池袋犬儒派

自称「賢者の樽」から池袋・目白・練馬界隈をうろつくフーテン上がり昭和男の記録

夢と人格

2021-07-30 15:26:17 | 日記
 「全くの別人になってみる気はありませんか?」
 耳の底に、まだ中島の言葉が残っている。あれはどういう意味だったのか? 赤城原は、何度も考えてみるのだが、記憶は判然としない。
 もう一度中島に会って、それを問いただしたかった。
 それに、中島という人間の存在をもっとよく知りたかった。あの親切な行為の裏側に何かが隠されているような気がしてならないのだ。
 そのためには、もう一度、中島と会うチャンスを作り出さなければならない。
  赤城原は、インターネットで検索することを思いついた。講師なら大学のホームページや学会、論文の資料データベースに必ず記載があるはずだ。しかも専攻科目は判っているので、対象を絞り込みやすい。
 それは、なかなか良いアイデアのように思えた。

 夜、寝室兼書斎で眠ったままのデスクトップパソコンを久しぶりに立ち上げ、インターネットに接続した。ポータルサイトへ行き、中島の下の名前も思い出せなかったので「中島」と「講師」の組み合わせで検索してみた。一万件近い項目にヒットした。最初の数ページを調べてみたが、がらくたが多くて使い物にならない。赤城原は「心理学」をいう条件を追加し、もう一度検索した。今度は百五十件にも満たないヒットになった。調べると、確かに心理学に関連する中島という講師が存在する。しかし、それは女性である。もう一人中島がいるが、その専攻は会計学のようで、しかも奉職している大学は関西である。どちらも失格だ。三時間以上をかけて多数のホームページを閲覧してみたが、結局検索を諦めざるをえなかった。
 (検索が駄目なら)と赤城原は考えた。(大学で調べられるはずだ)
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