昨年まで10年間、個展を開催させていただいた全興寺の境内には
水琴窟があって、私の好きな場所だった。
仏の国という入り口から地下に降りると、周囲の壁一面に石仏が並び、
中央の床と石仏群の壁を隔てるように堀があって水が張られている。
その水面から二本の円柱が立ち上がり表面を伝って水が滴り落ちている。
柔らかな水の音が琴の音のように響く水琴窟になっているのだ。
中央の床は円形のガラス張りになっていて、曼荼羅が床下の証明に浮かび上がっている。明かりはそこだけの闇の中で、周囲を仏で囲まれ、目をとじると水の音が
体中に響き渡ってくる。
ちょうど5月のこの時期、10年間私はこの水の中で瞑想させていただいた。
この寺のご住職に初めてお話を伺ったのもこの中でだった。
水は懐かしく、そして優しい。
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