infinity

信長の遺骸はなぜ本能寺から消えたのか?

2005-09-19 14:13:24 | Book
久々に面白い小説を読んだ。信長の棺である。<小泉首相も愛読!>と帯には書いてある。ほんとか嘘かはわからんが。信長ブームがきそうな気配もあるし。僕は「下天は夢か?」を早々と挫折したので、信長も秀吉も全然詳しくない。歴史で多くの人が好きそうな戦国時代とかもあまり興味なかったし。マンガ日本の歴史の「織田信長」「豊臣秀吉」「徳川家康」レベル。そんな私にも充分面白かった。<信長の遺骸はなぜ本能寺から消えたのか?>という問いかけは非常にスリリング。え?燃えたんちゃうの?と、まさか生きていたとか?と疑問をそそる。<実は死んだとされていた人が危機を乗りこえて生きていた>というシチュエーションは常に好奇心をそそられる。この小説では太田牛一が主人公。太田牛一とは、「信長公記」を書いた人物で、牛一の視点を通して小説は展開されている。知らなかった事実がたくさんあった。信長と公家との関係、桶狭間の戦いの裏側、秀吉が本能寺の変の後、すぐに戻ってこれた理由、なぜ光秀が謀反を起こしたのか? など。牛一の視点を通しているので、秀吉はよく書かれていない。秀吉の出生の秘密など、もし事実だとしたら、俺にとっては驚愕である。史実は歴史の勝者によって、改竄されている。牛一は「信長公記」を秀吉に検閲されているので、多分その思いが強かったのだろう。秀吉に利用された歴史書で、本当の信長を伝えられていないと。その牛一の思いを、著者である加藤廣さんが甦らそうとしているのだ。信長の側にいた牛一にしか分からない信長の思いを。あの時代に信長が観ていた世界を。

帯にある「ここには今まで誰もみたことのなかった信長がいる!」とはまさに著者の意図が成功しているのだ。