腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

てんたま ~1st Sunny Side~(PS2版)

2012年10月11日 23時28分37秒 | PS2ゲーム感想文
KIDと言えば、代表作は「メモリーズオフ」シリーズ、及び「Ever17」を筆頭にしたループものシリーズである。異論は認めない。
……いや、異論どころか、今やKIDを記憶に留めてる人も少ないか。所詮中小ギャルゲメーカーでしかなかったもんな。
それでも、後継と言える5pb社は今や業界でもかなりの存在感を持つメーカーに成長した。それはKIDの下地あってのことだと考えたい。
ギャルゲ、コマンド選択アドベンチャーは作風を変えて今もちゃんと根付いてる。それでいいんだと思う。いいんだよ。多分。
はぁ。


で、KIDはギャルゲメーカーであった。PS~PS2期間に非常に多くのギャルゲを発売した。その全ては俺も把握すら出来ていない。
潰れてしまった今では、ぼんやり「旧KIDゲーを全てやってみたい」と考えていたりする。決意したわけじゃないけど。
まぁ取り敢えず一本てことで、俺がメモオフシリーズとループもの以外で初めてプレーするKIDギャルゲが
「てんたま ~1st Sunny Side~」である。
元々はPS時代の古い作品で、後にDC、PC、そしてPS2に改良移植された。KIDらしい完全版的展開だな。
ちなみに俺が買ったのはPS2のベスト版だったのだが、中古購入なのにビニールに包まれた新品だった。
……恐らくKID倒産時かその寸前に、捨て値で流れた在庫品の末路だったのだろう。無念の想いがソフトに染み付いているようだった。
ンなことは関係あるようで特になく、プレー開始。現世代機に慣れていると、PS2の電源を入れるのが面倒で仕方ない……。


システムは、いつも通りのアレ。そう表現するしかない。ゲーム性に中指を立てた、コマンド選択式アドベンチャーである。
100年前のシステムだが、その分環境設定には細かく配慮をしてあり、プレー自体は極めて快適。KIDシステムってやつだな。
正直これを褒めていいのかどうかは微妙なとこだが、「痒い所に手が届く」気配りはまぁ賞賛されていいだろう。
実際他のゲームは「ここをこうすればもっと快適なのに。つーか普通に考えたら分かるだろ?」てな部分多いもんなぁ。
KIDギャルゲのその辺の不満はない。うん、見事だよ。ゲーム性? そんなもんに固執する頭の固い奴は……うああああ。


さて、後は内容を語るしかない。ギャルゲであるが、もちろん真面目にやる。

タイトルの「てんたま」は、「天使のたまご」の略である。たまごは半人前の意味な。
ある日、主人公の下に見習い天使がやって来る。天使試験の課題、「主人公を幸せにすること」を履行する為らしい。
かくして二人の同居生活が始まる。やがて主人公の周囲にヒロイン達が登場するが、それを知った天使の子の胸はモヤモヤと……

って感じだ。陳腐な内容だが、元々は初代PS時代の作品だからその辺は仕方なかろう。当時はシンプルで良かったんだよ。
内容的に「ぴたテン」を思い出した。実際似通った部分が多いから、多分参考にしてるんじゃないかと思う。
ぴたテン全巻持ってるし、アニメも含めて結構好きだったんだよな。コゲどんぼ氏って今どうしてんのかな。何もかもが懐かしい。


今作は本編の前に、長めのプロローグが挿入される。
今だと何て事のない作りだが、これ、発売当初は結構斬新だったんじゃなかろうか。
「君が望む永遠」辺りと似たことをより早くやっている。あれほど長いプロローグじゃないけど。
それと、プレー中視点が頻繁に主人公以外のキャラに変わるんだが、これも当時としては斬新……は言い過ぎにしても新鮮だった、かもしれない。
ギャルゲってのは性質上完全に主人公の一人称になりがちだが、今作は違うのだ。「おっ」と思えたので、一応褒めておこう。

