大阪に住む娘の話では、大阪は連日30度を超える暑さだと言う。今日の釜石は日中の最高気温が22度だ。海の方から気持ちのいい風が吹き、暑さは感じない。昼休みに甲子川沿いに出てみると、ハマナスの花が終わって、赤橙色の実がなっていた。今は遠野でも紫陽花が咲き、今頃の時期は咲く花も差がないようだ。相変わらず、日が刺す時もあるが、空には雲が多く、梅雨が明けるにはまだ10日はかかりそうだ。ただ梅雨が明けるとさすがの釜石も気温が上がって来るだろう。時々刺す日射しはもう強い夏の日射しになっており、たまに見る晴れ間にはもう空には積乱雲を認める。 2001年に小泉内閣が成立すると、現在、人材派遣会社のパソナグループ取締役会長である竹中平蔵氏が経済財政政策担当大臣に就任し、「規制改革」に乗り出し、グローバル資本主義、市場原理主義の政策を推進し、経済格差、企業格差の発端を開いた。「派遣」の範囲を拡大したのも同氏である。日本の産業構造の推移を見ると、新興国で製造業が隆盛になるにつれて、国内の製造業が減って行き、サービス産業が増加して行った。しかし、日本のサービス産業は生産性が低く、全体としての国内生産、GDPには増加が見られていない。かえって、派遣が拡大されたことで、就業率は増えたものの、実質賃金は低下している。2012年末からの第二次安倍政権では円安株高が演出され、個人の所得格差が拡大し、企業でも巨大企業は収益を得たものの、中小企業は苦しい状況に追い込まれている。中央大学名誉教授である富岡幸雄氏はかねてから法人税の不公平性を訴えて来られた。日本の法人税率は見かけは高いが、実際の企業負担は驚くばかりに低い。一時、ソフトバンクなどはわずかに法人税負担が500万円しかないことが注目されたこともある。様々な特別措置や租税回避策によって、グローバル企業ほど法人税が少なくなる、累進課税の逆転現象が起きている。本来なら国家に入るべき企業からの税が国庫には入らないため、税収が減り、国の借金が積み上がって来た。1989年の消費税導入の時点から、ほぼ一貫して、消費税と法人税は対となって、消費税が上げられた時には法人税が下げられている。現在、巨大企業は税負担を逃れて、景気低迷の中で、過去最高の利益を上げ、GDPの6割にもなる企業の内部留保を積み上げている。日本銀行がいくら国債を市中銀行から買い上げても、市場に供給された資金は回転せず、日本銀行の当座預金に積まれるだけである。貨幣が世の中を循環しない。現政権の経済政策が基本的に日本国内の経済を見据えたものではなく、ひたすら米国の要望に応えただけのものだからだ。誰もが今後の経済は好転しないと思うから、企業の将来に向けた設備投資は伸びず、余った資金は株に向かい、一時は株高が演出された。目の前の毎日の光景は変わり映えしないが、実際には日本の経済の屋台骨が大きく傾いで来ている。
ハマナスの実