昔の望遠鏡で見ています

昔の望遠鏡による天体観望と、その鏡景写真についてご紹介します

古スコはドイツサイズがよく見える

2020-09-22 | テレパック
 前線が通り過ぎた午後になって、青空が広がってきた。秋の気配を感じさせる透明感が、今宵の星空を予感させる。天文年鑑を見ると、月齢4の月が見えるという。そのくらいまで大きくなれば、自宅からでも見えるはずだ。

 テレパックを中心とする古スコを快適に使うために、接眼鏡などについていろいろ考えてきた。
・アイレリーフはより長い方が良い
・ドイツサイズよりアメリカンサイズが良いだろう
・アメリカンサイズの接眼鏡を使うためのアダプターが必要
・接眼部の強度を考え、軽量のものが良い

 これらを叶えるため、次のものを揃えてきた。
・テレパック用アメリカンサイズアダプター(コスモ工房)
・テレビューDl(ディライト)9mm接眼鏡

 今日は、これらをテレパックに使用し、既存の接眼鏡との見え方の違いを確認することにした。





 まず、特注のアダプターを介してDl9mm(100倍)を装着し、月を見ることにする。シンチレーションは、比較的低空でもあり、それ程良好ではないが、南極の明暗境界線付近の高山のピークが、刻々と変化していくのが判る。この付近に着目して、ほかの接眼鏡と比較してみることにする。
 
 Dl9mmは見口も大きく、見やすくよく見える接眼鏡をという目標は達成されているのを、確かめることができた。ただし、テレパックのドロチューブは、本来ドイツサイズ用であるため、軽量の部類ではあっても、それなりの重量のあるDl9mmを使ってピントを合わせる際には、若干の振動が発生するのは避けられないようだった。





 タカハシのOr9mmで見てみると、ピントの山をより掴みやすく、切れを感じた。明暗境界線近くに、輝くピークが二つ重なって、その間に細い切れ目が見えるところがあったが、確認がより容易だった。これは、接眼鏡の光学的特徴なのか、先のDl9mmを使用した際の、ドロチューブの振動によるものかは、判らなかった。アイレリーフに関しては、今回の対象が視野の中心に位置するものだったためか、Or9mmを使用する際にも不便は感じなかった。

 この二つの接眼鏡を使用して、木星と土星を見たが、印象は同様であった。




 次に、木星と土星を対象に、ペンタックスとタカハシのOr9mmを比較してみた。ここでは上の画像のように、テレパックオリジナルのドイツサイズ接眼アダプターを用いた。

 ペンタックスの方がコントラストが良いのか、土星の衛星を容易に気付くことができた。ただしよく見ると、同じものはタカハシでも見えていた。木星の模様についても、詳細な惑星スケッチができるほど見えはしないが、同様の傾向であった。
 ペンタックスを用いた際にも、アイレリーフの短さは気にならなかったが、ゴムの見口というのは、眼鏡使用者にとっては安心感があるものだった。
 また不思議なのだが、このペンタックスは、いつまでも見ていたいと思わせる感覚も起こさせるもので、評判が良いのも納得できた。



 タカハシの差し込み部の下部の面取りが、ペンタックスより小さく、すり割り式アダプターに差し込むのに若干苦労した。ただし、タカハシのオリジナルのドイツサイズアダプターは、リングによる締め付け式なので、そちらの使用を想定したものなのだろう。



 今回使用した接眼鏡等で、左から、テレパック用アダプター、タカハシ24.5-31.7アダプター、ペンタックスOr9mm、タカハシOr9mm、テレビューDl9mmとなる。

 
 比較的小型軽量なDl9mmであっても、ドイツサイズの接眼鏡に比較するとかなりの大きさで、不利な条件となっていることが判った。もっと小型で高性能のアメリカンサイズの接眼鏡が、あればと思う。

 古スコに、良質のドイツサイズの接眼鏡を使うと、よく見えるということが判った。灯台下暗しであったと思う。