”人気のアストロ”の5cm鏡筒2本です。一つはアストロ光学製でもう一つはアストロ光学工業製です(以後、アストロ光学製を旧鏡筒、アストロ光学工業製を新鏡筒と呼ぶことにします)。上記画像では、新鏡筒が上で旧鏡筒が下です。ともに口径5cmで焦点距離は500mmと、同じスペックです。
鏡筒の長さはほぼ同じですが、若干旧鏡筒の方が長いようです。
新鏡筒は、塗装が傷んだので、壁紙が貼ってあります。また、ドロチューブを固定するためのネジ穴が、銘板上から後加工されています。旧鏡筒は汚れからか、全体的に黄ばんだ状態になっています。
新鏡筒には、ねじ止めするための台が付属しています。
レンズセルは、若干形状が異なりますが、ともに鏡筒へねじ込み式で、試しに交換して取り付けてみましたところ、共に取り付け可能でしたので、鏡筒径とネジの規格は同じなようです。新鏡筒のフードには、ねじ込み式蓋を取り付けるためのネジが有りますが、旧鏡筒のフードには見られません。
ラックピニオンカバーもほぼ同じ形状です。ドロチューブもほぼ同じ長さですが、ハンドルは旧鏡筒がプラスチック製で、新鏡筒が金属製です。またラックピニオンカバーやラックの取り付けネジの頭ですが、旧鏡筒はマイナス、新鏡筒はプラスとなっています。ただ、旧鏡筒の接眼部と鏡筒の固定ネジの頭がプラスなのが、不思議な感じです。
ドイツサイズの接眼鏡アダプターは、旧鏡筒のものは見慣れたものですが、新鏡筒のものは直線的なイメージで現代的なデザインでした。また接眼鏡を横から止めるネジについても、ローレットの模様や持ち手部分の形状が異なっています。ただし、特に新鏡筒については、オリジナルの部品が取り付けられていない可能性があります。
このように見てくると、新鏡筒は旧鏡筒を元に制作されていることが判ります。旧鏡筒は、アストロ光学工業の設立が昭和33年ですから、それ以前に製造されていることになり、私達が慣れ親しんでいる望遠鏡の原型は、昭和30年代初頭には形作られていたということが言えそうです。