映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

「さくらん」

2008年07月24日 | 映画~さ~
2007年 日本映画

安野モヨコ原作で監督は蜷川実花、音楽が椎名林檎。もう、これだけでお腹いっぱいになりませんか?原作であるコミックはまったく読んだことがないけど、テレビで見た主演の土屋アンナの花魁姿は、今まで時代劇で見てきた花魁と異なる、ものすごくロックだけどそれでも抜群に美しかったし、映画自体なんとなく気にはなっていた。でも、なんていうか、「おらおら、これだけ今が旬な女たちがこぞって参加してるのよ!よくないわけがないじゃないのっ!!!」とマスコミとか観客に畳み掛けてくるような面子に、腰が引けてたのよ。だってほかにも、永瀬正敏、成宮寛貴、安藤政信、夏木マリ・・・ほら、なんか『an・an』の特集みたいな俳優のチョイスじゃない?だから、自分の中の気持ちの整理もつき(←大袈裟)、世間の風評も落ち着いたときに見てみようと思ってたの。


で、感想なんだけど・・・「意外にいいじゃない?」と言うのが正直なところ。そう、意外におもしろかったのよ。個性派(と言われている)俳優たちが、その個性だけで観客を呼び込もうとしてるんじゃ?とも思っていたのだけど、うまいこと演技に反映されていて、「個性の一人歩きのキャスティング(でも大人数)」の心配をしていたのだけど、それはまったく苦にならなかったわ。

原作は読んでいないからまったく知らないんだけど、1本の映画としてはうまいことまとめられていたと思う。蜷川実花が監督だし、「原色の洪水のような映像なんだろうなぁ、あたくし最後まで耐えられるかしら」と不安も抱いたのだけど、これも映画の毒味となっていい作用になってました。椎名林檎の楽曲も、時代劇にジャズなんだけど、吉原と言う街のの非現実性を、大人の夢見心地な空間と言う異空間な雰囲気をかもし出すのにうまく合ってました。まぁ、きよ葉(土屋アンナ)が川で泣いているシーンのバックで、英語の歌詞というのはものっすごい違和感でしたけど。

この映画、脇を固めてる俳優陣が本当にいい仕事してます。代表格は菅野美穂と木村佳乃ね。2人とも、10年前とは別人。女優の風格と言ったら陳腐に聞こえるかもしれないけど、でもそれが備わっているように感じました。菅野美穂の台詞回しって、実はあまりうまいとは思わないのだけど、それでも引き込むものを持っているのよね。木村佳乃が泣くシーンがあるのだけど、この泣き顔が汚くて、「やるなぁ」と感心しました。褒めてますよ、これ。日本の映画ってそれほど本数を見たことないですけど、どんな場面でもどんな役でも綺麗で美しくて、全然同情できないものがいくつかあったんですけど(というか、だからあまり好きではなかった)、ここ数年女優さんたち、特に20代から30代前半の人たち、頑張ってるなぁと思います。『フラガール』も女優さんたちが素晴しかったし、『嫌われ松子の一生』の中谷美紀は抜群だった。夏木マリもはまり役だった。夏木マリを見ていて、「強すぎる個性も、それが味になることがあるんだなぁ」と納得。もちろん全員ではありませんけど。

安藤政信、この人この映画で一番よかった。映画の前半で、清次(安藤政信)が10代の設定の時と、映画後半の20代の設定時ではまったく顔や風格が違っているの!メイクとかではなく、これは演技によるものだと思うのよ。この人の抑えた演技、いいわ。永瀬正敏は・・・実は正直この人の演技、わかんないの。うまいのかどうなのか。「さすが永瀬!」という感じはしなかったし、だからと言ってほかに適役がいるかどうかと考えると思いつかないし。世間では「演技派」だの「国際派」だのいわれてるけど、なんか今ひとつ納得できないでいるのよね、私。今回もその疑問は晴れることはなく・・・。


外国人から見ると、「女郎」と「舞妓・芸子」の区別が難しいと言うけど、この映画を見てその区別って難しいなぁ、と私もおもってしまったわ。

土屋アンナさん、演技まったく期待していなかったんだけど(『下妻物語』の演技もうまいと思わなかった)、結構よかった。日暮(土屋)が桜を見た時の表情とか、うまいなぁ、とうなづいてしまったもの。漫画原作で、イラスト以上の存在感や雰囲気を出せるのはすごいです。そして古来の日本的な美しさとは異なるけど、それでもやはり美しかった。

