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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

6月4日・アンジェリーナ・ジョリーの転機

2017-06-04 | 映画
6月4日は、『生徒諸君!』の漫画家、庄司陽子(1950年)が生まれた日だが、米国の映画女優、アンジェリーナ・ジョリーの誕生日でもある。

アンジェリーナ・ジョリーは1975年、米国のロサンゼルスで生まれた。本名は、アンジェリーナ・ジョリー・ボイト。父親はドイツ、スロバキア系で、名作「真夜中のカーボーイ」の主演男優ジョン・ヴォイト。母親はフランス系カナダ人で、彼女も女優志望だった。アンジェリーナが生まれると、父ボイトは愛人のもとへ走り、両親は彼女が生後6カ月のころに離婚。彼女は2歳年上の兄とともに、ニューヨークで母親と暮らしはじめた。
アンジェリーナは、幼稚園時代から男の子にキスし、全裸になりたがる早熟な娘で、14歳のときには恋人の男性と暮らしはじめ、約2年間同棲生活を送った。その同棲相手との関係が、セックスだけでは物足りなくなり、アンジェリーナたちはおたがいをナイフで切り付けるという暴挙にでた。すると、切りつけることで、二人がより切実につながったと感じられた。それをきっかけに、彼女は、精神的に行き詰まると、自分のからだをナイフで切り付ける自傷行為をするようになった。アンジェリーナのからだには、現在でもいたるところに傷跡が残っている。
16歳のとき、母親の勧めで演技学校へ通いだしたアンジェリーナは、20歳のとき映画「サイバーネット」に初主演。以後、「ジーア」「トゥームレイダー」「すべては愛のために」「アレキサンダー」「Mr.&Mrs. スミス」「ソルト」などの映画に主演。人気、評価ともに高い、ハリウッドを代表する女優になった。また、女優業と並行して、映画監督業にも乗りだし、UNHCR(国際連合難民高等弁務官事務所)の親善大使として難民の救済活動に尽力した。また、3度目の夫ブラッド・ピットと共同で「ジョリー・ピット基金」を立ち上げ、難民機関、養護学校、被災地などに寄付活動をおこなっていたが、2016年に彼女はピットとの離婚を申請した。

アンジェリーナ・ジョリーは役柄に没入するタイプで、撮影中は、朝起きた瞬間から役柄になりきっているらしい。彼女の出演作は数多あるが、なかでも、
「ジーア(Gia)」(23歳のころの作品)
「すべては愛のために(Beyond Borders)」(28歳のころの作品)
の二作品は別格である。
「ジーア」は、破滅的な人生を歩んだ実在のスーパーモデルの話で、アンジェリーナはあまりに自分に似すぎているから、と出演依頼を拒否した。しかし、結局、出演を引き受け、役柄に没入し、映画は壮絶な出来となった。撮影後、アンジェリーナは自分を使い尽くしたと感じ、俳優業を一時休業している。
「すべては愛のために」はUNHCRの一員の話で、この作品は転機だったと彼女自身認め、これ以後、それまでの自分をいましめ、二度と命を粗末にするまいと誓ったという。

カンボジア、エチオピア、ベトナムの孤児を養子として引き取って育て、遺伝的に高い乳ガンと卵巣ガンのリスクを避けるため、37歳で両乳房の切除手術をおこなったアンジェリーナは、「いま、この瞬間を生きるとは?」の質問に対してこう答えている。
「自分であること、自分が感じているままに感じること。また、素直であること。そして、生き生きとしていること」
(2017年6月4日)



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