなのですが、個人的には「これ以外には描きようがないよね」と思いました。もう20代の若者ではない彼らの生活の変わったところ、変わっていないところ。抱えている問題も20年前とは違うし、それに対処するだけの自由さ、体力、環境だって違います。


一番好感が持てたのは、1作目より良い映画を作ろうとしていないところ!そもそも、そこを超えていこうとしていないところが、清いなと思いました。前作のインパクトは、あの時代で、あの年齢の俳優たちの起用、あの時代の音楽だったからこその爆発力のなせる技。映画の続編を作る時、そこを超えていこうとか色々なものを詰め込みすぎて、逆にグダグダになるというパターンが多いと思いますが、さすが20年寝かせてやっと重い腰を上げて作っただけあって、そんな単調なミスは犯していないのはさすがです。


1本の作品としてどうなのかというと、当然ながら1作目の圧勝です。逆に言うと、上でも言及しましたが、制作側も1作目に勝る作品を作ろうとしていないし、見る側もそこを求めるのは間違っているのだと思います。これはあくまで続編なわけですから。


では、続編としてどうなのかというと、抜群でした。


前作との絡みもありますし、1作目を知らない人が見ても分かるようにしなければならない部分もあるので、映画の前半はどちらかと言うと「トレインスポッティングとは」とか、登場人物たちの関係性をしっかり明確にするために割かれています。続編としての面白さが増してくるのは後半。


トレインスポッティングのファンならスパッドを愛さずにはいられないと思うのですが、そんな気持ちを抱いている方なら絶対楽しめるし嬉しくなる作品です。彼のキャラクター、ダメダメ具合(それは全キャラクターがそうですが)、そしてそれでも愛さずにいられないし応援したいと思ってしまうのがスパッドの魅力。そして、話の内容にもダニー・ボイル的なひねりがあって、とってもニクイ!


映像の面白さは去ることながら、往年のファンなら満足の一本です。


私は前作が本当に大好きで多分20回位観ているのですが、この続編を映画館へ観に行った時は、もう嬉しくて嬉しくてニヤニヤが止まりませんでした(笑)。愛すべき全キャラクターがそのまま、でも20年の時を経て良くも悪くもリアルにそこにいてくれるのですから。この作品を楽しむには、「続編である」ということをきちんと念頭に置いて観てください。一本の作品として個別に楽しむのではなく、前作とのセットとして生きる一本です。





おすすめ度:☆☆☆☆★


日本での公開は、2017年4月8日から


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