1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

12月20日・ユリ・ゲラーの超能力

2017-12-20 | 歴史と人生
12月20日は、巨大タイヤ・メーカーの創業者、ハーベイ・ファイアストーン(1868年)が生まれた日だが、超能力者、ユリ・ゲラーの誕生日でもある。

ユリ・ゲラーは、1946年、イスラエルのテルアビブで生まれた。オーストリア・ハンガリー系ユダヤ人の家系で、誕生時の本名は、ジェルジ・ゲッレール。彼の父親は退役軍人で、母親は、精神分析学ジークムント・フロイトの親戚だという。彼は11歳のころ、家族とともにキプロスへ引っ越し、そちらの高校、大学に通い、英語で教育を受けた。
18歳のとき、イスラエル軍に入隊。退役後、22歳のころには、写真の男性モデルをしていたが、そのころからイスラエル国内のナイトクラブで「超能力ショー」と銘打った奇術ショーをはじめた。
27歳のころから、米国、英国のテレビ番組に出演して、超能力を披露。
28歳になる年から、来日し、テレビ出演するようになった。テレビ番組のなかでユリ・ゲラーは、スプーン曲げをやって見せ、テレビを通じてお茶の間に念を送り、全国の家庭で、壊れて止まっていた時計を動かすなどのパフォーマンスをおこない、全国に超能力ブームを巻き起こした。

その昔、ユリ・ゲラーは、日本のテレビの生放送に出演し、視聴者に呼びかけた。
「家にある、止まって動かなくなった時計を手にもってください。これからわたしが、時計が動くように念を送りますから、いっしょにあなたも動くように念じてください」
テレビ局には、全国から、
「いま、時計が動きだしました」
「こわれてテレビが映りました」
といった報告の電話が寄せられていた。
このとき、評論家の小林秀雄が、友人の今日出海の家にいて、このテレビ番組を見ていて、おもしろがり、二人はこわれた時計をもちだしてきて、手にもったそうだ。すると、両人の掌中の時計はみごとに動きはじめ、とてもおもしろかった、と小林秀雄は語っていた。小林はこれについて、こういう意味のことを言っていた。
「あんなことは昔からよくある、当たり前のことであって、不思議でもなんでもない。ユリ・ゲラーみたいなまねをしていたら、すぐにああいう力はだめになってしまう」

「超能力があったらなあ」
とは、凡人のつぶやきだが、実際のところ、テレビのリモコンが見つからなくて、物言わぬテレビを前に黙然としたり、階段を上ってから、
「はて、なにをしにきたのだったか」
と首をひねったりもする、ごく日常の生活能力さえ危うい今日このごろで、超能力どころではなくなっている。ユリ・ゲラーにあやかりたい。
(2017年12月20日)



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