ひとつ気になったのは、きよ葉(土屋)の子供時代を演じた子役。見た目はよかったんだけど、もう少し演技のうまい子はいなかったのかしら。そして蜷川実花の独特の色彩は、この映画ではよかったけど、もう十分です。



おすすめ度:☆☆☆★     意外によかった。

「ジャンパー ~Jumper~」

2008年06月26日 | 映画~さ~
2008年 アメリカ映画

「瞬間移動が出来るという特殊能力を持った人」=「ジャンプして別の場所に移動する」=「ジャンパー」

この映画のポスター、見たことありますか?なんかものすっごくSF風味の強い、『トータルリコール』のような映画なのかなと思ってしまうようなデザインだったのですが、実際の映画はもっと入り込みやすくもう少し現代世界に近い感じの作品でした。

ミシガン州の高校生デイヴィッド(ヘイデン・クリステンセン)は、ある日凍った池(川?)に落ちてしまう。しかし彼はどういうわけだか冷たい水の中から、図書館に瞬間移動して命が助かった。これをきっかけに自分に瞬間移動の特殊能力があると知ったデイヴィッドは、家を出て、悠々自適に、お金は銀行から拝借し、自由な、しかし孤独な生活を送っていた。あの事故から8年。ずっと姿を隠していたデイヴィッドは、当時思いを寄せていたミリーに会いに、地元へ帰る。ミリーと再会したデイヴィッドは、彼女の長年の夢であったイタリア、コロッセオ観光へ連れて行くが、ファーストクラスの飛行機にホテルのスイートルームに宿泊、一般公開されていないような観光地にも連れて行ってくれるデイヴィッドに、疑念を抱く。またジャンパーは自分ひとりだと思っていたデイヴィッドは、同じくジャンパーであるグリフィン(ジェイミー・ベル)と出会う。さらにジャンパーを抹殺しようとする組織の存在を知る。


この瞬間移動、痛みや衝撃を伴うものらしく、易々とやってのけるというのでは無いところが(まぁ、慣れてしまうんだろうけど)面白いなぁ、と思いました。


なんと言ってもこの映画で一番いいのは、ジェイミー・ベル!『リトル・ダンサー』の主演の彼です。この映画大好きすぎて、感想が書けないままです。『リトル・ダンサー』以外で、彼がここまで重要な役どころで登場する映画をこれまで観たことがなかったのだけど、いやー、いい俳優さんになったわー。『父親たちの星条旗』でちょい役で出てるのを観て以来かも。ものすごく孤独だけど、飄々としていてつかみどころが無く、「ジャンパーは自分だけ」と思い込んできたヒヨっ子デイヴィッドを軽くあしらうイギリス人(アイリッシュ?)のグリフィンを見事に演じていました。この映画の軽快なテンポを作り出しているのは、間違いなく彼の演技。彼でなく別の俳優がこの役を演じていたら、全く違った映画になっていたと思う。

サミュエル・L・ジャクソンは、もういつもどおりのあの存在感。何をしても、「俺、サミュエル」なところはさすがとしか言えない。白髪坊主があそこまでにあう人っているだろうか。

実はものすごく驚いたのが、ヘイデン・クリステンセン。あの人、こんなに濃かった?『海辺の家』の恐ろしくなるほどの美少年だった彼が、なんだか大沢樹生(光ゲンジだった人ね)に見えて仕方なかったわ。いや大沢さんも世間的には二枚目なんだろうけど、なんていうの?過剰??毛穴からむせ返りそうな「美男子フェロモン」が出てそうな感じ? ええ、そうなの。私、あんまり濃い顔が苦手なのよね。それに、ヘイデン、角刈りだし。組を敵に回した若い衆が、その強力な力から逃げ惑う、見たいな。いや、違うけど。今思いついただけだけど。

デイヴィッドの凍った川に落ちる、命を狙われる羽目になるという人生の2大ニュースを生み出したマーク(高校の同級生)。あー、なんかさ、気に食わないやつって自分の人生の思い出したくない歴史に、頼んでもいないのに絡んでくるんだよなー。そしてこのマークの馬鹿っぽいところとか、誰にもどうしようもないところがなんと言うか、リアル。

