三重県の天然記念物―楯ヶ崎―を目指して,国道311号線からリアス式海岸のV字谷を降りては登って,ようやく太平洋に面した海岸先端へと辿り着くことができた.常緑広葉樹林帯の山中海岸を抜けた先に広がっていたのは,打ち寄せる波によって浸食を受けたスロープ状の岩場―千畳敷―だった.
なるほど,地図で見たとおりに海岸先端はYの字になっていた.道のない陸地からこのあたりを眺めることができないのも当 . . . 本文を読む
楯ヶ崎まで行く為には、まず一度、国道311号線から海岸を二木島湾の海まで下って行く必要がある.二木島湾の海水は,とても澄んでいてきれいだった.またこの海辺には,阿子師(あこし)神社があって、海に面したところに鳥居が立っている.神武天皇東征の際,船旅での海難で命を落とした神武天皇の兄―三毛入野命(みけいりののみこと)―が祀られているという.
神武天皇も上陸した土地である楯ヶ崎を目指して . . . 本文を読む
和歌山県でキャンプした翌日,たまには海沿いを走って家路へと向かうことにした.国道311号線で三重県の熊野市,獅子岩のある辺りから海岸線沿いを北上していく.11月とは思えない暖かさで,そして熊野灘は青一色に晴れ渡っていた.
途中でオートバイを停めて,国道から二木島湾を見下ろしてみた.この辺りは,複雑に入り組んだリアス式海岸となっている.そして,前方に見えるリアス式海岸の反対側に,楯ヶ崎 . . . 本文を読む
奈良県は十津川村,大字大野というところに幸運を運んでくれるヴィナスがいるという.国道168号線から下北山村方面へと国道425号線を東に行くと,すぐに人面岩が頭上に現われる.誰が考えたのか分からないが,ユニークで面白い.
ここはちょうど,清納の滝から流れてくる大野川が,国道425号線と並行して流れる芦廼瀬(あしのせ)川に合流する地点だ.国道の出合橋と歩道の大野出合橋というつり橋があって . . . 本文を読む
和歌山・奈良・三重の三県境に位置する北山川のほとりで一晩を過ごした.翌朝,寒さと尿意で目が覚めた.時刻はまだ6時前だ.テントの外へと出てみると,辺りは深い靄(もや)で覆われていた.
河原へと降りてみると,北山川も靄で覆われていた.川も山もすべてが真っ白で,見えるのは河原の石ころだけだ.鳥のさえずりも始まる前で,辺りは白く,そして静寂に包まれた幻想的な世界だった.
河原を散策し . . . 本文を読む
嶋津の筏師の道に一歩足を踏み入れた途端,長いあいだ変わっていないであろう景色から,時の経過を濃縮したような独特な雰囲気に包まれるような気がした.森を外から見るよりも一層,不思議な感覚を覚えるのだった.
道に繁茂した苔の上を歩くと,ふかふかした感触が足元から伝わってくる.この感触が日常世界とは違った空間にいるような錯覚に陥らせるのだった.小さな森であるが,小道が縦横無尽に至るところに分 . . . 本文を読む
和歌山県は新宮市の熊野川町嶋津.メアンダリングしている北山川の中州に,楕円形をした森がある.自然に出来たにしては如何にも不思議だが,かと言ってこのような中州に森を人工的に作れるわけもない.本当に不思議なところで,嶋津の森と言われている.
川が増水していない限りは,この嶋津の森の中へアクセスすることができる.目印は日本一小さな観光協会だ.ここでは小さな可愛らしい坊やとお嬢さんが出迎えて . . . 本文を読む
キャンプ場で目覚めたとある休日の朝.テントが朝日で乾くまで,まだ時間はたくさんある.まだ薄暗いうちからオートバイに跨って,キャンプ場からほど近くにある布引の滝を目指すことにした.雲の垂れ下がった山の中に滝はある.
布引の滝へは,熊野川紀和線という三重県の一般県道から,特に名称のない舗装林道を進んで行く.霧の立ち込めた険しい山道を登って行かなければならない.オートバイは夜露によって,ス . . . 本文を読む
すっかり暑さも和らいで,朝晩は少し肌寒くなってきた今日この頃.4月以来となるキャンプツーリングをすることにした.久しぶりに相棒を一泊二日のキャンプ仕様にして,紀伊半島へ向かった.
国道169号線がトンネル工事により片側通行となっていて,和佐又山付近で10分程度信号待ちをしなければならない.それを回避するため,大台ケ原公園川上線から舗装路の林道辻堂山線を経由して南下した.途中,視界の開 . . . 本文を読む