チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『オネーギン』3男声アリアすべてに現れるクラリネットのオブリガート」

2015年07月15日 18時18分42秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
チャイコフスキーのオペラ、いわゆる
「エヴゲニー・オネーギン」は3幕から成ってる。
このオペラにおいて男性の主要なる3人の登場人物は、

1.タイトル・ロウル(バリトン)
2.(1.の友人)レンスキー(テノール)
3.タチヤーナの夫となるグレーミン公爵(バス)

である。1幕の有名な「手紙の場面」以降に、
この3人にはそれぞれ「アリア」が与えられている。

第1幕第3場(#12a)オネーギンのアリア
第2幕第2場(#17a)レンスキーのアリア
第3幕第1場(#20a)オネーギンのアリア

都鳥がユリカモメのことなのかどうかも知らない拙脳なる私には
アリオーソとアリアにどんな違いがありやなしやも解るはずもないが、いずれにせよ、
上記3男性に「アリア」と銘打って与えられてるのは
この3曲である。

「オネーギンのアリア」
[アンダーンテ・ノン・トロッポ(四分音符=80)、4/4(12/8)拍子、2♭(ト短調)」
♪シ│<ミ>ド・>シ>ラ・・<シ>♯ソ・>ミミ│
<レ>ラ・ララ・・<シー・ー>♯ファ│<♯ソー♪

ここに、クラリネットが分散3連符のオッブリガートを絡める。
♪●シ<ミ・<♯ソ<シ<ミ│
●>レ<ファ・<ラ<レ<ファ・・●>レ<ファ・<♭シ<レ<ファ│
●>ミ<♯ソ・<シ<ミ<♯ソ・・<シ>♯ソ>ミ・>ド>シ>♯ソ│>ミ♪

「レンスキーのアリア」
[アンダーンテ・クワーズィ・アダージョ(四分音符=66)、4/4拍子、1♯(ホ短調)」
♪ドー・>シ>ラ・・>ソ>ファ・>ミ>♯レ│
<ファー・>ミー・・●●・●ミ│
<シー・ー>ラ・・>♯ソ<ラ・>♯レ<ミ│
<ソー・>ファー♪

ここに、クラリネットが分散3連符のオッブリガートを絡める。
♪●♯ソ<ラ・<シ<ド<♯レ・・<ミ<シ>ラ・>ミ>ド>ラ♪
♪●♯ソ<ラ・<♯ド<レ<ミ・・<ファ<シ>ラ・>ファ>レ>ラ♪

「グレーミンのアリア」
[アンダーンテ・ソステヌート(四分音符=66)、2/4拍子、5♭(変ト長調)」
(実質変イ短調)
♪ミー│<♯ファー<♯ソー・<ラー<ミー│ミーー>レ・レレ>ド>シ│
<レー>ファー・ファーファー│>ミーーー・●●●●│
ミーーー・<♯ファー<♯ソー│<シー>ラー・>♯ソー<ラー│
<ドーード・ドー>シー│シー>ラー・>♯ソー<ラー│
<ドーーー・ーーーー│ーー●●・(実質変ト長調に戻って
ソソーーーーソー<ラー<シー<ドー<レー>ドー>シーという主要主題が繰り返される)♪

ここに、クラリネットが分散16分音符の、ついで3連符のオッブリガートを絡める。
♪●♯ラ<シ<♯レ・<ミ<♯ラ<シ<♯レ│<ミ>レ>シ>ラ・>ミー●●♪
♪●ソ<ラ・<シ<レ<ファ│<ラ>ソ>♯ファ・>Nファ>レ<♯レ│<ミー・●●♪

「オネーギンのアリア」
Я сколько ни любил бы вас,
Привыкнув, разлюблю тотчас.
Судите ж вы, какие розы
Нам заготовил Гименей,
И, может быть, на много дней!
(つまるところ)
義務で結婚してもその結婚生活の年月は退屈で長く虚しいだけ

「レンスキーのアリア」
Что день грядущий мне готовит?
Его мой взор напрасно ловит:
В глубокой мгле таится он!
Нет нужды; прав судьбы закон!
Паду ли я, стрелой пронзенный,
Иль мимо пролетит она,
Все благо; бдения и сна
Приходит час определенный!
Благословен и день забот,
Благословен и тьмы приход!
(つまるところ)
吉と出るか凶と出るかに関わらず、「その時」は必ずやってきてしまう

「グレーミンのアリア」
И юноше в расцвете лет
Едва увидевшему свет,
И закаленному судьбой
Бойцу с седою головой!
(つまるところ)
若いときでも初老のときでも同じことだ

まあ、同一オペラ内でのことなので、
あたりまえと言ってはあたりまえなのだが、
クラリネットのオッブリガートはいずれもが、歌詞の中で、
「時間の流れ」に対する「厭世的な感情」を表す
箇所に使われてるのである。

以上、3つの男声アーリヤにおいてクラリネットがオッブリガートを絡ませる箇所を連ねてみました
(男声はすべて独奏チェロに置き換えてあります)。
https://soundcloud.com/kamomenoiwao_15/tchaikovsky-eugene-onegin-three-mens-arias-with-clarinet-obbligating
また、最後の「グレーミン公爵のアーリヤ」全曲をバスを独奏チェロに置き換えてみました。
https://soundcloud.com/kamomenoiwao_15/tchaikovsky-eugene-onegin-prince-gremins-aria-cello-arrangement-kamomeno-iwao
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