恋人ミリー、きれいだったわ。ミリーの住んでるアパートのインテリアがまた素敵だったなぁ。現在、ヘイデンとミリー(役名)は本当に付き合っているそうです。


結構「がっかり」な感想を周りからは聞いていたのだけど、私はものすごく楽しめました。ただポスターのデザインはやっぱりどうかと思うけど。


おすすめ度:☆☆☆☆

「スターダスト ~Stardust~」

2008年06月17日 | 映画~さ~
2007年 アメリカ・イギリス映画

「文句無くファンタジー」だとおもっていたら、実はコメディーでした。初めは主人公のトリスタン(チャーリー・コックス)の野暮ったくて威厳のなさに「なんでこいつが主人公の座を射止めたのかしら」とか、「そもそもトリスタンの親父からして軽そうななりねぇ」と思い切り毒づいていたのですが(心の中で)、コメディーだとわかった時点ですべてOK。トリスタンは髪の毛長くなってからがよいです。好みではないけど。(←聞いてない)

この映画、キャストがすごく豪華です。星役(…でいいのかしら)はクレア・ディーンズ。この人、北欧系?なんか、クラウディア・シファーみたいでした。海賊の親分がロバート・デ・ニーロ。しかもね、女装癖があるの。もっそ楽しそうにどれすきながら踊ってはりました。魔女役がミシェル・ファイファー。もうね、ミッシェルすばらしかった。彼女を見ていて『永遠に美しく』という映画を思い出したんだけど、でもあれはミシェルではなくてメリル・ストリープだったけど。美人セクシー女優と言われ続けていた経歴なのに、そうか、こんな役も出来るのか、と感心。汚くて、貪欲で、でも若い姿はものすごく美しくて。ニコール・キッドマンとかももう少し年齢が高くなったら、このくらいはっちゃけたコメディーが出来るようになるのかね?今のニコールは確かにきれいだけど、いろいろ整形して顔が引きつってるし、ものすごく「若さ」というのに執着がありそうで。今回のミシェルみたいな方向に行ってほしいなぁ・・・と映画に全く関係ないニコールを思い出しました。

そして、今映画のサイトを観て知ったんだけど、シエナ・ミラー出てたの?トリスタンが恋焦がれる相手がヴィクトリア(シエナ・ミラー)だったらしいんだけど、なんか金髪できれいな顔立ちの人だったら誰でもよかったんじゃないかと。あんなに登場回数多かったのに、私気づいてなかったし。いや、そもそも私はシエナ・ミラーの顔をしっかりと覚えていないかも。ジュード・ロウと付き合ってたころ(今も?)パパラッチの写真でしか彼女を見たことないし、代表作といえるような映画をまだ観たことが無いかだらと思うけど。あ、でもビッチぶりはうまく演技されてましたよ。演技なのか素なのか知りませんけど。あ、あたし、シエナのこと好きじゃないみたいね。これ書いてて気づいたわ。けけけ。

話の内容はしっかりとファンタジーなんだけど、ところどころにブラックジョークがちりばめられていて意外に面白かったです。


おすすめ度:☆☆☆★



****追記(6月18日)****

そうそう、エンディング曲がテイクザット(TakeThat)だったわ。再結成のアイドルグループね。イギリスではTakeThat大人気でね、再結成も大成功だったのよ。CMでも曲が使われてたし、現役時代を知らない小学生が口ずさんで歌ってたり。実はさ、あたくし日本で彼らのコンサート行った事あるんだけど、え?高校1年の時よ。文句ある?それがさ、確かチケット代が4,500円とかだったと思うんだけど、コンサートが30分で終わったのよ!!!舐められとる。見事に日本は舐められてたわ。・・・ってあたくしの恨み節はもういいですか?

