小口径ですが、良く見えるニコンのファインダー二本です。右が旧8cm用(6×18,8°)で、左が新6.5cm用(7×20,7.1°)のファインダーです。旧8cm用は塗装が少し焼けています。製作されたのは旧8cm用が1970年頃で、新6.5cm用が1980年台(アポ10cmF12が製作されていた頃)と思われます。それぞれの寸法はほぼ同じで、新6.5cm用は旧8cm鏡筒に取り付けることができます。
接眼レンズは、新6.5cm用の方が大きく、見易いよう改良されている事が判ります。十字線は、旧8cm用の方が細いようです。
対物部です。左が旧8cm用、右が新6.5cm用です。
旧8cm用の対物用蓋です。8cmの主鏡筒の対物蓋と同じで、薄い鉄板をプレス加工したものです。さすがニコン、このような小部品にも手抜きはありません。
旧8cm用のピント調節部で、回転させると出入りします。細かな部品が組み立てられているようで、側面に小ねじが見えます。昔の製品は手間を惜しまず製作されており、その形状には味わいすら感じられます。
星と音楽を趣味とする旧友がいます。その友人は、ニコンの望遠鏡の話になると、いつもこの旧8cm用ファインダーを絶賛します。最初に買ったもらったのがD社の反射で、その後学校のニコン8cmを借りて使用したと聞きました。望遠鏡の造りと、そして望遠鏡を通した星の見え方のあまりの違いに、少年は衝撃を受けたのでしょう。その結果、その時の印象が、今も生き続けているのだと思います。良く見える望遠鏡を覗いた経験は、一生忘れられないのかもしれません。