映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

「明日の記憶」

2007年09月20日 | 映画~あ~
去年(2006年)の6月ごろに映画館で鑑賞。


最近よくテレビでも取り上げられている、「若年性アルツハイマー」になった、元バリバリ仕事できる&部下にも好かれる系ビジネスマンのお話。


かなり綺麗ごとちっくに描かれています。こういう社会問題を扱うときの日本映画って、奥深さにかけるんだよな~。感動作に持っていこうとするからなのか、主人公の周りの人たちがありえないほど懐が広くて、驚くほど理解力があって。とにかくこの主人公はとっても恵まれているのです。

突然旦那がアルツハイマーになったら。突然上司がアルツハイマーになったら。こんなに周囲が冷静に早期の時点でそれを受け入れられるはずがないのです。そして本人も。世間的に知られた病気じゃないんだから、もっと世の中の無関心さ、意地悪さ、患者たちの苦悩、家族との衝突をもっと描くべきだったと思うのよね。

でもそういうの、避けますよね…日本映画、特に大作は。本当はもっとグロくて目を背けたくなるほど社会はもっと冷たくて、主人公の苦しみはそう簡単に理解されるわけないもん。病気になってしまったのは主人公だけれど、それが原因で家族崩壊、人間不信、またそこから欝症状がでてきてもおかしくない。エリートが毎日陶芸教室で土をこねてる毎日に、耐えられるわけがないのです。自分に対しての怒り、原因のない病魔への怒り、もっともっと怒り狂ってもおかしくないはずなのに、謙さんはそうしない。そのくらい人間が出来てるから、周囲の人にも恵まれて…というのではやはり納得できないのであります、アタクシは。

中高年に絶大な人気のこの作品は、まぁこういう状況を身近に感じていない人には、かなり身につまされる作品なのでしょう。「自分がそうなってしまったら?」と想像する機会を与えられたのだから。でも、精神的病やこういうどうにもならない状況を経験した人なら、絶対に納得しないはず。きれいごと過ぎる。私は正直、見た後に胸くそ悪くなりました。

とっても素直な方、涙もろい方、泣ける映画が好きな方、大作好きな方にはお薦めです。
でも、若年性アルツハイマーという病気を知ってもらうきっかけにはよいと思います。


お薦め度:★☆


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