「スーパーバッド 童貞ウォーズ ~Superbad~」

2008年05月18日 | 映画~さ~
2007年 アメリカ映画

太っちょのセスとおとなしいエヴァンは幼馴染、そしてもてない同士。ある日ひょんなことから意中の女の子にパーティーに誘われた二人。「大量のアルコールを手に入れて行くよ!」と約束したはいいが、10代の子供がお酒を買うのはアメリカでは至難の業。しかし、女の子たちにいいところを見せたい!偽物のIDカードを手に入れたという、こちらももてないもう一人の友達ファーガルも巻き込み、アルコール入手に奔走するが、めちゃくちゃな騒動が彼らを待ちうけていた。


もうもう、とにかく主演の3人のキャスティング最高。それぞれがものすごくクセがあって独特で、キャラ立ちしてて、明らかにもてそうになくて、すばらしすぎる。そして演技がうまい。

映画の題名でもあるとおり、この3人ある意味ものすごく「ワル」です。やってることはむちゃくちゃ。本当に本当にありえないアクシデントが次々と襲い、それでもお酒を手に入れるためにとにかく必死。ありえなさ過ぎて白けるかとおもうと、そうではなくてむしろ「もっとやれーーーっ!」と見てるこちらも悪乗りしてしまうほど。とにかくテンポが抜群にいいのです。映画の内容としては、ベースは『アメリカン・パイ』に似てるけど、引き込む魅力は断然こっち!『アメリカン・パイ』は普通の男の子が主役。『スーパーバッド』は、底抜けにいけてない男の子たちが主役。このいけてなさ、ちょっと自分に自信のなさがものすごく親近感。MTVの『HILLS』とか『ラグ-ナ・ビーチ』には絶対に取り上げられない、でもそんな番組に出てる金髪&金持ち学生よりもよっぽど身近。

セスは口は悪いし、子供のころからペ○スのイラストばかり描いてるし、頭の中は「エロ」しかない。まぁ、これは「普通の」男の子かどうかは別として・・・。

ファーガルの、持てない理由が見るからによくわかるキャラ、もう感心するほどいい動き、演技&存在感。出落ちかと思うほどの強烈なビジュアル。「どうして彼はショウビズ界に?」とそこから疑問を抱いてしまうほどすばらしいキャラです。

エヴァン役のマイケル・セス、どこかで見たことあると思ったら『ジュノ』に出演しているらしいわ。といっても『ジュノ』見てません。たぶんCMか何かで見かけたんだと思う。あと、『オーロラの彼方に』に出てたみたい。こちらは見たことあるんだけど、きっと彼も小さかったし、たぶん私もそこで彼の顔を覚えていたわけではないと思う。

この映画の監督、『40歳の童貞男』の人らしいです。そしてこの映画の脚本家はセス・ローガンとエヴァン・ゴールドバーグ。そう、映画の男の子たちと同じ名前なのです。この二人、この映画の脚本を書き始めたのが13歳のとき。完成したのが15歳。実体験をもとにしているのかどうかは知りませんが、主人公たちに自分たちの名前をつけたそう。

とにかくハチャメチャなんだけど、この男の子たちの憧れの女の子たちへの気持ちは意外と純粋だったり、二人の間の友情がちょっとかわいかったり。エンディングでは、エヴァンはとても紳士でむちゃくちゃいい男だし。

知り合いの一人は、「耐えられないくらいしょうもない」と言っていたけど、私は思い切り笑わせてもらいました!

邦題には「童貞ウォーズ」という副題までついているけど、確かにそこに固執している人物はいるのだけど(約1名…)、でも映画全体がそればかりかというとそうではないと思う。わざわざ何でこの副題をつけたのかしら・・・。


おすすめ度:☆☆☆☆

「シャーロット・グレイ~Charlotte Gray~」

2008年05月07日 | 映画~さ~
2001年 イギリス・オーストラリア映画

小説の映画化です。スコットランド人でロンドンで働く看護婦、シャーロット・グレイ。パーティーで知り合ったパイロットのピーターと恋に落ちるが、時は第二次世界大戦中。彼はフランスの戦地へ。その後行方も消息もわからなくなる。その出来事が彼女の人生を大きく変えることになる。フランス語が堪能だった彼女はレジスタンス運動に誘われ、スパイとしてフランスへ。ピーターの行方を目的にしていた彼女だが、ナチスが侵攻してきていたその地でユダヤ人狩りを目の当たりにし、レジスタンス運動に身を投じていく。

映画序盤から中盤にかけては、物語の流れがあまりよくない。ブツブツと途切れ途切れに、小説の中のエピソードを紹介しているよう。正直あまり楽しめなかった。しかしシャーロット(ケイト・ブランシェット)がフランス人活動家のジュリアン、そして彼が一緒に生活をするユダヤ人家族との出会いから、映画に動きが出てくる。