プロローグでは、高校入学直後の主人公に彼女が出来て、しばらくは幸せにカップル生活を送るが、
やがて彼女の持病が悪化し、その年のクリスマスに亡くなるまでが描かれる。
選択肢も何もなく彼女が出来たので何かが起こるとは思っていたが、死別は辛いものがあった。うう、重い。
当然ながら主人公は心に深い傷を負い、それに引き摺られる。だが時間は無情にもどんどん流れ、彼の環境も変わっていく。
やがて天使の子が現れた頃、様々な女性との縁が生まれてきて……以下、各シナリオへ。うむ。


まず最初に全体的な感想を言っておくと、今作は「設定は良いのにシナリオは悪い」と思った。強くそう感じた。
プロローグの悲劇から始まり、天使の来訪、そしてキャラ設定、一通りネタは揃っている。「面白くなりそう」と思える。
が、そのネタを使って描かれる物語の質が高くない。どうにも淡白でのめり込めない。ぶっちゃけ、面白くない。
特定キャラだけだと考えていたら、結局ヒロイン6人のシナリオ全てがそうだった。ハッキリ言ってハマり度は最低クラスだった。
古いゲームだけに荒いのも仕方ない……と弁護したい所だが、今作はコマンド選択式ギャルゲである。
このジャンルがシナリオを頑張らずに何をどうするってんだ。新旧の問題ではない。単純に質が低いと言うしかない。
繰り返すが、ネタは良い。でもそれを扱う調理師の腕が悪いと言わざるを得ない。
おぼろげな記憶では当時評判が良かった気がするんだがな……やはり古いことが問題なのかのう。はぁ。

古さと言えば、グラフィックもなかなかに古い。まぁ画風が古いのは仕方ないにしても、これまた質が低い。
今作は今も現役で活躍中のKID系イラストレーター・松尾ゆきひろ氏が担当しているが、まだ駆け出しだったのかなぁと思わせる出来だ。
一枚絵はそこそこだが、立ち絵が全体的に拙い。そのせいで一枚絵イベントではキャラまるでが別人に見えてしまい、違和感だらけ。
ゲームに継ぎ接ぎ、貼り合わせ、作り物臭さを強く感じてしまい、没入できない。もっと似せろよ。当然だろうが。
美少女絵は時代に左右されやすいものだが、画風でどうこう言えるレベルではない。
PS2移植の際に徹底的に見直して欲しかったと思うのは贅沢かなぁ。ギャルゲなのに、残念である。


ゲーム性皆無、極めてシンプルなコマンド選択ギャルゲの今作だが、一つだけ、「アオイを探せ!」というミニゲームが仕込まれている。
これはゲーム中の背景にひっそりと隠れているマスコットキャラを発見し、カーソルで捕まえるというものだ。
全部で30匹くらい存在し、見つけた数によってオマケCGが開放される。恐らくPS2(DC)移植時の追加コンテンツだと思われる。
他のジャンルならどうと言う事もないお遊びだが、ことギャルゲにおいては、この程度のゲーム性でも非常に嬉しかった。
おかげでアオイを探す為に常に画面を凝視し、集中する癖がついた。このミニゲームがなけりゃ一体どんなプレー形態になってたことか……。
ただ自力全発見はやはり難しく、途中からはシナリオ攻略と一緒に攻略サイト様を頼った。こんなもんでいい。
単純に見えにくい場所に隠すだけじゃなく、もう少し工夫を凝らして欲しかったというのは贅沢か。贅沢だな。
こういうネタは現代ギャルゲに入れても面白いと思う。誤字発見ゲームとかどうかな。うーん。


ギャルゲに難度も何もないと思っていたが、今作はある意味非常に難しかった。
普通にやっていても、何故か目当てのキャラシナリオにちっとも辿り着けない。つまり好感度調整にどこかで失敗しているのだ。
俺がマイナスと判断した選択肢が実はプラスになってるのか、その逆か、取り敢えず俺の感性では分からなかった。
プレー中、特定の時期に「現段階で誰のシナリオに進みつつあるか」を教えてくれるシーンが挿入されるのだが、
その時点では上手く行っていても、最終的には別キャラの個別シナリオに入っていたりする。マジで分からん。
もう少し選択肢の効果を明確にはできなかったのか。根拠を感じない正否に納得はできないよ。
途中からは攻略サイト様ガン見でやったが、ギャルゲでのこれは負けではないので、特に問題はない。
でもやはり各キャラのシナリオくらいは自力で自然に進めたかったと思う。うーん、あかん。


