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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

5月23日・バーディーンのハンバーガー

2024-05-23 | 科学
5月23日は、世界亀の日(World Turtle Day)。亀に敬意を払い、亀の繁栄のためになにかしようという日。この日はまた、物理学者、ジョン・バーディーンの誕生日でもある。トランジスタの発明者である。

ジョン・バーディーンは、1908年、米国ウィスコンシン州のマディソンで生まれた。 父親は解剖学の大学教授だった。ジョンはまれにみる秀才で、15歳で高校を卒業した。ほんとうはさらに何年か早く卒業できたが、ほかの高校でオプションの授業を受け、母親が亡くなるなどの不幸も重なって、卒業を先のばしにしたらしい。
15歳でウィスコンシン大学に入学。電気工学科を修めた後、いったん就職したが、ふたたび大学へもどり、プリンストンやハーバードなどの大学で数学・物理学を学んだ。
30歳でミネソタ大学の助教授になり、第二次大戦中は、海軍の兵器研究所に勤務し、戦後はベル研究所に勤めた。40歳のとき、トランジスターの開発に成功。
43歳のときイリノイ大学の教授に就任。以後約40年間、同大学に在籍し、超伝導について研究した。
48歳のとき、トランジスタ発明の功績によりノーベル物理学賞を受賞。
64歳のとき、超伝導のBCS理論の功績により、2回目のノーベル物理学賞を受賞。ノーベル物理学賞を2度受賞した唯一の人間になった。
1991年1月、心臓病のため、ボストンの入院先で没した。82歳だった。

超伝導は、ある種の金属や化合物をマイナス200度くらいの低温に冷やしてやると、電気抵抗がゼロになる現象である。電気抵抗がゼロだから、ちょっと電気を流してやると、電気が永遠に流れつづけることになる。これを利用して永久磁石を作り、その上に列車の車両を載せて浮き上がらせ、宙に浮いた車両をちょんっと押してやると、列車は浮いたまま空中をすべっていく。これがリニアモーターカーの仕組みである。

ノーベル賞は、キュリー夫人が物理学賞と化学賞とで、2度受賞している。
バーディーンの2度の物理学賞は、いずれも、共同研究者との共同受賞で、単独ではない。それにしても、頭のいい人というのはいるものだ。

バーディーンは、プライベートでは、ピクニックや、ガーデンパーティーが大好きで、友人を自宅に招いては、屋外でハンバーガーなどを料理して客たちにふるまうのを楽しみとしていたそうだ。ひかえめなタイプで、
「トーストしたパンにはさむハンバーガーは気に入ったかい?」
と尋ねるばかりで、自分の仕事についてはほとんど話題にせず、客たちのなかには彼が何をしている人か知らない人もすくなくなかった。能あるタカは爪を隠す。
(2024年5月23日)



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