ケイト・ブランシェットというと、実は『ギフト』位しか見たことがなく、あとは『エリザベス』の映画で賞をとったという情報を知っているくらいの存在だったのですが、いやー、この人は独特ね~。「凄み」があるんです。『ギフト』を見たときはなんとも思わなかったんだけど(そもそも凄みを必要とする役ではなかったど)、彼女の外見も含めて、孤高さがあるんです。だからこそエリザベス女王の役、やれるんだろうなぁ。気品以上の、威厳?鋭さ?的確な言葉が見つからないんだけど、ものすごく独特なオーラ。この映画の中の冒頭部分でも、「普通の看護婦」には見えないのよ。話の内容としては普通の看護婦が変わっていくというものなんだけど、いかんせん彼女の持つ雰囲気や外見が「普通」には見えないのよね。ぱっと見から、只者じゃないオーラが出まくってる。容易に近寄れないような。しかもフランス語堪能だったので、私はずっと「ものすごく特別な人物」だと思ってみてました。後から映画の内容の要訳を読んで、その設定を知ったくらい。それって役者的にどうなの?…っちゅう話ではあるんですけどね。まぁ、映画自体、前半グダグダだったので、その辺は目を瞑ります。(←何様?)

シャーロットは恋人ピーターの行方がわからなくなったのをきっかけにフランス行きを決意するのだけど、この恋人がそんなに魅力的に見えないんだよね・・・好みの問題かもしれませんが。いたって普通。

この映画、義母が原作を読んでいて面白かったそうなので一緒に見たのですが、エンディングを含めかなり原作とは違うそう。しかしピーターは上記のとおり魅力的ではないので、ジュリアンの元へ戻っていくという映画の作りは自然に思えました。

ケイト・ブランシェットって、オージーなんですね!? エリザベス役のイメージが強いせいか、ずっとイギリス人だと思ってました。



おすすめ度:☆☆☆

「30デイズ・ナイト ~30days of Night~」

2008年04月12日 | 映画~さ~
2007年 アメリカ映画

ジョシュ・ハートネット主演のホラー映画。
アラスカで日照時間がまったくなくなる30日間、ある町は吸血鬼に襲われる・・・というものすごくシンプルな物語。私はよく知らないのですが、原作となっている小説が日本でも有名なようですね。映画を見た後、アラスカの気象状況を調べてみたら、北部のほうは12月から1月にかけての約1ヶ月間、日照時間ゼロでした。そうなのか~。

話はものすごくシンプルなんですが、何なんでしょうこの満たされない気持ち。2時間弱のそれほど長い映画ではなかったのですが、なんだかものすごく長く疲れた。

話の山場がよくわからないんです。結構最初から映画の展開のスピードは飛ばしていて、あっという間に吸血鬼が登場して…(以下省略)。吸血鬼は吸血鬼でそれ以上でもそれ以下でもないのでしょうけど、なんだかよくわからないんです、これが。どうやら人間の生き血のにおいを嗅ぎ分けることができるらしく、人間を襲い、襲われた人間は吸血鬼になっていく。これはわかる。吸血鬼グループ(一人じゃないですよ!大勢います)は30日間の暗闇とともに町の外からやってきます。だから誰も彼らを知らない。そのグループの中にリーダーと思しき男性とその妻?恋人?ちっくな女性が中心になっているのですが、「だからどうした?」といった具合。リーダーがいようがいまいが、映画の中ではまったくその存在意義がないんです。

「俺たちの時代を築くぞ!」と意気込んでいるのですが、その狙いもよくわからない。ただ血肉がほしくて人を殺していく、としてくれたほうが納得もできるのですが(だって吸血鬼だから)、時折何か目的があるような台詞をはくんです。結局それが何なのかわからないまま映画は終わります。そして仲間同士で、やたらと人間らしい愛情の見せ方をしたりもする。

走っている車に追いつきボンネットに飛び乗ったり、ものすごいスピードで移動したり高いジャンプを決めたり。かなりの身体能力の高さも伺えるのですが、場面によりその能力にムラがあって「一体どっちなんだよ!?」と。