さっき書いたが、プレー中に何度か場面が変わり、見習い天使達(花梨の後輩達)によるゲームの状況解説シーンが挿入される。
このシーンは完全に本編から切り離されていて、「ミスったらリセットしてやり直せ」等、所謂「楽屋」ネタがてんこもり。
ここを担当する二人のロリ天使は、外見からは考えられないほどキャラが壊れていて、物凄い暴言を連発する。ギャグとしてだが。
二人のロリ美少女が毒舌吐きまくるのはなかなかに強烈で面白かったと言えるが、一応シリアスな本編の途中でこれを挟まれるのは……。
本編に浸っているプレーヤーがいたら、雰囲気ぶち壊しではなかろうか。俺は幸か不幸かそうでなかったから楽しめたけど。
ギャルゲでここまではっちゃけた展開は何気に初めて見たかもしれん。少なくとも本編中では他に知らんわ。
今作一番の特徴はここかもしれん。面白かったよ。紅絹(もみ)&加絵よ、次はヒロインとして登場しろよな。は。



じゃあ後はキャラ評、シナリオ評に入る。前述のようにシナリオの質は低く、あまりハマれなかった。しゃーない。
ギャルゲはシナリオ終盤が一番盛り上がるもんだが、どのシナリオもとにかく淡白だった。これじゃなぁ。ダメだろ。



・早瀬川椎名

これで「はせがわしいな」と読む。取り敢えず名前が破天荒な主人公。長谷川以外のはせがわさんは初めて見た。
また「椎名」も、苗字じゃなく名前で使ってる人は初めて見た。これ一般的なのか? 徐々に慣れたけど、最初は非常に違和感があった。
名前を除けば特徴のないギャルゲ主人公。当時としては珍しく顔を見せるキャラなのだが、性格は本当に無味無臭でつまらない。
普段は普通に暮らしてるくせに、要所要所で亡き彼女の事を思い出し、彼女を忘れていいのかとか何とか苦悩する。
常にその影があるなら分かるが、これではそれこそイベント悲劇に浸っているようにしか見えない。当然、好感は持てない。
椎名のキャラが立っていないことは、今作のシナリオのつまらなさの大きな要因になっていると思う。こいつじゃあかんわ。
下級生から人気が高く、割とイケメン設定である模様。本来は俺如きが批判するなど恐れ多い存在であることは間違いない。はぁ。


・相沢貴志

所謂主人公の親友、兼3枚目キャラ。ナンパ好きで女の子に声をかけまくるが成功率は非常に低い。在り来たりだなぁ……。
ただ椎名同様イケメン設定ではあるようで、モテるにはモテる。ナンパ男はただのファッションなのである。ケッ。
別に嫌な奴ではないが、他のギャルゲのようにシナリオ主人公を助けてくれるようなこともあまりなく、存在意義が薄い。
寧ろ千夏シナリオで常にこちらに迷惑をかけてくれていたように思う。まぁ親友だから迷惑とは言わんかもしれんが。
双葉の遺言を守り、椎名のことを重視するあまり千夏を邪険にしたと言ってたが……ンなこと口にしちゃいかんでしょ。
出番が多い割にこれと言った役目がなかった印象。友達だけどな。親友か。はぁ。


・相沢早智子

貴志の姉で、椎名は昔この人に告白し、振られたらしい。つっても今も確執はなく、仲良くしてくれている。
……どう考えてもヒロイン設定なのだが、この人はサブキャラ、落とすことはできない。正直何故なのかさっぱり分からん。
かと言って助言サブキャラとしてシナリオに絡んでくるわけでもない。年の割りに所帯染みてる所がネタにされてるだけだ。
サブキャラが多い割に存在意義を感じられないのも、今作の欠点だな。うーん。


・葵

椎名の元にやってくる花梨と同じく、天使の子。彼女は貴志の所にやってきて、そのまま居候となる。
……この子も、攻略対象ではない。一応オマケシナリオは用意されているが、貴志に惚れて駆け落ちしてしまった。
それはいいにしても、惚れた理由がプレーヤー、椎名側からはイマイチ分からんので、やはり困惑してしまった。
まぁ貴志にくっ付いて東京に旅立つEDはなかなか微笑ましかったので、そこは良かった。
花梨の従者のアオイと犬猿の仲って設定は何だったんだろう。もっと使えばいいのに。


