オーソレ、何それ?

私、o_sole_mioが好きな歴史、旬の話題、
賞味期限の切れた話題等を
適当に書きつづります。

タミフルにまつわる話題

2005-11-15 23:28:25 | ライフサイエンス
先週インフルエンザのワクチンを接種した影響でしょうか、インフルエンザの話題が目につきます。

鳥インフルエンザのヒトへの感染が心配されていますが、現在インフルエンザの特効薬とされ、鳥インフルエンザにも効果があると言われているタミフルは各国で備蓄が計画されています。タミフルの有効成分はリン酸オセルタミビルで、ノイラミニダーゼという酵素を阻害することによりインフルエンザウイルスが感染細胞表面から遊離することを阻害し、他の細胞への感染・増殖を抑制します。

リン酸オセルタミビルは合成医薬品ですが、シキミ酸と呼ばれる化合物を原料にする必要がありますが、シキミ酸の化学構造の特徴(同時にこれがオセルタミビルの化学構造の特徴でもあるのですが)から工業ベースでの化学的合成が困難であり、中華料理の香辛料として使用される八角の実を抽出して製造されます。その結果中国では八角の値段が高騰しています。更にトリインフルエンザを予防する目的で八角を大量に食べて中毒する人も出ているそうです。ちなみに八角の状態では鳥インフルエンザはもちろん、インフルエンザにも効果はないそうです。

タミフルといえば最近日本の中高生がタミフルを服用後異常行動を起こして事故死した事例が報告され、タミフルの副作用として社会問題となっています。確かにタミフルの添付文書には副作用の項に「精神・神経症状:精神・神経症状(意識障害,異常行動,せん妄,幻覚,妄想,痙攣等)があらわれることがあるので,異常が認められた場合には投与を中止し,観察を十分に行い,症状に応じて適切な処置を行うこと。」と記載されていますが、タミフルは医者の処方箋を必要とする医薬品のため、この添付文書は医療機関でしか目にすることが出来ず、この情報は医師や薬剤師から提供を受ける必要があります。少年の異常行動とタミフルの副作用の関係ですが、もちろん数例の事例で結論は出せませんので、疫学的な解析を行いその結果によって判断すべきと思います。タミフルのメーカーであるロッシュ社では「タミフル服用、もしくはインフルエンザ感染による神経精神病行動発症の確率はほぼ均衡である。タミフルの服用により、そのリスクが高まるということは確認されていない。しかし、今後も状況を見守っていく」とコメントしています。

このようにタミフルには副作用のある薬である上、頻繁に変異していくインフルエンザウイルスの特性から濫用によりタミフル耐性ウイルスの発生が懸念されています。インフルエンザは休養と栄養を十分とれば、1週間前後で体力のある人は回復する病気であり、またワクチンの接種により予防したり、症状を軽減させることもできます。タミフル服用で3日程度で回復した手前偉そうなことは言えませんが、鳥インフルエンザのヒトへの爆発的感染が懸念される今だからこそ、通常のインフルエンザへのタミフル投与は慎重であるべきと考えます。

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