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じんかん

2020-09-02 09:49:00 | 
コロナ禍で中断されていたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」が再開されました。
このドラマでは、吉田鋼太郎演じる松永久秀(松永弾正(だんじょう))を、明智光秀と気脈を通じる人間味あふれる魅力的な人物のように描いています。
私は、戦国時代初期、細川-三好-松永という悪人どもが、次々に下剋上していきながら将軍家や畿内を食い物にしていたと思っていました。
松永久秀は、本当は、どんな人物だったでしょうか?

松永久秀を主人公に据えた小説、今村翔吾「じんかん」(講談社)を読みました。
織田信長の小姓頭・又九郎が、久秀が再び謀反を起こしたという知らせを天守にいる信長に恐る恐る伝えます。
信長は、驚いたり、怒ったりするでもなく、平然としています。
いぶかしむ又九郎に、1対1で久秀の生涯を語りはじめます。
それは、かつて信長が久秀から直接聞いたものでした。

という面白い設定です。

信長は、久秀のことを「主家を凌ぎ、将軍を殺し、東大寺を焼くという大悪を三つも重ねた男」
として盟友・徳川家康に紹介しました。
久秀自身も大悪人を自認していました。
ところが、実際の久秀は、まったく違う人物だったのです。
まだ尾張の一部を治めていたにすぎない信長の才能・可能性を見出し、上洛に導きました。
三好家には、最後まで忠誠を尽くしました。
書や茶道に優れ、情に厚い人でした。

ぐいぐい引き込まれ、どんどん読み進めてしまいました。
あくまで小説ですから、創出された人物が何人もいるでしょうし、ドラマチックな展開にされています。
大河ドラマは無理でも、映画化されたら是非観たいと思います。
いや、大河ドラマの主人公は出尽くした観がありますので、いっそ大河ドラマにしてもいいかもしれません。