・奈菜

天使3人集の一人で、千夏の下にやってくる。3人の中では一番大人びていて、攻略し甲斐がありそうだと思った。
……しかし当然のようにサブキャラ。何度か二人きりで接するイベントがあったりするのに何故なんだ。マジ理解不能。
葵同様個別のオマケシナリオがあったが、色恋ネタではなかった。天使組一番の色気は何だったんだ。勿体無いったら。



ここからは攻略ヒロイン。全6人。


・小高真央

一つ下の高校1年。椎名とは別の女子高に通っているが、中学は同じで、中学時代から椎名が好きだった。
……が、中学時代は照れと緊張で、椎名に近づく→話しかけることが出来ず逃げ出す を繰り返した。このせいで椎名に変な子と記憶される。
高校生となって再会すると何故かその辺は解消され、普通に懐いてくる後輩になっていた。うーむ、しっくり来ない。
このキャラは、女子高の先輩「吉沢初音」と同時進行のシナリオとなり、個別シナリオに入っても初音エンドルートもある。
要するに三角関係で、個人的には大好物なネタなんだが……キャラの魅力の薄さ、シナリオの淡白さにより、楽しめたとはとても言えん。
真央は椎名の事は好きだが、親友(年は一つ違うが)の初音も椎名が好き。友情を取るか恋を取るか? で悩む。
椎名は椎名で、未だ双葉のことを引き摺り、俺は幸せになっていいのかとかグダグダ悩む。双葉が生前そう願ってただろうが。
それらのネタはいいんだが、描写が只管あっさりしているので、プレーしていても浸れない。感情移入ができない。
もっとじっくりキッチリドロドロに描いてくれれば深刻さも感じられたが、今作の内容ではどれもファッション的感情にしか思えなかった。
特に「真央ルート」で迎える「初音ハッピーエンド(ベストではない)」は最低で、グダグダの極みだった。
最初の攻略キャラだったが、今作を象徴するように様々な不満が凝縮されていた。はぁ。


・吉沢初音

真央の一つ上の先輩で、椎名と同じ高校2年。真央が椎名と再会した際に同じ場にいて、知り合うこととなる。
元気娘の真央とは対照的に大人しい性格で、椎名は「双葉に似てる」と感じ、意識するようになる。
一方初音側も女子高で男に免疫などなく、普通にイケメンな椎名と会話しているうちに普通に恋に落ちる。それでいい。
そして真央シナリオと同様、展開は二人同時進行に。シナリオの淡白さやグダグダっぷりも同じだ。
正直ルートを分けてもやってる事は全く同じとしか思えず、個別に用意する意味が感じられない。
「初音ルート」の「真央ハッピーエンド」もやはり存在し、最低っぷりも同様。つーかキャラ入れ替えただけだろ。
なんつーか本当にスッカラカンでイライラさせられた。一枚絵と立ち絵の激しい違いも不快だったなぁ。
あとこの二人はラクロス部に入っていて、一応話にも絡んで来るんだが、練習や試合の細かい描写はなかった。
せめてラクロスに詳しくなれたら少しは救われたのに、それすらも出来なかった。はぁ……。



・榎理香子

椎名の一つ下の後輩で、同じ学校に通う。中学の頃から椎名に憧れていたが近づく度に逃げていたという、真央とモロ被りの設定がある。
このキャラも今作の淡白さを凝縮したようなシナリオで、どこにも見所がない。
家が神社のため霊感があり、花梨らの背中に生える天使の羽が見えること、実は彼女もある天使の試験対象者だった事等の設定があるのに、
それが物語では殆ど生かされず、ありゃ一体何だったんだと言わざるを得ない。ネタを使えよ。何のための設定だよ。
従って感想も特にない。「何の起伏もない恋愛」が悪いとは言わんが、それを「読ませる」ものにしてこその作品だろう。
お団子頭が可愛らしく、見た目は好みなキャラだったので残念である。はぁ。



