昔の望遠鏡で見ています

8cm用及びD型赤道儀

 昔、タカハシの赤道儀の中で一番大きなものが8cm用で、その下がD型だった時代があった。外観はほぼ同じだが、極軸の太さが違っており、前者が直径25mmなのに対して後者は20mmである。一方、ウエイト軸は大きく異なっており、8cm用はねじが切ってあるタイプなのに対して、D型は一般的な直棒だ。前者には、ウエイトを回転させることで微妙なバランスを取り易いという利点はあるのだが、軸に取付けた後、ウエイトを所定の位置へ移動するのに時間が掛かるのは、難点だった。また、ウエイトは二個使用するのだが、ダブルナット状態になると、ちょっとやそっとでは動かなくなるため、位置調整の際には注意する必要があった。




 上の画像は、左が8cm用で右がD型である。一つお断りしなければならないのが、D型の架台取付部で、この部分のみ後の90S用に交換されているということである。すなわちこの部分はオリジナルではないので、ご注意頂きたい。
 このD型は、かつての望遠鏡販売店であった誠報社から発売されたもので、銘板に刻印等が無いことから、製造中止後に手元に残った部品を組合わせて作ったのではないかと想像している。
 ともに堅固な造りで、故障のしようがないとは、このことだと思わさせるものだ。





 ウエイト軸を、外した状態である。8cm用もD型も塗装以外、外観は同じに見える。この時代のタカハシのウエイト軸取付部であるが、赤道儀側に雄ネジ、ウエイト軸に雌ネジが切ってあった。細い軸に深穴を開け、ネジを切ることは、結構な難加工だったのではないかと思う。なお、このD型は当初からシステム型で、上の画像では今は無き前橋至誠堂のアリ溝を装着している。




 極軸望遠鏡がまだ無い時代なので、軸が貫通している。赤緯軸の太さは、同じようだ。





 三脚架台であるが、8cm用はオリジナルであるが、このD型のものは90S用だ。

 D型を入手したのは、昭和50年代後半から60年代初めの頃だったと思うが、あの頃は望遠鏡販売店に元気があったころで、天文雑誌でも多くのページにわたって広告を掲載していた。ネットも無く、雑誌の広告のほかに情報が無かった時代なので、店の存在価値も大きかったのだと思う。一番最初、誠報社は、確か小さなビルの最上階の5階にあったように記憶している。初めて行ったのは、東京出張の帰り道だった。ちょっと入りずらかったが、意を決して入ってみると、小さな店だったが先客がいて、店員さんと熱心に話をしていた。そのせいもあってか、お決りの接眼部を軽く揺すって行うガタの確認などを、じっくり行うことが出来た。望遠鏡販売店は、今も昔も望遠鏡好きには、たまらないところなのである。



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