オーソレ、何それ?

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不斉合成技術は人類をインフルエンザから救えるか

2006-03-01 23:50:42 | ライフサイエンス
鳥インフルエンザの蔓延に伴い、新型インフルエンザに対する唯一の治療薬とされているタミフルの供給が不安視される中、東京大学の柴崎正勝教授が石油から安価に得られる原料から化学合成する方法を発見したと発表しました。

これまでタミフルの主薬成分であるリン酸オセルタミビルはシキミ酸というハッカクという香辛料に含まれる成分を原料に合成していました。この結果ハッカクの価格が高騰したり、原産地の中国では、インフルエンザの予防と称してハッカクを大量に摂取し中毒を起こすという騒ぎも起きています。ちなみにハッカクにはインフルエンザの治療効果も予防効果もありません。

なぜ、タミフル(リン酸オセルタミビル)をシキミ酸から合成しなければいけなかったといいますと、タミフルの分子構造の中に立体的に決まった方向性(右手と左手の関係でよくたとえられますが)があり、それを化学合成でコントロールすることが難しいため、その方向性が予め決まっている(これを「光学活性がある」といいます。天然物はこの方向性が決まっているものが手に入りやすいです)シキミ酸を利用して合成を行っています。もう大雑把なたとえでは、デコレーションケーキを作るときにふんわりとしたスポンジを作るのが難しいので出来合いのスポンジを買ってきたようなイメージです。

そこで、柴崎先生は石油から取れる「1,4-シクロヘキサジエン」という物質から「不斉合成」という技術を利用して先ほど述べました立体的な方向性をコントロールしながら化合物を合成する方法を見出しました。ちなみに私が化学合成に少し関わっていたときに柴崎先生の著書を読んだことがあります。この不斉合成ですが、2001年に野依良治博士がノーベル化学賞を受賞したのがルテニウム錯体触媒を利用した不斉合成技術の開発で、この技術は光学活性のある医薬品、農薬、香料の安価かつ効率的な生産に大きく貢献しています。

ドイツでは白鳥が鳥インフルエンザで大量死している上、猫の感染が確認されたそうです。いろいろな動物に感染するうちにウイルスが変異し人から人への感染が懸念されます。柴崎教授は「ロシュと協議して、共同して安定した生産態勢が組めるようにしたい」と話しており、産学官の国際的な協力体制を大至急整備する必要があります。

ただ、変異しやすいウイルスに対しては一種類の薬では安心することはできません。鳥インフルエンザウイルスに対する二の矢三の矢を開発する努力も続けていかなければなりません。

タミフルの化学合成に成功 原料は石油、安定供給に道

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3 コメント

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Unknown (littlebluebell)
2006-03-02 21:22:26
こんにちは。



大雑把なたとえ(スポンジケーキ)分かりました!(笑)

それにしても石油を元に薬まで作る・・人間は賢いです!



ドイツの猫が鳥インフルエンザにかかって死んだニュース見ました。

鳥インフルエンザは、昔もあったと聞きましたが以前もあったのでしょうか?もしあったとしたら以前とは何が違うのでしょうか?やはり変異性のウィルスだから凶暴になっているのでしょうか?

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スペイン風邪 (o_sole_mio)
2006-03-02 23:43:29
こんばんは



スペイン風邪は、鳥インフルエンザの変異により人から人に感染するようになったものだと言われています。名前はスペインですが最も被害が大きかったのはフランスで、「フランス風邪」と呼ばれていない理由はフランスは第一次世界大戦で戦争中だったので当時事実を隠していたというのはかかりつけのお医者さんに教えてもらいました。従って昔からウイルスは存在し、何十年かに一度流行していたのではないかと思います。
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なるほど (littlebluebell)
2006-03-03 20:24:31
o_sole_mioさん、こんばんは。



スペイン風邪、元は鳥インフルエンザの変異と言われているんですね。スペイン風邪は学校で習いましたが、変異の事までは習ってなかったような(私が覚えていないのかも?)。フランスが最も被害が大きいとは。。知りませんでした。。スペインだと思い込んでました。

かかりつけのお医者さん経由で教えて頂き、ありがとうございました!そういう事も教えてくれるお医者さん何だか素敵ですね(^^)
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