親戚の葬式があり、千葉市まで行ってきました。
新幹線の中で読もうと思い、最近購入した池田清彦「SDGsの大嘘」(宝島新書)を持参しました。
読みかけや未読の数冊の本の中で、一番薄くて軽かったからです。
名古屋駅を出発してから読み始めたら、品川駅近くで読み終わりました。
帰りは読むものがありません、困ったな。
私がはじめてSDGsについて知ったのは、経営者団体の例会でした。
そのとき東京の本部から招いた講師は、これまで何度もお目にかかったことがありますが、常に最先端の情報を提供してくれるし、本質を明らかにしてくれるし、尊敬しています。
その彼が、最新トピックスとしてSDGsを紹介し、これは国連が認めたものであり、われわれも進めていかなければいけないと熱く語っていました。
配付資料に目を通し、即座に「これは無理だ」と思いました。
貧困・飢餓も紛争も差別もない世界を作ろうだなんて、夢物語だと思ったからです。
17の目標はいずれもすばらしいもので、反対しようがありません。
しかし、期限を決めてそれらを達成しようだなんて、非現実的です。
そうは言うものの、やがて一大ムーブメントになっていき、銀行員はじめ何人もの来訪者が胸に大きな丸いSDGsバッジを着けてくるようになりました。
「意識高いんですね」と褒めてあげると、皆、「いや、会社の指示で」とテレながらもまんざらでなさそうです。
NHKでも新聞でも大きく取り上げるようになりました。
もはや異を唱えると白い目で見られそうで、勇気が要ります。
仕方なく、本を買って読んだり、セミナーに参加したりして、自分の意識を高め、「わが社でやれることはなんだろう?」と考えたりしました。
でも、ノり切れません。
「安全な水とトイレを世界中に」なんて、水道工事店であるウチの会社の事業そのものなんですよ。
「世界中」は大げさ過ぎますが。
そんなSDGs懐疑派の私の目にとまったのが、この本です。
読んでみると大変痛快でした。
17の目標相互の矛盾を突き、胡散臭いと切り捨てます。
途上国はますます貧しくなり、日本の土壌が死んでいくなど、さまざまな弊害が予想されるとしています。
それどころか、「地獄への一本道」とまで言い切ります。
「CO2で地球温暖化」という世の中の常識も否定します。
帯にあるように「『脱炭素』は欧州のペテン」だと断じます。
世の中の風潮に流されず、冷静に物事を判断したいものです。