・七瀬結花

二つ年上のお姉さんキャラ。椎名の学校のOGで、在学中は貴志の兄に惚れていたが、告白して振られたらしい。
最初は貴志にその兄の面影を見ることで椎名と知り合うが、以後はその影に縛られることもなく、二人の世界に入る。
しかしこの人はなかなかに曲者で……途中、双子の姉「香乃」というキャラが登場する。見た目はそっくりだが性格は正反対。
香乃も結花と同様に椎名と仲良くするが、やがて話に綻びが見えて、二人が実は同一人物、つまり結花の演じ分けだったことが判明する。
しかしこれ、所謂二重人格かと思えばそうではなく、結花がちゃんと意識して別人を偽装していたのである。
それも理由が「友達がいなかったから寂しさ故に」という泣くに泣けないもの。これはなぁ……。
小学生くらいなら分からんでもないが、彼女は19歳、大学生である。さすがの俺でもちょっとどうかと思う。
そうなった理由も「引っ込み思案な性格だから友達が出来なかった」という、言ってしまえば自業自得なもの。
椎名は「寂しかったから」という事情に自分と似た部分を感じて同情するが、俺はとてもじゃないが同意できなかった。
そもそも二役をやって椎名を騙したことは間違いないのに、それを謝罪していないし。普通怒るだろ、あんな事されたら。
トゥルーエンドでは幸せそうにしていたが、あれは依存ってやつじゃないかのう。まぁ依存が悪いとも言わんけど。
例によって淡白な内容に加え、全く感情移入できないシナリオであった。これは辛いよう……。



・花梨

椎名の下にやってきた天使の少女。メインヒロインは最後にしようと思っていたが、紅絹に千夏がそうだと言われたんで、先に。
天使だがもちろん日本語を話すし、名前もまんま日本人。見た目の違いは背中の羽くらいで、それも椎名らにしか見えない。
一応天界と人間界を行き来はするようだが、それ以外で「人外」らしさがまるでない。これもまた設定を生かせてない、か。
個別ルートに入って椎名と両思いになると、「天使と人間が結ばれちゃいけない」という決まりのせいで悩むが、
「何故いけないのか」についての説明がなかった。普通に考えれば種族差なのだろうが、前述のように差異を感じられないし。
ンなことは本筋とは関係ないかもしれんが、俺は気になるんだよなぁ。
天使の寿命はどれくらいなのか、人間と子を成せるのか。単に結ばれて終わりじゃない。物語には続きがあるんだよ。
最終的に天使試験は不合格になるが、その追試として椎名の下に帰ってくる。椎名が幸せになるまではずっと一緒だ、と。
うーむ、何度も言うが、天使という設定があまり生きてないよ。これじゃ他のヒロインと変わらん、ただの恋物語やん。
はぁ。

見た目はロリっ子路線で、他キャラと比べて立ち絵と一枚絵の差が小さく、普通に萌えるキャラであった。げへ。
喋り方は「椎名、~ですよ」って感じに似非丁寧語を使う。また謝罪は「ごめんちゃい」である。お前いつの人間だよ。天使か。
この口調は、担当声優・こおろぎさとみ氏の声と演技にがっちりハマっていて、非常によろしい。非常に可愛らしい。
こおろぎ氏は当時でもベテランの声優だが、この声なら今でも美少女系でいけるんじゃなかろうか。
……顔が大事な現代じゃ無理か。声優なのになぁ。俺は声さえ良けりゃ中の人はどうでもいいよ。



・篠崎千夏

紅絹&加絵に「このゲームのメインルート」と言われていたので、最後に攻略した。
この子と貴志、そして椎名は幼稚園の頃からの幼馴染で、そこに1年前から双葉が加わり、4人でずっと仲良くしていた。
そして千夏は貴志のことがずっと好きだったものの、双葉の死後に関係がギクシャクし、それがシナリオ上ずっと問題となる。
……だが、この「貴志と千夏の関係」については、ゲーム中何度も何度も問題になるものの、終始理解不能だった。
貴志は所謂ナンパ野郎で、女の子を見ればすぐ声を掛けて口説く。それを見つけた千夏は怒り、スリッパで貴志を殴る。
もちろん千夏の咎める口調や叩き方はギャグの域を出ていない。「よくあるシーン」でしかない。
また貴志はイケメンながらナンパ成功率は低く、少なくともゲーム中は成功していない。これもよくあるキャラ作りだ。
なのにこの二人の関係が、ゲーム中ずっと「貴志と千夏はギクシャクしている」と表現されるのだ。本当に全く理解できない。
仲が悪く見えるわけがないし、本心では好き合ってるようにも感じない。千夏が貴志のナンパに怒るのも、嫉妬には見えない。
これほど感情移入が難しいシナリオも珍しい。他のプレーヤーはこれが分かるのか? 

