1日1話・話題の燃料

これを読めば今日の話題は準備OK。
著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

6月10日・ニコラウス・オットーのエンジン

2017-06-10 | 科学
時の記念日の6月10日は、画家ギュスターヴ・クールベが生まれた日(1819年)だが、ニコラウス・オットーの誕生日でもある。内燃機関(エンジン)の発明者である。

ニコラウス・アウグスト・オットーは1832年、独国のホルツハウゼンで生まれた。父親は農業を営み、郵便局もやっていた。ニコラウスは学校を終えて、商家で丁稚奉公した後、小型エンジンの研究をはじめた。
32歳のとき、ケルンで、友人のエンジニアと組んで共同経営者となり、世界初のエンジン製造会社を設立した。
オットーは、はじめ2ストローク・エンジンを開発したが、やがて、会社にダイムラーとマイバッハの2人が加わり、4サイクル・エンジンの開発に乗りだした。

4サイクル・エンジンとは、
1 吸入、
2 圧縮、
3 燃焼・膨張、
4 排気、
の四つの行程でもって、エンジン内で起こした爆発の動力を回転運動に変えていくものである。この四つの行程のあいだに、ピストンは2往復する。

彼らが完成した「オットー・サイクル」と呼ばれるエンジンは、現在でも自動車やオートバイに使われている。
オットーは、1891年1月に、ケルンで没した。58歳だった。

ダイムラーとマイバッハは、オットーたちと別れて、小型のエンジン開発に専念しだし、作った小型エンジンを馬車に取り付けて、クルマとした。彼らの自動車会社がその後、ダイムラー・ベンツ社となり、メルセデス・ベンツ社となった。

若いころからクルマに興味があった。田舎に暮らしていたこともあって、クルマがないと動きがとりづらく、アルバイトをしてお金を貯め、中古車を買って乗りまわしていた。
クルマをもつと、エンジンオイルをかえ、照明を加え、愛車をかわいがるようになり、エンジンがどういう仕組みで動くのかとか、DOHC、ターボ・チャージャー、スーパー・チャージャーとは何かとかを知るようになった。
こういうことを知って、何かのためになるのではないけれど、クルマの知識に触れるのが、純粋に楽しかった。そういう人から見ると、オットーは神さまのように見える。よく、こんなものを考え、実際にこしらえてしまったものだ、と。

オットーは、こんなことばを残している。
「大事なのは、歴史を作ることであって、それを書くことではない」
(2017年6月10日)



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