ヒヨちゃんが行く!

松本市在住「大平滋子」の写真と詩のブログ

森のはし

2011-03-10 | アート
森のはし
まだらに残る
雪の後

その角をまわれば
新しい光が
降り注いでいる

その角の
その角は
その森の
ぐるりで
いつまで経っても
出口はない

だから、お飛びなさい。
あなたの羽ばたくべき空へ
そこは、
この不自由な世界の出口

その代わり
あなたの身体はあなたが支える

それが自由の代償

森のはし
まだらに残る
雪の後

本当の自由って
なんだろう

宇宙

2011-03-09 | アート
夜の帳が下りて
紐でなわれた宇宙が
開けてきた

静寂に秘めた思いが溢れだし
パレットに「朱」を加える

赤で始まり
赤で終わる
葉っぱの生

青黒い空の下
運命の手綱を
しかと握りしめる

ツタ

2011-03-08 | アート
ツタに覆われた屋敷

ぽっこり、入り口が開いている

100年ぶりの王子様
ささ、前にお進みください
なかにはきれいな眠り姫
うっとり音楽を聴いて
夢を見ているでしょう

うっかり足を踏み入れたら
ツタに囲まれ取り込まれます

幾多の男達の
幾多の夢の血涙が
もうじき赤い芽を吹くでしょう


凍てる時を

2011-03-07 | アート
凍てた時を突き破る声のする

山の果て
地の果て
海の果て


私の心を揺らすのは
ただ一言の

愛の言葉


雪よ降れ
大地に染みとおり
芽吹きの壁を
突き破れ

海を満たし
魚達の眠たい目を
突き破れ

赤芽

2011-03-06 | アート
赤芽の芽が赤くなって
柔らかくなって
夜の闇に浮かんでいる。

街中を行けば、
光の海のなか。
光と、
光速で過ぎる、人の時間の中で、

目を腫らして 泣いていた

コケ

2011-03-05 | アート
虚仮歌などという言葉があって、
まずい和歌のことを言う。

虚仮とは仏教用語で、
内心と外相が違うこと、
真実ではないことを言う。

コケが青さを増してきた。
冬が逝く切なくも空虚な思いを抱く。
外は春色に染まってきたのに、
どうしようもなく、
淋しい。

そういう日もあると、
コートの襟を立て、
足早に行く、
公園の樹木の谷。
コケに蝕まれた桜の花芽が膨らみを持ち始めていた。

L版と2L

2011-03-04 | アート
不可思議に思うこと

どうして、2LはL版の3倍もの値段なんだろう?

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斜に構えれば
斜に世は見え
斜なるものを
人は避けゆく

斜にさす光は
美しさを醸す

私の斜め、
光の斜め、
どうしてこうも
眺めが違うのだろう

クェ

2011-03-01 | アート
鈍色の雲間から
光がさして
一瞬だけ湖面が光った

クェとオス鴨は鳴き
メス鴨は光のステージに
のぼってきた

北に帰ろうか
言い終わらぬ間に黒雲に覆われた空
やらずの雨が降り出した