すみれ 「私、恵まれてたんやね…気づかないうちに知らないうちに、明美さんのこと傷つけて…」
家政婦 「知らんうちに傷つけてることなんて、ぎょうさんあります。
そやけど、その逆もあるんです。」
すみれ 「逆?」
家政婦 「知らんうちに誰かを喜ばせとったり、幸せな気持ちにさせとったり…」
すみれ 「………。」
家政婦 「お茶、冷めないうちにいただきましょ。」
(連続テレビ小説“べっぴんさん”より抜粋)
お嬢様のすみれが使用人の娘明美に、幼い頃からずっとひどく恨まれていたことを知ったシーンです。
どちらかと言えば優しい娘で、お菓子を分けてあげたり(明美は後で棄ててます)、本当にひどいことは何一つしていないのですから気の毒です。
この主人公ほどではないけれど、私も恵まれてたと実感したことがあります。
愚かな話、気付いたのはかなり遅かった。
何故成人して、社会にも出て、結婚もして、かなり遅い時期に気付いたかと言えば、ずっと長い間周りもそうだからなのです。
すみれは深窓の令嬢。親の決めた許嫁と結婚して、夫に養ってもらう。生活力をつける必要なんかなかったのです。
私もそのように育ちました。
勉強しろなんて言われたことないです。
授業料の高い大学まで出してもらって、高校でアメリカ、大学でヨーロッパ研修旅行に行っています。
記憶にある中で、ピアノ、エレクトーン、クラシックバレエ、歌、絵画、書道、料理裁縫は得意で、茶道クラブに入っていたし、習ったかは分からないけれど家には子供用のバイオリンがありました。
女は教養。エエとこのボンボンに嫁に行くため恥ずかしくないように育てられたのだと思います。
それがどう転ぶと今の私になるのやら…
すみれ同様、離婚してもお金を稼ぐ方法を知らずに、家賃も払えず、街角に立とうかと…泣いて暮らしている時期はあったんですよね。
「どこのお嬢さんか知らないけれど甘えてる!」「いい気になるな!」
何も悪いことしていないのに、散々いじめられました。
言われても涙が溢れるだけで言い返せもしなかった。
思えば、私は多くのものを持っていたんですね~。それが周りを苛立たせたし、失う度に哀しかったんです。
「いいなぁ」
常に言われてきました。
私は誰かを羨ましいと思わない人間です。
何がいいのか?そのうち分かるのでしょうが今の私には分かりません。
これでも色々抱えてるんですもん…
誰しも気付かずやっかまれることはあるのでしょう。
この家政婦さんの台詞は私をホッとさせます。