オートバイで旅して観たモノの記録

 Ôtobai de tabi site mita mono no kiroku.

室生の龍をめぐる

2019年01月13日 | 神社仏閣


 この日は,年末以来となるすっきりとした晴れ間のある天候だ.相変わらず寒さは厳しいが,奈良県は宇陀市室生までオートバイを走らせた.自動車もオートバイも少なくて,あっという間に室生ダムに到着した.今日はこの先にある龍鎮神社を目指すことにした.



 龍鎮神社へ行くには,室生ダムの湖畔沿いを少し進んだところにオートバイを停めて,渓流沿いを歩いていく必要がある.陽の届かない山深いところで,川のせせらぎが聞こえてくるような場所だ.それだけで疲れた心が洗われていくような気がした.



 渓流沿いを歩いて行くと,すぐに龍鎮神社の鳥居があらわれる.このような山の中,さらには渓流沿いに神社があるというのだから驚きだ.辺りの神秘的な雰囲気に,気持ちは昂るばかりだった.



 鳥居をくぐり,石段を下っていくと,龍鎮の滝といわれる小さいがとてもきれいな渓流が流れている.奈良県ではこの清澄な水と環境をもって,『やまとの水』と選定しているそうだ.写真では伝わらないが,滝つぼ周辺だけがエメラルドグリーンに染まっている.



 渓流の奥側に小さな鳥居と祠のある本殿があり,渓流の手前側に拝殿がある.ここで,2019年最初の参拝を行った.関西に来ておよそ十か月,今年がよい一年になるようにお願いした.



 龍鎮神社で参拝をすませた後は,同じく室生にある湖,龍王ヶ淵へやってきた.県道から集落のある地域を通り過ぎて,山中の狭路を越えていくと,湖が忽然とあらわれる.ここは風がないと,鏡のようになった水面に周囲の山が映るといわれている.



 風は吹いたりやんだりを繰り返していたが,タイミングさえ合えば,確かに湖面は鏡面となって山と空とを映しだしていた.鏡面となった湖の底には,龍がいてもおかしくないような雰囲気があった.龍といえば,空を縦横無尽に舞っているイメージがある.しかし,以前,龍穴神社を訪れたときにも思ったが,龍は人が生きる上でもっとも重要な水の象徴として,崇拝されてきた神様なのかもしれない.

 室生,そこは龍と水にまつわる土地だった.


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