1日1話・話題の燃料

これを読めば今日の話題は準備OK。
著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

2月5日・ダンロップの名前

2017-02-05 | ビジネス
2月5日は、自動車メーカー、シトロエンの創業者アンドレ=ギュスターヴ・シトロエンが生まれた日(1878年)だが、自動車タイヤで有名なダンロップの誕生日でもある。

ダンロップ社の創業者である、ジョン・ボイド・ダンロップは1840年、スコットランドの北エアーシアに生まれた。獣医外科医の勉強をして、10年ほど地元で獣医をした後、アイルランドへ越していき、クリニックを開いたりした。
47歳のとき、ダンロップは子ども用の三輪車のタイヤに、自分が考案した空気タイヤを装着して、走らせた。当時は、まだ空気でふくらめたタイヤというものがなく、馬車でも荷車でもなんでも、かたい木製の車輪か、かたいゴムのついた車輪がせいぜいで、乗り心地はひじょうに悪く、車体や車輪のいたみ具合もはげしかった。そうした問題を、空気を注入してクッションをよくしたタイヤによって、彼は一気に解決したのである。翌年、彼はこの空気タイヤを特許申請した。
ダンロップが開発した空気タイヤは、自転車に装着され、彼のタイヤを付けた自転車はほぼすべての自転車レースで優勝した。
50歳のとき、タイヤ製造を本格化したが、その際、事業の経営者に、収益の取り分と引き換えに、タイヤの特許権を譲渡したこともあって、空気タイヤの発明は、ダンロップにたいした富をもたらさなかったらしい。
申請しておいた特許も、同じアイディアが、ダンロップより40年ほど前に、同じスコットランド人の天才発明家ロバート・トムソンによってフランスで申請されていたことから、認められなかった。
1921年10月、ダンロップはアイルランドのダブリンで没している。81歳だった。

特許はとれなかったけれど、おそらくダンロップは、トムソンの発明を実用化したのでなく、自分で発明したのだろう。

タイヤといえば、元首相の鳩山由紀夫などは、彼の母親が、タイヤ・メーカー、ブリジストンの創業者の長女なので、莫大な価値のある株式を相続してとてもお金まわりがいいことで有名だけれど、タイヤの元祖のダンロップは、そんなにお金持ちにはなれなかった。

功績と、経済的成功とは、かんたんには結びつかない。
ただし、人は一代、名は末代、である。
(2017年2月5日)



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