ヒヨちゃんが行く!

松本市在住「大平滋子」の写真と詩のブログ

影踏み

2012-03-27 | アート



梅の木に
梅の花咲けば
見上げるものを
まだ枯枝なる
梅が枝に
光あふれて
濃き影つくる

影絵ふみふみ
行く道に
ムクドリ
番いて
渡り行く
そが影も濃き
流線形

襟元寒し
この弥生
見上げるばかりの
卯月恋しき
青き空

ペーパー ナイト

2012-03-26 | アート



夜の街明かりの中
丸めて
鞄につめてあった
雑誌を取り出し
広げてみた

光沢のある
広告ページが
街の明かりを
映し出した

つらつら
文字ばかりの
けれども白い
ページたちが
私の顔を
照らしてきた



私は
雑誌を急いで
鞄につめ歩き出した

わずかに夜明かりが
忍び込むバス停で
私は止まり
雑誌を開いた

本のにおいが
わずかに広がり
黒い紙面が
夜に滲んだ

一片の雪

2012-03-25 | アート



ほそい
月が
木星を
眺めていた
宵の口

すべてが
朧で
黒い
小さな
切片が
落ちていた

その一片でも
ほしくて
私は
必死に
手を伸ばした

春の夜の雪
まばらに
落ちる

どれだけ
手を伸ばして
いただろう

願いむなしく
帰る私の鼻に
一片の雪

くすぐったく
溶けていった

猫物語

2012-03-25 | ざれごと日記



赤い階段に呼ばれて
露地裏へと
歩き出したのでした



あら こんにちは!



私たち
仲良しなの



僕のことも忘れないでね
物陰からもう一匹
兄妹かしら?



ニャン
わたしもいるのよ



クンクン
私たちもいるのよ
仲いいでしょ?



はい
私が親分です

そうですかと軽く会釈をすると
いつの間にか
猫が8匹
足元にいました

私は猫と目を合わさないように
けれども猫を見ながら
逃げました
猫が一斉に後をつけてきました

もう私は後ろを見ることもなく
広い道路へと走っていました。