オートバイで旅して観たモノの記録

 Ôtobai de tabi site mita mono no kiroku.

東福寺

2019年01月26日 | 神社仏閣


 今日は京都南部でも大雪注意報が出ていて,朝早くから小雪がちらついていた.北風が強く,ときおり吹雪の様な荒れ模様になったかと思うと,急に晴れ間がさしたり,とにかく不安定な天候だ.こんなときは,オートバイは潔くあきらめて,観光でもするに限る.鈍行列車にゆられながら,京都市は東山区にある東福寺を訪れた.



 東福寺は臨済宗の東福寺派大本山で,嘉禎2年(1236年)から建長7年(1255年)までの19年を費やして建立された大伽藍だ.盛大を極めた奈良の東大寺と興福寺とから,それぞれ一文字ずつをなぞらえ東福寺としたと言われている.このときは大雪注意報が出ているとは思えないほどに,おだやかな陽が射していた.



 国指定名勝となっている東福寺本坊庭園を見てまわった.ここは東西南北に四庭が配置されており「八相の庭」といわれている.南庭は,6メートルほどの長い石を立石とのバランスをとりながら横に寝かせて,仙人・神人の住む海上の異界や山中の異境の楽園を表現した意匠形態となっている.



 北庭は,敷石を用いた市松模様の庭園だ.敷石が徐々に少なくなっていく配置構成となっている.庭園の景色は,人の手の入っていない山や川を見るのとおなじような感覚で自然と目に映ってくる.なんと表現してよいかわからないが,ただそこにいるだけで気持ちが落ち着いてくるような感じだ.昔の偉い人が,いろいろと考えて設計した庭園には,科学やAIでは到達できない神秘的な領域があるに違いない.



 本堂の天井には京都生まれの堂本印象(1891年―1975年)による龍の絵がある.龍穴神社龍鎮神社を訪れて,龍という架空の生き物に対して考えを新たにしたところだったが,龍と人との関係について疑問は深まるばかりだ.



 陽が射しているにも関わらず,強い北風が手伝って相変わらず小雪がちらついていた.手袋をしてないので,手先からすっかり体が冷えきってしまった.観光客のほとんどいない真冬の東福寺を後にした.関西では,明日の日曜日も大雪注意報が出ている.


コメントを投稿