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犬と私と羊...合言葉は「自然体」

犬の歯石除去

2010年10月27日 | Health

歯石は、プラークが固まったものです。

プラークは、食べカスにお口の中の細菌が繁殖したものです。

それが固まって歯石になり、歯肉に接触しているぶぶんでは、

細菌が、歯肉を腫れさせ、炎症を起こします。

炎症が長期に及ぶと、その影響は、歯を支えている骨(歯槽骨)を

溶かしてしまうので、最終的には歯がぐらぐらして抜けてしまう

歯周病へと移行するわけです。

 

ワンコの場合、飼い主さんが歯石除去を行う場合も多いのですが、

前回もお話しましたが、1度歯石を取ると短期間に

歯石がつきやすくなってしまうという問題も起きてきます。

では、何故、つきやすくなるのか?

スケーラーの先端で、引っかけて歯石をはがすと、

歯面に傷がついてしまうからです。

スケーラーは、刃物です。

切れ味の良い刃物なんですよ。

私たち歯科衛生士は、歯石除去の前後、スケーラーを砥石で研ぎます。

切れ味が良ければ、余計な力を入れずに歯石をこそげ取ることができます。

しかし、余計な力を入れれば、歯面までこそげ取ってしまうのです。

先っちょを使うと、ステンレスの流し台に、傷をつけるのと同じくらい、

簡単に歯面に傷がついてしまうのです。

傷のでこぼこに汚れがついて、歯石となっていくわけです。

 

もう一つの原因は、歯石の取り残しです。

丸の外、右側の部分に歯石がついていますが、通常この歯石を取ると、

パリッとはがれます。

丸の中はパリッと剥がれた後です。

丸で囲んだ中に白いカサカサしたものが見えると思います。

これが取り残した歯石です。

取り残した歯石は、でこぼこしているので、汚れが付きやすく、

歯石ができやすくなるのです。

スケーラーを使って、歯石を取りながら、歯面を研磨します。

下の写真は、10月7日の欧介の左上の臼歯です。

歯肉が赤く腫れています。

こちらは、10月25日の同じ部分の写真です。

「歯ブラシの効果」の時に紹介した写真と同様、

歯肉と歯、歯石の境界線がはっきりわかります。

なぜ今回、歯石を取らずにブラッシングだけで今日まで放置したかと言いますと、

歯ブラシの効果をわかっていただきたかったのと、

もう一つ、歯石を取る際に、歯肉からの出血を極力抑えるためです。

境界線がはっきりわかることで、歯肉に無駄な出血をさせないので、

欧介が嫌がることなく、歯石除去が可能になります。

出血によって施術野が見えにくくなることも防げます。

ブラッシングには色んなメリットがあるんです。

 

もう少し詳しく見てみましょう。

奥歯では、黄色い丸の中には、大きな歯石も見えます。

手前の歯の白い丸の部分は、歯と歯の間に歯石が入り込み、

歯肉が退縮し、隙間が空いています。

歯周病の進行とともに、少し歯がグラグラしてきています。

グラグラの度合いを、1~4で示すとしたら

2ぐらいです。

1は、正常な範囲。

2は、横に揺れる。

3は、前後に揺れる。

4は、浮き沈みのある揺れ。

数字が大きくなるにつれ、歯周病が進行していることになります。

人の場合でも、歯と歯の間に物が詰まりやすくなったなどの症状が

出てきたりします。

歯が揺れて微妙に動くことで、

歯と歯の間に通常より隙間が空いてしまうためです。

 

次は、歯石を取り、スケーラーによる歯面研磨をした写真です。

歯石が付いていたときと比べると雲泥の差です。

歯と歯の間は、表側と裏側から、歯石を取ったら隙間が空いてしまいました。

そのかわり、磨きやすくなったとも言えます。

歯の溝に少し歯石が残っていますが、

ココは、スケーラーの先端でほじくるように取らないと無理なので、

傷と歯石のでこぼこを天秤にかけて、あえて歯石をつけた状態にしました。

歯石は、唾液に濡れていると見えにくいので、

なるべく唾液を拭きとって、乾燥させた状態で歯石除去を行う方が、

取り残しを防ぐことができます。

 

人の場合、歯石の除去後、歯磨き粉より粒子の細かいペーストで

歯の表面を研磨して、傷をとりますが、

ワンコの場合、機械も無いですし、ペーストも使用できないので、

極力、傷をつけないことと、取り残しをなくす努力をすることで、

歯石が付くサイクルを長くできます。

 

欧介とo-mamaの歯周病との戦いは始まったばかりです。

歯周病は、残念ながら、元通りに治る病気ではありません。

しかし、現状維持をして、上手く付き合うことができる病気です。

これからも頑張ってブラッシングするぞ~。

ポチッとお願いします。→

Atelier sucre sale」に「スピニングパーティー」を

UPしました。のぞいてみてね。

 

 


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6 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
すごい判りやすい (habimama)
2010-10-28 10:41:05
とっても参考になります。
タンポポの歯ブラシ買って来ますっ
ε=ε=ε=ε=┏(; ̄▽ ̄)┛
さすがプロ! (fuku)
2010-10-28 10:57:57
素晴らしい記事をありがとうございます!

歯石になってしまった部分にも、ブラッシングの効果は大きいんですね!
歯ブラシ、ついサボってしまいますが、やらなくちゃ~(^^;)

スケーラーは先端の平らなタイプを使ってるのですけど、尖っているほうが良いですか?
なかなかパリッと行かなくて、こそげ落とす感じに。。。
正しい使い方や力加減がわからなくて、表面にかなり傷つけてしまっていそうです(ーー;)
っで、余計に汚れるという悪循環。。。

今度お会いできた時に、コツを伺いたいです~。
成功!! (かなやん)
2010-11-05 11:21:14
haijiさんがこれを書いてくださったから、この1週間、ごまに歯ブラシをして(タンポポ歯ブラシ買いました!)、歯肉を鍛えてあげて…
びっくり! キレ~に歯石が歯肉際から取れました。かなり感動!!!

まだちょっと取り残しがあるので、今晩またコツコツと…


ごまが歯磨きを嫌がらすにしてくれるので、ノエルが「あたちもあたちも~♪」って、順番を待ってくれるように♪(ほっ)
habimamaさんへ (haiji)
2010-11-08 20:39:07
ぜひ、トライしてみてくださいね。

こういうの得意なんです・・・(^_^;)
fukuさんへ (haiji)
2010-11-08 21:09:49
スケーラーの使い方は、また改めて書きますね。
先が平らなものでも大丈夫です。
たぶん平らな部分が刃になっているので、
歯の表面の歯石を取るには便利ですよね。
歯と歯の間の歯石を取るには、
やはり尖ってるものがあると良いですね。
道具は、工夫して使うより、その場に合ったものを使った方が変な力が入らないようにできてるんですね。
歯のことならお役に立てると思うので、
いつでも聞いてくださいね。
かなやんさんへ (haiji)
2010-11-08 21:20:55
記事をきっかけに、トライしてくださって、
実感してコメントをしてもらえると、
本当にうれしいです。
犬の歯ブラシとか歯周病とか書いても、
「アキレスとか、骨を噛ませておけば大丈夫!」なんて言われて、
あんまり興味を持ってもらえないのかと思っていましたが、
テレビをきっかけに書いてみたら、コメントをくださらない方でも、
興味を持って読んでくださってるみたいなので、
こちらも感動しているところです。

ノエルも今から歯ブラシ好きになってくれると、お手入れが楽ですね。よかった、よかった。

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