所用があって、ガットネロ に行ってきました。
9月に個展「のしてんてん喫茶室」をひらいたところです。
要件を済ませて、おいしいコーヒーを頂きながら、主宰者のシャンソン歌手松浦由美子さんのお話をお聞きしたのですが、それがあまりにも素晴らしく、私だけの体験にするにはもったいないので、皆様にもおすそ分けします。
(松浦由美子さん)
松浦さんの生き方はとても単純です。
それはどんなことにも一貫して「他を活かし切って、幸せを頂く」という考え方を貫いていることです。考えは一本でブレはありあません。
この考えを持つようになったそもそものきっかけは、おじい様の影響で、「どんなものにも神さまが宿っている」と、教えられたことだそうです。
例えば、松浦さんは食についてこう語ります。
食費は1日500円。スーパーで半額になったものを買って調理する。売り最盛期の品物は買わないのだそうです。
目からうろこは考え方です。
普通、私たちはスーパーに買い物に行きます。その時、頭の中には何を作るかという考えがあって、それに必要なものを探して買いますね。そうすると、よりいいものを買おうという考えが自然に生まれてくる。その上必要以上のものも買ってしまうのが常ではないでしょうか。
ところが松浦さんはそうは考えません。スーパーに行くのは、売れ残って捨てられそうになっている野菜や果物(半額、傷物)を救いに行くのだそうです。
なにを作るではなく、無駄に捨てられる命を救いに行く。救い出した食材料を100%活かしてやる方法を考えることで料理が自然に決まってくる。
材料は傷も皮も捨てない。スープにしたりジャムにしたり、その状況に応じた料理を考えて、ゴミは出さない。理想的にはゴミは0、すべて利用して、いのちを全うさせてあげるのだそうです。
これはどこにでもあるケチな話ではない。
見捨てられた食材を活かすために、調味料やだしにはこだわる。高級なものでもいとわない。塩など4~5種類もある、ソースなど自分で作るし、全てを活用する。その工夫に頭を使う。想像力と創造力が素晴らしい。
食材を活かすためには金と手間を惜しまないのだ。
自分の欲ではなく、相手を活かしてあげるという考え方が徹底されているから、食材を湯がく場合も、何種類もの材料を一度に湯がく。物によって時間が違うので、それぞれの特性を知った上で、食材の一番気持ちよくゆであがったものからあげていく。すると水は鍋一杯で済み、鍋を火にかける時間は最短になる。熱も、使い放題にしない。余熱を利用して、最後の調理を完成させる。今はその研究をしている(楽しんでいる)のだという。
食材も、水も火も、鍋も、すべて100%活かす方法を考えたら、無駄なものはなくなるというのです。
ものも人も、その命を完全に活かしてあげれば、無駄は生まれない。活かしあったら、ゴミのない生活が実現する。
ガットネロは年中生け花を絶やさない。その花も、とことん活用して最後まで付き合ってあげるのだそうだ。
枯れてきたら、そこだけ切り取り、残った花を活けなおす。花びらが落ちても、その花びらを水盤に浮かせて、最後まで楽しむ。
利用するのではなく、活かしてやる。すると相手は最大のものを差し出してくれる。
これ以上の幸せはないと、松浦さんは言います。
他を活(生)かす。松浦さんの生き方は、ガットネロそのものでもある。人を活かす場所。若き音楽家の実験場として機能している。
毛色の違う私の、絵画展も、実現させていただいた。
松浦さんの話の10パーセントも伝えられていませんが、私の感動した核心は書けたのではないかと思います。
私たちは、考え方を変えるだけで、人生を何倍にも豊かにすることが出来るのです。
私が一番に学んだことは、究極自分を活かすということです。
無駄を出さないという考え方は、世界はどんなものでも、どんな人であっても無駄なくつくられているという思いとしっかりつながっている。その中に自分をおいて無駄なく生きようとされる姿勢が体からオーラのように出ている。そう思って、帰ってきました。
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