腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

カオスレギオン

2009年09月06日 23時02分20秒 | PS2ゲーム感想文
6年も前のゲームである。
なのにまぁ、ある意味、なんとタイムリーなことか。

断っておくが、決して狙ってプレーしたのではない。手持ちのゲームから適当に選んだだけだ。
プレー開始も例の事件発生より前である。
また、説明書やパッケージにはこの事に関して一切記載が無かった。
だからホントに驚いたよ。エンディングを見て。


声の出演
・ジーク(主人公) ―――押尾学
主題歌
・LIV(押尾のバンド)


あっはっはっはっはっははははははははは。かなり笑った。よく出来た偶然だ。
ゲーム自体は極めてクールで重い世界設定なのに、EDで台無し。
押尾先生の超かっけーボーカルをバックに流れるスタッフロールが完全にギャグであった。
いやはや、ゲームを寝かせると味が増す事はたまにあるけど、こんなケースは初めてだな。
フィクサーだね。知らんけど。

しかし死人まで出てるのに今保釈なんておかしいだろ。警察何を考えてんだ? マジでフィクサー?
現実は笑えない事態になって来てる気がしてならない。


押尾はこっちに置いといて、「カオスレギオン」である。
1人で多数の敵と戦う「無双系」と言うべきアクションゲームだ。
6年前にサクッと発売されたがあまり売れず、後に盛大に値崩れ。
同時期の「デビルメイクライ2」共々評判が悪く、カプコンアクションのブランドを落としたタイトルだと思う。
さほどやりたいとは思ってなかったが、以前買ったPS2ソフト5本1000円セットに含まれていたんでプレー開始。
さて。


もうあからさまに「発売を急かされた」タイトルである。
外部から見て、これほどそれが明確なゲームも珍しい。
「調整不足」「練り込み不足」がプレーすると明白で、怒るよりも驚いた。
まさかあのカプコンがこんな物を、そう思わずにはいられない。

しかし「単なる手抜きじゃないのか?」と言えば、そうでもないのだ。
グラフィックやムービーにはかなり力が入っており、金を掛けていることが分かる。
2003年という時期でならPS2でも屈指のレベルかもしれない。
これだけの絵を使っているんだから、ゲーム内容もそれに見合うレベルを目指していたに違いない。
じゃあ一体何故こんな事になってしまったのだろうか?

……wikipediaによると、当時のカプコンは業績が思わしくなく、
3月決算の補填を目的に発売を急かされていたらしい。うーん、なるほどなぁ。
メーカーの事情など基本的に知ったこっちゃないが、このゲームほどあからさまだと少々製作者に同情する。
知ったこっちゃないんだ。ユーザーはメーカーの事情なんて考える必要はないんだ。
でも「惜しい」。そう思う。いっそ手抜きを感じられた方がマシかもしれん。
浜村さんなら普通に8点付けるであろうゲームである。とか。


ゲーム内容は、無双系のアクション。
カプコンの無双と言えば今や「戦国BASARA」だが、元祖はこっであろう。
知ったかの腐女どもにオタ知識の格の違いを見せてやろうぜ。見てくれないけど。

ただこのゲームの独自要素として「レギオン召喚」がある。
タイトルにもなってるカオスレギオンは「混沌の軍勢」という意味で、主人公はこれを召喚し、
自身を補助するオプションとして駆使し、戦いを繰り広げていく。
レギオンは計7種類あり、当然ながらそれぞれ特徴が異なっている。
ステージに見合ったレギオンを装備・召喚し、効率良くゲームを進めるのが楽しみ方となる。

……で。
ここでこのゲームの作り込み不足が明白に分かる。
ぶっちゃけ、レギオンの使い分けの必要性が殆どない。
最初に選べる難度はノーマルとイージーだが、ノーマルでも信じ難いほど簡単。
敵はアホほど弱いし被ダメージは小さいし、回復アイテムは大量に手に入る。
本来ならステージ毎に装備レギオンを悩む所なんだろうが、その必要性が殆どない。
最初に手に入るレギオンのままでも十分にゲームクリアーが可能だからだ。

もちろん製作者は、レギオンの使い分けを意図してゲームをデザインしたに違いない。
しかしその方向性でゲームを纏めるには全く時間が足りない。
無理に調整すれば、逆に特定レギオンにとって極端に有利なバランスにもなりかねない。
……結果、苦肉の策として「どのレギオンでもそれなりにやれる難度」に落ち着いたのであろう。
難しすぎてクリアーできないよりは、簡単過ぎて何やってもクリアー可能の方がマシだ。
製作者はそう考えたのだろう。俺はちっともマシとは思わないが。

