昔の望遠鏡で見ています

昔の望遠鏡による天体観望と、その鏡景写真についてご紹介します

星見の行きと帰り

2022-10-26 | 日記
 先日、友人と星見に出かけた。今回は、海沿いにある公園の駐車場だ。現地では、視界を遮らない程度に離れて望遠鏡を組立て、いつものように良く見える天体は互いに見せ合ったりした。思ったよりも雲が増えてきたので、お開きにする時間が早まったが、見終わった後には満足感を感じる星見であった。
 このような星見からの帰り道では、いつも幸福な気持ちになる。暖かい布団に入った後も、今日はよい一日だったとつくづく感じる。

 星見でのこの感覚は、行楽や買物の際などに感じるものとは、少し違うような気がする。何故なのか考えてみると、後者は出かける時点で、ある程度の成果が確約されている中で、出発するのに対して、前者は満足な成果が得られる保証が無い中で、意を決して遠方まで出かけているからかもしれない。
 星見に行く際には、いくら天気が良くても一抹の不安がいつも心にある。具体的には、現地に着いた後に急に霧がかかってきたり、見たい方向の雲が動かないなどして、計画していた観望が出来ないということが、往々にして起こりうるのだ。

 世の中には、” プラス・マイナス・ゼロの法則 ” というのがあるという。
 例えば、若い時に酒を飲まなかった人が、年を取ってから酒の味を覚え「こんなにうまいものがあったのか」と沢山酒を飲むようになることがある一方、若い時から沢山酒を飲んでいる人は内臓を悪くするなどし、年を取ると少量しか飲めなくなるという。つまり、酒好きの人間が一生のうちに飲む酒の量は、プラス・マイナスすると一定になるということらしい。

 星見の場合もこれと同じで、行く時のマイナス分が帰りにプラスされたり、空振りだった分がよく見えた星見に繰り越されたりして、より特別な幸福感に導かれているのかもしれない。