この映画全体的に、怖がらせ方が「びっくりさせる・驚かせる」といった視覚・聴覚に訴えるもので、大きな声で奇声を発するとか、人の首を斧ではねるとか。80年代にヒットした『死霊のはらわた』と変わってない。(今偶然『死霊のはらわた』を検索していてわかったのですが、『死霊のはらわた』の監督、この映画でプロデューサーをしていた模様。わはは!)吸血鬼たちも本気で怖がらせようとしているのかさえ疑いたくなる。表情とか人を襲うときの溜めとかが、なんというか「風雲!たけし城で悪役だったストロング金剛」を見ているような。どこかコミカル。わかってもらえますかね、この説明で。無理がありますよね、ええ。

映画を見ている途中までは、『アイアムレジェンド』を、そしてその後は『ドーン・オブ・ザ・デッド』を思い出し。ジョシュ・ハートネットの演技力が無駄に使われていて物悲しいです。弟・ジェイクを演じた彼(名前わかりません)もいい演技してました。

ただね、ヒロイン役のメリッサ・ジョージという女優さんがね。見ていて、「若林志穂」とか「渡る世間は鬼ばかり」に出てる人たちの演技を思い出しました。なんだか同じにおいがする。花王愛の劇場。なんというのだろう…うまく説明できないんだけど…演技が大げさ?あと、ものすごく漂白したのかシリコンなのかわからないけど、ブラックライトを当てたらものすごく浮きそうな歯が印象的です。

日本ですでに公開していると思ったら、どうやらまだ見たいですね。いろいろ検索してみたけど、公開予定も今のところなさそう…。まぁ日本では当たらない予感はぷんぷんしますしね。



おすすめ度:★  ホラー好きでもどうかと思う。



---追記(2009年6月27日)-----------------------------------------------
どうやら、この映画の日本公開が決まったみたいですね。8月22日からだそうです。なぜこのタイミングなのかわかりませんが…ジョシュ・ハートネット、最近ぱっとしないし。うちの旦那は「悪くない」と言っていたので、評価は人それぞれなんでしょうね。私個人としてはおすすめしません。

「心霊写真~Shutter~」

2008年04月04日 | 映画~さ~
2004年のタイ映画です。邦題そのまま、心霊写真の映画ですので怖さももちろんありますが、ストーリー展開がなかなか面白くてよかったです。

若い写真家タンと恋人のジェーンは、車で走行中に若い女性をはねてしまう。女性にすぐに駆け寄ろうとしたジェーンをタンは引きとめ、そのまま帰路へ。その事故後、大学での卒業式の写真撮影をしていたタンの写真には、そこにいるはずのない女性が写りこんでいたり、たくさんの写真に白い影が。そこからタンの周辺でおかしな出来事が起こり始める・・・


ぜんぜん期待していなかったのですが、なかなか面白い作品でした。心霊写真の女性、タン、恋人ジェーン、親友たちとの関係が映画が進むにつれて明確になってきます。

主人公のタン、最低な男です(殴)。そしてこの友達がまたひどい。類は友を呼びます。昔の人は的確な表現をなさるわ。ただこのタンくん、男前です。正直に言うと、「笑い飯」の西田が入っていますが、それでも男前です。調べてみると、タイとオージーのハーフだそう。それから恋人ジェーン、かわいいけど演技力はない。このあたりが日本映画と同じにおいがします。彼女を見ながら「リング」や「呪怨」の松島奈々子や奥菜恵を思い出しました。演技力よりもビジュアルです。それでも今回はそんなことが気にならなくなるくらい、映画に引き込まれたので別によいのですが。

それからキーとなる女性の幸薄加減が抜群です。ナイス・キャスティング!良くぞ見つけてきた、と思うほどはまっています。

怖がらせ方の表現は、今までで出尽くした感があるので新鮮味はありませんが、「あー、日本もタイも一緒なんだなぁ」と妙なところで納得(勉強?)になります。ストレートの黒髪とか。酒の席で女はでしゃばらないとか。映画の結末やタン君の体調異変とかも、「怖い」の概念が日本と基本的に同じなのです。そこが一番の驚きで面白かったところかな。旦那(欧米人)と一緒に見ていたのですが、所々説明してあげると「そうなのか、なるほどーーー」とうなっていました。


この映画、すでにハリウッドでリメイクされており、そのリメイク版は現在ここイギリスでも公開中です。(←まだでした。アメリカでは公開中だそうですが、イギリスはもう少し後になりそう。2008年4月5日追記)アメリカ映画ですが、監督は落合正幸。『感染』や『天使の牙』の監督だそう。どっちも未見ですが、作品の幅が広いですね。そして、奥菜恵も重要な役どころで出演しているとのこと。ジェーンを見て奥菜恵を思い出した私は、きっと彼女に呼ばれていたんですね(殴)。ほかに宮崎美子や多数の日本人俳優も出演しているようです。なにせ舞台が日本ですから!ちょっと楽しみです。