語られている話が、理解できない。自分の感性と製作者のそれが、全然かみ合わない。
俺はこういう時、大袈裟だがちょっと恐怖を感じるのだ。元々自分の感覚に自信がないので、
「シナリオじゃなく俺がおかしいのか?」と疑念を抱いてしまうのだ。うあああ。
千夏シナリオはその最たるものだった。幼馴染、親友を絡めた三角関係、ネタとしては最高級に良さそうだったのに。

個別シナリオに入ると、結局仲違いが行き着く所まで行ってしまった(らしい)二人は、お互い好きなのに破局する。理解不能。
んで千夏を慰めていた椎名は情が移り、千夏も優しくされて椎名を好きになり、二人は結ばれる。らしい。
この展開はまぁ、現実でもよくある事だろう。長い間の想いが実るとは限らんし、逆にごく短時間でくっ付くこともある。
ただ今作の場合、とにかく貴志と千夏の関係に納得ができないからなぁ。椎名と千夏は最初からずっと良好な関係だったし。
EDとしては、トゥルーより、貴志が突然東京に旅立つというハッピーの方が面白かった。退屈なシナリオで唯一驚いた展開だった。
こんなもんだろうか。幼馴染なんだから、過去を絡めて大きなイベントを用意してほしかったなぁ。
ホント、ネタは豊富なのに生かせていなかった。10年ちょい前の作品。たった10年前、とは言えないのかなぁ。




はぁ。
こんな感じで、率直に言って、ギャルゲ、読みゲーとしてもプレー感触は非常に悪いレベルの作品だった。
メモオフとループものはやはり知名度の分、KID作品の中でも質が高い部類だったのだろう。今作をやってそう思った。
てことは他の未プレーKIDギャルゲの質も推して知るべし……になるのかな。さすがにそれは言い過ぎか。
今作にも直系の続編は存在するが、この感触ではとてもじゃないが興味をそそられることはない。
まぁ俺の場合、投売り具合で手を出すことは十分あり得るが……結局その機会があれば、かな。

一般的にアクション系のゲームは、新しいゲームの方が面白いと言われる。単純に技術やグラフィックが勝るからだ。
だがギャルゲのような物語主体のジャンルなら、そうとは限らない。優れた作品は金字塔として長く生き続ける。
……と思っていたが、何だかんだ言ってコマンド選択アドベンチャーも新しい作品の方が(基本的に)優れているのかもしれない。
旧作を踏まえて作られる新作は、その時点で旧作より大幅有利なのだ。どちらを選んでもいいのなら、やはり新作を選ぶべきでは……?

……いや、そうとは限らんだろう。古かろうと新しかろうと、面白いもんは面白い、逆も然り。単純なことだ。
アクション系のゲームだって、近年の狂ったハード性能向上の為に、最早昔の定説は通用しない。数年前の作品でも十分面白い。
市場の注目を集めるという点では新しい方が有利だが、中身はそうじゃない。純粋に質で比較できる時代だ。
実に健全である。俺もごく自然に古いゲームに触れることができる。古いが何だ、同じゲームソフトじゃないか!
……今回のように、その結果面白くないゲームに触れる事も当然ある。まぁでも、偏見は持たないようにしよう。
今後も機会があれば懲りずにKIDギャルゲを漁ろう。限定版を狙って漁ろう。あの豪華な箱は好きなんだよな。あれ見ると欲しくなる。
KIDギャルゲとは何だったのか? 答えを探す俺の旅はまだ始まったばかりだ。次回の感想にご期待下さい。

はぁ……。









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