回覧板

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わたしの空想 2

2015年02月27日 | 回覧板

③さらに遠い未来について。水や火の利用法の改良により、昔と比べると洗濯や炊事などの家事もずいぶん手間や時間など軽減されてきています。わたしの小さい頃は、水や火の利用法において、まだ「桃太郎」の世界(おじいさんは……おばあさんは……)とつながるものでした。
 
 昔よく観ていたアメリカのテレビドラマに、惑星連邦宇宙艦エンタープライズ号のピカード艦長が登場する『新スタートレック』という未来の宇宙を舞台とするものがありました。そのドラマの中で、エンタープライズ内に設置されている「レプリケーター」(これ、名前忘れていたので、検索しました)という機械がありました。欲しい飲み物や料理をその機械に向かって言うと、すぐにそれらが出てきます。
 
 それはおそらく原子や分子レベルでの合成技術でしょう。そういう「レプリケーター」のような装置ができたらいいなと空想します。わたしの小さい頃と比べて調理も格段に簡単になり、多彩な調味料などによって味も多様になっています。あるいはすぐに食べることができるレトルト食品もたくさんあります。インスタントラーメンなども質や味がずいぶん向上してきているようです。そういう意味では、その「レプリケーター」の世界に少しずつ近づいていると言えるかもしれません。
 
 ドラマの中で、どこで手に入れたのか、苦労して手に入れた本物の肉を調理して、「おいしい、やっぱり本物は違うな」というような場面がありました。ここはたぶん、ドラマ制作者たちの「現在」が介入しているものと思われます。つまり、「味」や「味覚」というものは、これまでいろいろ変化してきたし変化していくものだということです。例えば、木村秋則さんの「自然栽培」による「奇跡のリンゴ」は、他のリンゴと比べて長く置いていても他のもののように腐ることはなく、枯れ果てていくというような実験結果を紹介されていました。その味もちょうど温室栽培のトマトに対する露地栽培のトマトのように、力強い味のようです。しかし、その味は過ぎ去られていく味なのかもしれません。若い世代は、おそらく若いわたしたちがそうであったように、わたしたちとまた違う時代の先端の方の味に慣れてきているのかもしれません。
 
 例えば、原初の人間が生肉を食べていたとして、その味や味覚と現在のそれらとはずいぶん変貌しているはずです。その変貌の中に、わたしたちの身体の変貌と関わり合いながらの食や味覚の歴史が横たわっています。この変貌の歴史を推進しているのは、おそらく人間の自然への働きかけとともに、人間の可塑性や馴致性、つまり、変わりやすさと慣れやすさという性質だと思われます。もちろん、どれほどの歴史的な時間の深さを持つのかわかりませんが、生肉や生魚を食べる風習として現在に残っているものもあります。(これまた、どの位の歴史の深さを持つかわかりませんが、昔、NHKのテレビで偶然に、ロシアのバイカル湖の近くに住む人々で生魚を食べるということを観たことがあります。)
 
このような味を巡る綱引きは、現在でも生産者と消費者の間の、はっきりとは見えないところでやり取りがなされているはずです。たぶん、消費者に好まれると思う味(味だけとは限りませんが)のトマトを作り出したとか、それが余り売れなかったとか、様々なやりとりが、この領域においてもなされながら、少しずつ踏み固められていくでしょう。
 
 先ほどのレプリケーター」という装置に関連して、『新スタートレック』には「転送装置」というものも出てきます。人や物をある地点から別のある地点に瞬間移動させることができる装置です。人や物をおそらく原子や分子レベルにまで分解し、復元するということを行うことによって、そのことを実現しているようです。現状ではまったくの空想に見えますが、トラブルを想像すると恐いとともに、魅惑的な空想です。
 
 現在、ネット通販の飛躍的な増大とともに、物の流通量も増大しているはずです。それだけ流通業のトラックの交通量も増大し、その運転手などの負担や疲労も増加しているかもしれません。流通の形態や構造を変えなければどこかで飽和点に達するように見えます。もちろん、車の自動化による運転の軽減や会社の経営側の配慮や人口減による消費の増大の鈍化など、いろんな要素がその飽和点に関して関わってきます。いずれにしても、現在から見たその「転送装置」は、旅行や人や物の移動に対して輸送機関が要らない超革命的な空想に見えます。瞬間移動できるわけですから。
 
④何億年か先のこと。それまで人類が存続していたとして、人間の祖先が海から陸に上陸したように、今度は地球上から宇宙空間へ本格的に上陸していくのかもしれません。現在のところ、地球(太陽系)も危機的状況には見えませんし、宇宙空間の放射能問題、食糧問題などなどたくさんのクリアーすべき条件がありすぎて不可能に見えるかもしれませんが、しかし、この太陽系の終末以前に、人類はそれらをひとつひとつ乗り超えて、宇宙空間に上陸していくのを空想します。わたしたち人類が、途方もない時間の中で、海の世界の魚のような姿かたちから進化して現在に到っているとすれば、この先どのようにも変わりうるように思われます。


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