レギオンはステージクリア後に得られる経験値によりパワーアップしていく。
この成長要素もゲームの楽しみの一つだが、これもまた分かり易い未調整っぷり。
得られる経験値も振り分ける成長要素もなんだか大雑把で、育てる楽しみが全然ない。
テキトーにやっても何の問題もない。強敵なんかそもそもいないんだし。
ゲームを中盤まで進めると、過去ステージへの再挑戦も可能となる。
こうなるとますますバランスは崩壊し、レギオンの強化がやり放題。
究極状態にすることも実に簡単。何の面白みもありゃしない。
やる意義も面白みもなけりゃ、やる気にはなれない。
俺は結局レギオンは固定、過去ステージのやり直しもせず、一直線でクリアーした。
はぁ。

まぁ仮に調整があったとしても、装備レギオンが2種だけってのはどうかと思う。
ステージに連れて行き、切り替えが可能なレギオンが2種類に限られているのだ。
よってどっちにしろ、状況に合わせてレギオンを変えていく楽しみは味わえなかったであろう。
これだけ温い難度のゲームなんだから、レギオンも全部連れて行けるようにすればよかったのに。
そうすればせめて、それこそ「無双」の楽しみ方は出来たのではなかろうか。うーん。

レギオンの召喚にはゲージが必要で、ゲージが無くなるとレギオンは消える。
まぁ敵を攻撃していればガンガン溜まるのでさほど気にする必要はない。
レギオンは召喚以外に、主人公の特殊攻撃に使うこともできる。
召喚・特殊攻撃は同時使用が不可能で、どちらかのモードを選んで進むことになる。
召喚モードの方が基本的に強力だが、このモードでは移動で走る事が出来ず、機動力に劣る。
……ま、どうでもいいな。どんな風にやっても困ることは殆どないゲームだから。


ゲームはとにかく戦闘戦闘また戦闘で、バトル以外の要素は一切ない。
この手のゲームには鍵探し程度の謎解きが付き物だが、そういうのも一切ない。
ハッキリ言えば極めて単調なゲーム展開である。これもまた作り込み不足だ。
もうちょい何とかならなかったのかと思うが、このゲームにはそう思う部分が他に多すぎるので、
ここは敢えて「シンプルで良い」と解釈することにしよう。
実際、戦闘大好きなプレーヤーには寧ろこの仕様の方が嬉しいだろうし。

ただ、敵の種類が少ないのは大いに不満だな。
おかげでバトルの単調さがより酷いものになっている。
「戦闘ばかり」ならアリかもしれないが、「同じ敵との戦闘ばかり」はナシだろう。
勝利条件も「敵を殲滅」か「ターゲットを倒せ」しかなく、単調。
例によって調整不足なんだろうが、せめて戦闘特化の面白さだけは達成してほしかったなぁ。
ちっとも手に残る快感がなかった。

レギオンを除く、主人公単体のアクションがこれまた単調。
装備レギオンによって少しは変化するが、攻撃は剣での連続攻撃だけで、多彩さがまるでない。
剣を振るアクションやジャンプが妙に重く、軽快さもない。
この重さは狙ってやったのかもしれんが、俺は好きにはなれなかった。
妙に使い難いロックオンシステムもなぁ……うーん。


上に書いたが、グラフィックは上質。ムービー共々非常に美しく、ここは満点と言っていい。
だがステージに似通ったものが多く、グラフィックもまた単調だったことは否めない。
どのステージも「遺跡」「廃墟」な雰囲気ばかりで、全く区別がつかなかった。
これは世界設定が理由なんだと思われるが、作り込み不足も関係しているのかもしれない。
このグラフィックレベルでもっと多彩なステージを作っていれば、
ゲームの印象はもうちょっと良くなったかもしれない。
まぁそれ以前にやるこた幾らでもあると思うが。

音楽もそこそこいい。暗くて重めの曲が世界に合ってる。
押尾先生のED曲もまぁまぁいいのではなかろうか。知らんけど。


物語、世界設定は……一言で表すと「※」。業界用語でただイケってやつ。
美形キャラがクールで重い宿命で美形の元親友と戦うお話。
元親友は数年前、共通の知人で共通の想い人だった女性の死で狂気を帯びてしまった。
……今気付いたが、これ、この前やった「武刃街」とそっくりの設定だな。主人公の姿もよく似てるし。
ちなみにカオスレギオンはラノベの原作があるらしい。まぁ興味が湧くほどではないが。

正直言って非常に安っぽい内容で、とてもじゃないが入り込める物語じゃない。
……なんか最近はゲームの物語に「安っぽい」ばかり言ってる気がするが、
それだけ2次元業界のお話が似通ったものばかりになってるってことなんだろうなぁ。
まぁ確かに、今の時代に斬新な話なんて作れるとは思えんけど。はぁ。
一応登場キャラを説明すると

・ジーク
赤い髪のイケメン主人公。無愛想だが剣の腕は一流。カオスレギオンを召喚できる。

・ドラクロワ
ジークの元親友。シーラの死でおかしくなり、世界破滅→シーラの一つに を望むようになる。
長白髪のイケメン。最後はシーラと手を取り死の世界に消えていった(はず)。

