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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

7月28日・是川銀蔵の花

2024-07-28 | ビジネス
7月28日は、元駐日米国大使、キャロライン・ケネディの母親であるジャクリーン・ケネディが生まれた日(1929年)だが、「最後の相場師」と呼ばれた是川銀蔵(これかわぎんぞう)の誕生日でもある。株式投資の神さまである。

是川銀蔵は、1897年、兵庫県は赤穂で生まれた。本名は小山銀蔵。家は漁師で、銀蔵は7人きょうだいの末っ子だった。
14歳で貿易会社の丁稚奉公に出た銀蔵は、中国や日本国内で金属資源の売買をして大儲けしたり大損したりした後、30歳のころから3年間、図書館に通いつめて資本主義経済について独自の研究を深め、ついに資本主義についてある確信を得た。
34歳のころから株式投資をはじめ、成功して得た資金を元手に朝鮮半島で製鉄会社を興した。太平洋戦争中は内閣への入閣も打診されたほどの大物だった。
戦後、戦犯として逮捕されたが、朝鮮半島住民の嘆願運動により命を救われた。
63歳のころ、土地投機で大金を手に入れ、株式投資に乗りだし、80歳前後には株式市場の仕手戦を演じてその名を馳せ、86歳の年に長者番付で一位となった。
1992年9月、没した。95歳だった。

是川銀蔵の自伝『相場師一代』はまえがきからしてふるっている。
「これまでいくつもの出版社から、自伝の出版を依頼されたが、どのような申し出に対しても断ってきた。わたしが自伝を世に出すことは、大勢の犠牲者を出すことになるという自戒から出版を避けてきたのである。ところが、あるライターが止めるのも聞かず、私の投資一代記なるものを出版してしまった。(中略)それを真に受け株は大儲けできるものと錯覚し、危険も省みずに株式投資に大金をつぎ込み、人生を棒にふるような人達が出てきては困る。(中略)そこで私は自らの人生を自らの手で綴ることにより、株で成功することは不可能に近いという事実を伝える使命があると思い、筆をとることにした。」(『相場師一代』小学館文庫)
そうやって警鐘を鳴らすのだと言って書きだしながら、本を読み進んで彼の人生をたどっていくと、自分は株式投資で大成功を収めた、自分には研究があり実績がある、自信がある、株をやるならこういう投資方針でやれ、という展開になるのである。

それはともかく、太平洋戦争直後、GHQのマッカーサー元帥が、日本の適性人口は4千万だと布告したのに反発を覚え、是川が、
「よし、ワシは人口が一億人になっても食料は自給できる体制を作ってやる」(同前)
と決意し、米の二期作の研究に没頭した話は感動的だった。その農業研究にひと区切りつけた後、彼は大相場師としてふたたび株式市場に乗りだしたのである。

自画自賛のオンパレードで、どこまで信じていいのやら判断に迷う。べつの書物によれば、是川は税務署に狙い撃ちにされ、晩年はそうとう窮していたとも聞く。
しかし、さすが忠臣蔵の伝統を受け継ぐ土地柄出身で、豪快、痛快な人生を生きたことはまちがいない。こんな風に派手に、大きく自分自身にスポットライトをあてて生きた人生はみごとで、花のある男というのはいるものである。
(2024年7月28日)



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