お薦め度:☆☆☆★ (いろんなサイトを見てみたところ、かなり評価が低いようですが、私は悪くないと思います。)

「最高の人生の見つけ方~The Bucket List~」

2008年03月30日 | 映画~さ~
モーガン・フリーマン、ジャック・ニコルソンというものすごい2人の共演作、しかもコメディーです。

対照的な二人が出会ったのは病院の相部屋。彼らの唯一の共通点、それは2人とも余命半年であること。これをきっかけに2人の間に奇妙な友情が芽生える。カーター(モーガン・フリーマン)がこっそりと箇条書きしていた死ぬまでにしたいことリスト(日本では「棺おけリスト」と表記される模様)を見つけたエドワード(ジャック・ニコルソン)は、「よし!全部やっちゃおう!!!」と旅に出ることに。


この映画は、2人の映画での経歴、ハリウッドでのイメージがあってこそのコメディーです。この2人以外に考えられない見事なキャスティング。ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが2人でスカイダイビングやってるっていうだけですでに面白い。入院中のエドワード(ニコルソン)の、太りすぎで髪の毛モサモサで薄くて、目は虚ろな様子をみていると、「同じ名優でもアル・パチーノではちょっと雰囲気違うな」と思ってしまう。お直ししすぎて妙にしわが伸びていたり、顔の原型がよくわからなくなっていては、この映画は無理です。ジャック・ニコルソンの怪演ぶりはこの映画でも健在。それがあるからこそ、コメディーが生きてきます。時折演技なのかそれとも実生活をそのまま描写しているのかわからなくなるくらい抜群の配役です。

カーターの、ものすごくお金持ちではないけれど、幸せな家庭と家族、そしてインテリジェンスを持った人物像はモーガン・フリーマンにぴったりでした。映画のちょっとしたシーンで、彼の持つ独特の大物オーラや隠しきれないかっこよさが垣間見れて素敵です。演技を超越した彼自身の味が、にじみ出ています。「ダンディズム」とはこういう人のための言葉なんじゃないか、と思ってしまうほど。

エドワードの秘書が、年寄り2人の演技合戦に時折別の風を吹かせてくれます。ショーン・ヘイズという俳優で、私はよく知らないのですが…「ウィル&グレイス」などのテレビドラマで人気があり、そうそうたる受賞暦の持ち主らしい。そらそうよね。怪優2人の間に割って入らなくてはいけない役なんだもの。普通の若造では無理よね。

カーターの妻役には、『クラッシュ』にも出演していたビバリー・トッド。この人の存在感も映画の質を高め、ただのコメディーで終わらせない配役です。

笑わせるだけではなく、きちんと心に残る上質の映画です。
日本では5月のゴールデンウィーク明けからの公開のよう。おすすめです。



おすすめ度:☆☆☆☆★


「シティオブエンジェル ~City of Angels~」

2008年02月05日 | 映画~さ~
いやーーー、参った。私の完敗…そう、この映画を見ようとした私の選択が失敗の元。

マギー(メグ・ライアン)は有能な心臓外科医。手術中に成功するであろうと思われていた患者が亡くなってしまう。セス(ニコラス・ケイジ)は死者の魂を天に導く天使。セスは手術室でマギーに恋をする。

もう、何から挙げていきましょうか…。ではマギーから。メグ・ライアンが有能な外科医には全く見えない、というのがそもそもまずい。役の設定だから、その役柄を演じることで観客を映画に引き込んでいかなければならないのに、メグはメグにしか見えない。医者にも見えなければ、まして才能があるようにも見えない。外見がかわいすぎるから?とも思ったけど、たぶんちがう。ほかにも外見が美しすぎる人やかわいい人は大勢いるけど、こんなに映画にのめりこめないことってなかなかない。明らかに、メグの力不足。演技力がない。彼女の映画でよかったものって、『恋人たちの予感』しか思い出せないんだけど…。