・シーラ
OPデモで死ぬ女性。もちろん超美女。ドラクロワはジークが殺したもんだと思い込んでいたが、
実際は暴走したドラクロワに殺されていた。何か死に際にジークに託していた。
なんかよう分からんが、美女が死ねば悲劇になる。俺が死ねば何もない。はぁ。

・アーシア
途中から登場する生身ヒロイン。仲間をドラクロワに殺された。
ジークに帯同するが、ジークはドラクロワしか見てないので疎外感を覚える。
最後は生き残ったジークに「私もいるよ」とちゃっかり存在をアピールする。まさに「※」。
誰一人笑わないこの世界において唯一笑顔を見せてくれた存在。少々好感。
ちなみに戦闘キャラとしても使用可能。
弾数無制限のチャカを使えるので、ある意味剣のジークより使い易い。
もうちょいコスチュームがエロ……魅力的だったら、アーシアモードもプレーしたかもしんない。

んなとこ。
彼らが中世的な世界で戦う。感じ。まぁそんな感じ。
ゲームが売れてたら腐方向に人気が出たかもしれんが、恐らくそれもなかっただろう。
イケメンでなきゃダメだが、イケメンというだけで良しとするほど世の中甘くないのだ。
……っておい、じゃあイケメンじゃなきゃもうどうしようもないんじゃないのか?
その通りだよ畜生。
はぁ。


キャラや世界は良いとして、最悪なのがキャラボイス。
「グランディア3」もかくやと言うほど劣悪な演技のキャラばかり。
もちろん俺たちの押尾先生もだ。つーか押尾先生の主人公が一番酷い。初代鬼武者より酷い。
いつも思うが、こういう糞演技は何故通るんだ?
本人だって収録した声を聞いたりするだろうし、何より周囲にスタッフがいるだろう。
こんなもん出したって誰にとっても損なだけだ。
一流の演技は無理としても、せめて普通に聞けるレベルにまでは出来ないのか。
この点は納期云々じゃなく、完璧な手抜きだな。駄目だ。

どうやらこのゲームは英語をメインに作ったようで、ムービーの口パクも日本語だと合ってない。
なんだ、初めから日本市場はオマケ扱いで作られたゲームなのか。
そう考えると同情心が薄れてきた。
何にせよ、愛せるゲームではないよなぁ。


難度は極めて低いが、クリア後に登場するハードモードではようやく手応えが出てくる。
と言っても、なんちゅーかセンスのない難度の上げ方で、難しくはなっても燃えるものはなかった。
一応クリアーはしたが、達成感も優越感も何もない。
ハードクリア後には「スーパーモード」が登場した。あらゆる敵を一撃で倒せるモードらしい。
アホか。



はぁ。
最初に書いたが、プレーを開始したのは押尾事件よりも前である。
しかしあまりにもゲームが単調なのでちっとも継続する気になれず、こんなに時間がかかってしまった。
ハードモードに入ると少しだけマシになったが、それもあくまで「マシ」程度。
これは駄目だなぁ。売れなくて当然だし、カプコンブランドが崩れて当然だ。
なんでこんなゲームを、「分かってて」こんな状態で出したんだよカプコン。
短期的な儲けを優先したって、ゲームの出来が悪けりゃ後々にまで影響してくるのに、何故それが分からない?

つってもまぁ、経営側には経営側の理屈があるのだろう。
ゲーム産業は不安定な世界だから、短期的な儲けを常に確保しなきゃならないのだろう。
それに2003年より後は「モンスターハンター」の特大ヒットもあり、
カプコンアクションのブランドは寧ろ以前より上がったもんな。
結果論として、カオスレギオンを捨て駒にしたのは正解だったのだろう。
あはは。ったく世の中残酷なもんである。

俺自身、お世辞にも面白かったとは言えないが、一応オタクとして事情を汲んでやり、サラッと流しておこう。
押尾ネタで1分くらい大笑いできたのはこの時期・このゲームならではだ。それを価値としておこう。
何も心に残らなかったが、メーカーに失望するでなく、スルーする。
いやはや、俺も大人になったもんだよ。はぁ。


こんな風に、纏められなかった結果低難度で茶を濁したゲームは、もちろん駄目である。
逆に、ロクに調整をせず糞難しいまま出したゲームもまた、駄目である。
このうち客の怒りを買いやすいのは後者だろう。前者はそれもなく、ただ忘れられていく。
……どっちの方が、ゲームにとっちゃマシなのかな。
無味無臭で消えていく方か、悪いなりに印象に残る方か。
客の印象に残るだけ後者の方がマシな気がするが、会社としては後に尾を引くのはまずい。
うーん。どっちもどっちか。


ま、なんにせよ、ゲームメーカーにも俺にも立ち止まっている暇はない。
次ゲーにいくさね。さようならカオスレギオン。
糞難しいゲームにフルボコされた時、もしかしたら癒しを求めて再プレーするかもね。
はぁ。なんだか悲しく終わり。
ゲームは作品であり商品。いや、作品である前に商品。
分かっちゃいるけど見たくない現実。
はぁ。





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