なだれ込み研究所の一日

物語作家を目指すもの書きが、ふとしたことから変な事務所で働くことに!
日々なだれ込んでくる人や仕事、モノやコト観察記。

なだれ込み研究所で行われていること

2006-12-23 18:07:57 | ビジネスシーン
S木君がなだれ込み研究所に来たばかりの頃、K造さんがかけてきたサングラスは誰が似合うか、でサングラスをまわしっこしたことがあった。マフィアの親分のようなサングラスである。
S藤さんがかけ、私がかけ、それをきっかけに私のかけているメガネ、S藤さんのフライフィッシング用の偏光グラスと、次から次へとかけまくり、「似合わない~!」と大いに盛り上がった。

また別の日は、サイクリング用のヘルメットだった。
事務所に常備してある何種類かのヘルメットを、K造さん、S藤さん、そしてI村代表までも順番でかぶり、「似合う」「似合わない」とその都度、大笑いした。意外にも、いちばん似合ったのはI村代表であった。他の二人は代表に比べ、少しだけ顔が大きかった。

そして、先日のことである。
論客のI川さんが事務所に見えたとき、どこからそういう話になったのか今となっては覚えていないのだが、
「人差し指だけ伸ばして組んだ手で、4人が座っている人を持ち上げることができる。子どもの頃しなかった?」
とS藤さんが言い出した。普通の状態では持ち上がらないのに、座っている人の頭の上に順に手をかざし、それからもう1回やってみると上がるのだという。
「ホントですか~」
そういう遊びをしたことのなかった私は、即座に嘘っぽいと思った。
「ホントだってば。やってみるか」
ということで、S藤さん、I川さん、私の3人が立ち上がった。

その時、事務所にはパソコンのメンテナンスに来ていたF田夫妻がいた。この状態だと、座る人も含めてあと2人必要だ。察したようにご主人が立ち上がり、奥さんが一瞬、ギクッとしたように控え目に後ずさった。
「ぼくがやりましょうか」
後ろからS木君が、大まじめな顔をして立ち上がった。まるでお客様に気をつかわせてはいけない、こういう仕事は自分がやらなくては、と判断したような顔つきだ。
「いや、奥さんにやってもらおう」
S藤さんがこれまた仕事の指示でもするかのように、S木君に言った。

こうして、まん中にI川さんが座り、そのまわりをF田夫妻、S藤さん、私の4人が囲んだ。I川さんの脇と膝の裏側に、人差し指を伸ばして組んだ手を4ヶ所から差し込み、力を入れる。
持ち上がらない。
「じゃあ、I川さんの頭の上に、手を順にかざして」
S藤さんの指示に、真剣な表情で臨む大の大人3人。手が、少しずつあいだをあけた状態で8段に積まれる。
「さあ、持ち上げるぞ~」
「せーの」
そして、I川さんの腰が椅子から浮いた。

……なだれ込み研究所では、日々、そんなことが行われている。本日の記事、画像がないのが残念である。

[参考までに]
理系で左脳的なF田ご主人によれば、これは上げる方4人の力ではなく、上げられる方が手をかざすことで儀式的なものを感じ、身体が緊張して持ち上がるのではないかと。赤ちゃんが、起きているときより眠っているときの方が、全身の力を抜いていて重く感じるのと同じように。
へえ、なるほどねえ。