昔の望遠鏡で見ています

昔の望遠鏡による天体観望と、その鏡景写真についてご紹介します

アストロR-61D三脚架台

2019-03-24 | 天体望遠鏡

 

   R-61D鏡筒は、Fが20という珍しい長焦点屈折ですが、灰色の赤道儀を支える三脚架台もユニークな構造を持っていますので、ご紹介します。

 

 

  赤道儀と三脚架台の接合部ですが、現在の一般的なボルト接合ではなく、円盤を利用しています。スムーズな回転を意図したのでしょう。

 

  水平クランプも、回転軸に垂直に当たるのではなく、接線方向に近い角度で接しています。三脚架台の裏側を見ると、クランプが貫通している所を除いて、きちんと肉抜きがなされています。現在では、他社の三脚を利用できるように、様々なアダプターが用意されていますが、この円盤タイプだとなかなか難しいのではないでしょうか。

 

 

  同じ灰色のエイコー6T300赤道儀は、どうなっているかというと・・・。

 

 

  こちらは一般的な構造で、現在のものと同じでした。

  日本のアマチュア用天体望遠鏡の黎明期に、小島修介という天才的な設計者がいました。これらの望遠鏡もその流れを汲んでいると思われますが、その機構は異なっています。どのように形作られてきたのか、興味深いところだと思います。小島の偉業については、HP”昔欲しかった天体望遠鏡”で、情報交換がなされていますので、興味のある方はそちらをご覧下さい。


アストロ銘板の不思議

2019-03-21 | 天体望遠鏡

 

  アストロの銘板ですが、半分だけ変色しているものを時々見かけます。画像は、R-61DとS-5のロイヤル表示の銘板です。R-61Dの右半分が色あせているのが判ります。初め薄いシートか何かが張ってあるのかと思いましたが、そうではないようです。ホント不思議です。

 

  こちらは、アストロ表記の銘板ですが、変色はありません。銘板の穴は、ストッパー用に後で加工したものです。また、鏡筒の柄模様ですが、メンテナンスの際に塗装が剥げてしまったので、壁紙を張ってもらったものです。冬に持っても、冷たくなくて良いのですが、やはりかっこうは良くないですね。仲間内で壁紙望遠鏡と呼んでいます。


アストロのファインダー

2019-03-15 | 天体望遠鏡

 

  アストロの初期S5型に付属している6倍30mmのファインダーです。長く製造された製品だと、思います。このファインダーを見て、どこのものか判る人は、古スコ病に感染しているのではないかと思いますので、一度、病院に行ってください?!

  さて、私の目が行く、いの一番の場所は、肉厚の対物フードです。何もこんなに厚くなくても良いと感じます。でも、この丸みと厚みのある部分に、なぜか高級感と造りの良さを感じてしまいます。

  よく見ると対物レンズが大分手前に来ています。ビクセンのオズマ8cm屈折鏡筒ほどではありませんが、対物部の下の鏡筒部分を細くするため、いわゆるフード部分に対物レンズを持ってきたのでしょうか。夜露の防止や遮光のためには、まったく逆方向の設計ですが、このことが、形状の絶妙なバランスをとることに、つながっているような気がします。アストロの望遠鏡は、かっこうが良いので、よく「人気のアストロ」という枕詞を用いられますが、こういったところにも秘密があるのだと思います。

  対物キャップも金属製のしぼり加工されたもので、その形状はとてもしゃれています。ジャムおじさんの帽子に少し似ていますね?


西村15cm反射 蓋類

2019-03-13 | 天体望遠鏡

  西村15cm反射経緯台の蓋類を,ご紹介します。昔の望遠鏡は、メンテナンスのことを考え、蓋類が充実していました。

  左から、鏡筒蓋、斜鏡蓋、主鏡蓋です。後者の二つは、その後の小型機では見られないものでした。

 

  同じく、内側です。斜鏡蓋は、ぴったりはまって、そう簡単には落ちません。主鏡蓋もぴったりで、被せる際に、すーっと空気が抜ける感覚が判ります。斜鏡蓋と主鏡蓋は、鏡筒を移動する際には、誤って外れ鏡にキズを付けることの無いように、取り外すことが必要です。外す順番は、落としても大丈夫なように、初め斜鏡蓋を外し、最後に主鏡蓋となります。取り付ける際は、その反対です。

 

  斜鏡蓋の内側です。接合は、ろう付けのようです。本体は、塗装がなされているのかどうかも判りませんが、錆ることはないようです。

 

  ファインダーの蓋です。

 

  ファインダー蓋の裏側です。マジックインキで黒く塗られています。これは、オリジナルなのか、前の所有者が行ったのか、不明です。いまいち美しくありませんが、このままとしています。

 

  ファインダーの対物部です。セロハンテープが巻かれ、隙間の調整がされています。これも、いつ巻かれたのか、判りませんが、30年以上前のことです。まだ、機能していますので、セロテープの耐久性は、すごいと言うことが判ります?!

 

  ファインダーの接眼スリーブ部です。らせん状の溝があります。内側の面から、素材は真鍮のようです。昔、旋盤加工を行った際に、真鍮は削りやすくて良いのですが、切り粉が細かな粉状になって、機械の清掃が大変だった記憶があります。

 

  ファインダーのアイピースです。ビス用の穴もありますが、入手時からこのままでした。ファインダーの視野は、現代のものと比較するとあまり広くありませんので、以前は他のものを取り付けていましたが、今は、オリジナルの方が格好良いですので元に戻しています。

  昔は、どちらかというとありふれた機械でしたが、今となっては絶滅危惧種ですので、改造したりファインダーを捨てたりしないで良かったと、本当にしみじみ思っています!?


カートン8.4cm反射赤道儀

2019-03-10 | 天体望遠鏡

  カートンの8.4cm反射望遠鏡です。架台は微動がない、簡易赤道儀が付属します。

 

  塗装は、おなじみチリメン塗装です。蓋の小窓は、太陽観測用でしょうか。

 

  口径は84mm、焦点距離760mmのF9です。斜鏡は、短径20mmです。

 

  ここだけ見ると、もっと大きな望遠鏡に見えます。

 

 

   鏡筒バンド、バランスウエイト、三脚板だけでなく、三脚を留めるボルトのつまみ類まで、ほとんどがチリメン塗装です。

  この望遠鏡は、天文ガイド(1970年10月)の「望遠鏡をテストする」に掲載されています。テストを行っていた富田弘一郎は、かなりの辛口でしたが、総合点は90点と、高く評価されていました。

   大きな口径の望遠鏡を、そのまま小さく作っていますので、とてもかわいく感じます。当時、このほかにも、エイコー、ミザール、アストロ等でも、同じような小口径の反射望遠鏡を作っていましたが、現在では人手が掛かるのでしょう、製作は行われていません。

  実際に星を見てみると、使い方にコツは必要ですが、きちんと見えています。当時の”私の愛機”というコーナーにも、この望遠鏡が投稿されていたように思います。小さくて格好良く映ったからからでしょうか、私にとって見てみたい望遠鏡の1、2を争うものでした。中古を入手し、ますます家人からは白い目で見られるわけですが、覗いてみたいという憧れを、やっとかなえることが出来ました。