ニコラス・ケイジ演じるセスにも無理はあるんだけど、メグよりは断然まし。いや、比べたら失礼に当たるかも。

そして、一番致命的なのが、映画の内容。話の展開。天使が人間と恋におちる・・・それは結構。映画のベースとしては過不足なし。そもそも、これリメイクだしね。そら映画としてベースがしっかりしてなければわざわざリメイクしませんから。オリジナルである『ベルリン・天使の詩』は見たことがあるのだけど全く覚えていないので比べようがないのだけど、『シティオブエンジェル』に関しては、話の展開よくない。よくないというか、不快。マギーの事故がとにかく不快。もっとほかに見せ方があるだろう!事故は事故でもさ・・・、ありゃないわ。セスが同僚(?)の天使と、ものすごい交通量の道路にある交通標識に腰掛けて話をする、とか。天使だから…といわれればそれまでなんだけど、天使だからってあんなうるさいところで話しなくても。しかも毎回毎回。ちょっとコじゃれた演出(なのか?)がすべて裏目。もしかして、舞台がLAって言うのがそもそもミス???

でもさ、全く同じ内容だったとしても、もしほかの監督が撮っていたら、ほかの俳優が演じていたら、多分全く違ったものになっていたと思う。例えばマギーの死にしても、撮り方によってはもっと「人生の無情さ」を表現することができたと思うんだけど(だとしてもあの事故は酷い…しつこい?)。

キャラ設定がとにかく弱い。マギーの婚約者(恋人)とか、全く印象に残らないし、何の障害にもなっていない。マギーの有能さも全く感じられない。ネスカフェのCMのメグと映画のメグと何が違うのかわからない。というか違わない。演じ切れてない。無理やりよかったところをあげるとすれば、元天使を演じたデニス・フランツかなぁ。彼が唯一の救い…いや、救いきれてないんだけど。

1998年の映画で、全米1位だったらしいわ。わからんもんです。たしか90年代後半って、ハッピーエンドの映画少なかったな。それにしても!!!なのです。
正直、この映画を見てメグ・ライアンが嫌いになりましたとも。



おすすめ度:・・・・・無理。



「1408号室 ~1408~」

2008年01月22日 | 映画~さ~
ジョン・キューザック主演のホラーファンタジー・・・なのか?スティーブン・キングの小説『1408』の映画化です。この映画全く知らなくて、ある日だんなが職場でDVDを貰ってきたので偶然観ました。

このタイトルもそうだしジャケットのデザインのせいでもあると思うんだけど、まさか現代の話だったとは。「1408」って、「1408年」のことかと思ってました。だからといって1408年に何があったのかなんて知りませんがね。

「1408」というのはホテルのルームナンバーで、ジョン・キューザック演じるマイクが泊まる部屋なんです。マイクは、幽霊の出るホテルや呪われた場所などを取材しているライター。そのマイクのもとに、「この部屋には絶対に入るな」というメッセージが書かれた絵葉書が届きます。それがニューヨークにあるドルフィンホテルの1408号室。過去に56人もの死者が出ているこの部屋に、何とか潜入したのだが・・・といった話です。

サミュエル・L・ジャクソンもホテルの支配人として登場しているのだけど、私個人の好みを言わせていただくと、どうしてこのキャスティングだったのか不思議。ジョンもサミュエルも。マイク(ジョン)がこの部屋で大変な目にあう様子を見ている間、どうも志村けんのバカ殿様のコントを見ているような気がして仕方がなかったんだよね。決して映画の出来が悪いわけではないので、バカ殿の夏休みスペシャルとかで必ず出てくる幽霊に追いかけられるようなコントの出来が良いのかもしれない。
アイラインのしっかりしたジョンの目とか、どことなくバカ殿に似てるし。あ、私、ジョン・キューザックのことが単に好きでないだけなのか?


ジョン・キューザックでなくてジョニー・デップだったら?・・・もう少し物語りに深みが出たような気がするんだけどなぁ。サミュエルも、別にあの役にあんな大物(灰汁強め)を使わなくても良いような気もするし。原作を読んでないからキャラ設定はわからないけどさ。でもジョンである必要はない。

設定がニューヨークで、名前がドルフィン・ホテル。何でだろう。その辺の謎解きは特に用意されていなかったなぁ。もしかしていろいろ考えすぎですか?





おすすめ度:☆☆ 時間つぶしにどうぞ。



****追記(2008年11月15日)****

2008年11月22日から日本で劇場公開されるようですね。お客さん、入るんか?