スペイン母子家庭生活奮闘記☆毎日ドキドキ@マドリッド

夫の仕事でマドリッドにお引越ししたものの、諸事情によりスペイン内別居生活。
母は毎日がんばるよ!

かっこいいのか悪いのか・・・?

2007年02月24日 | スペインを知りたい!

実は密かにセビジャーナス(sevillanas)を習っている。

セビジャーナスはフラメンコの中でも最もポピュラーなもので、アンダルシア地方のセビージャの春祭りで踊られる、まぁ言ってみれば盆踊りのような踊りである。
色々な曲があるものの、そのリズムや曲の構成は決まっているので一度おぼえればもうどこのフェリア(feria  お祭り)に行ってどんな曲が流れても踊れてしまうのだ。

先生は日本人。
せっかくスペインに来てフラメンコを習うのに日本人の先生ってどうよ?と思ったりもしたが、その先生の踊りを見たらあまりのかっこよさに魅せられてしまい、即、弟子入りを決意したのだった。
先生は日本で社交ダンスを教えていらしたのだが、やはりたまたま日本でフラメンコの舞台を観て「これだわ~!」と運命を感じ、もう矢も楯もたまらず身辺を整理して一人マドリッドに飛んできてしまったのだそうだ。
言葉もわからず知り合いもいないのに無謀といえば無謀だが、すごい行動力。
それから18年。
プロのダンサーとしてスペインで舞踊団に所属し舞台をこなしながら日本人にフラメンコを教えて身を立てておられる。
そしてこの4月から日本で教室を開くために3月末で帰国予定。
先生にとってはおめでたいことだけど、私たちにとっては残念なことに期間限定の弟子入りとなってしまった。

ミーハーな5人のオバサンでセビジャーナスグループを結成。
毎回わくわくしながらメトロ1号線のアントン・マルティン(Anton Martín)駅近くのスタジオに通う。
あまり治安のよい地域ではないが、フラメンコのスタジオはこのあたりに結構集中しており、本気のダンサーたちのやる気モードを感じることができる。
オバサンの暇つぶしの域を出ない私たちではあるが、やっぱりフラメンコオーラの漂う人たちに混じって踊る、これが重要なポイントだと思うわけ。

しかし週に1度、2時間のレッスンはなまった中年のからだにはさすがにキツイ。
まずフラメンコ特有の手と指の動きをみっちり練習するが、腕のスジが引きつりそうになりあちこちで悲鳴があがる。
なにしろ踊りなんて実にピンクレディー以来である。
壁一面の鏡に映る自分の姿にも愕然とする。

けれど、気持ちイイ!
ババーンと床を踏み鳴らすとスカッとする!
これはよいストレス解消法を見つけてしまった。
2時間レッスンした後はもう汗だくのヨレヨレで、次の日はベッドから起き上がれない。
それでも気分爽快なのだ~。

少女時代、バレエに憧れて白鳥の湖のまねごとをしたりしたことがあったが、自分にはバレエはあまりにも似合わず、恥ずかしくてとても本気でやりたいなどと人には言えなかった。
その点フラメンコにはオバサンが踊っても許される雰囲気がある。
それどころか元々ジプシーの踊りなだけあって、水牛のようにガタイのいい貫禄のオバサンが妖気を噴出しながら踊る方が感動したりして。
とにかくこっ恥ずかしさが半分くらいで済むのがうれしいのだ。

「スペインでフラメンコを習ってました。」
かっこいいじゃありませんか。
帰国後にこんなセリフで決めてみたい。
でもこれ逆にすごく危険。
実際踊って見せたときに「・・・・・・。」微妙なリアクションをされたらすごく恥ずかしい。
日々精進するしかない。

魔女のいる町

2007年02月13日 | おすすめ~な観光名所

週末、チンチョン(Chinchón)に行ってきた。

マドリッドの南東約50~60kmに位置するこのかわいらしい名前の小さな町は、これといったものが何もないのになんだかとっても人気がある。



どこもそうであるようにやはり町の真ん中にはマジョール広場がある。
ここの広場は丸い。
夏場の週末には闘牛場に変身するのだとか。
その広場を3~4階建ての建物がぐるっと囲んでおり、みやげもの屋やバル、レストランになっている。
のんびり歩き、疲れたら(でも町が小さすぎて疲れるほど歩けない)バルで一杯飲んで休む。

人口4千人ほどなのに、結構子供が多く活気がある。
とにかく地元の人たちも観光客も犬も猫もみんなみんなこのマジョール広場に集まってくる。



名物のニンニクがあちこちで売られているが、大きなのが20個以上もネットに入っていて、いや~、いくらなんでもこんなにたくさん一度に買えない。
また、アニスという、香りと度数の強いお酒も特産だ。



レストランの2階席でランチをとりながら広場を見下ろしていると、ロバの行列が侵入してきた。
子供を乗っけて広場をグルグル回ってくれるのだ。
のどかだ~。
もう少し暖かくなったらテラス席でゆっくりランチしたい。
すごく狭いテラスなんだけど、それがまたいい。
モルシージャ(morcilla)という、ブタの血入りのソーセージがおいしかった。

みやげもの屋には魔女をモチーフにした小物がいくつか見られたが、なるほど、魔女がいてもおかしくない雰囲気がある。
ここだけ時間が止まったような、不思議な場所なのだ。
この日は雨。
でもこの町には雨も似合う。



なんだかあちこちでにぎやかな飾り付けがされていると思ったら、1週間後がカルナバル(carnaval カーニバル)で、マジョール広場が中世の出店でいっぱいになり、いろんな催しが行われるとのこと。
しまった、来るのが1週間早かった。





チャマルティンのメルカード

2007年02月05日 | おいしいコト

スペインでの生活にメルカード(mercado 市場)は欠かせない。
人々の徒歩生活圏内に必ずあり、彼らの食をググッと支えている。

15年前にバルセロナに住んでいたことがあるが、そのときの住まいはメルカードの隣にあった。
毎日まるで義務であるかのようにそこに通い、つたないスペイン語で泣きそうになりながら買い物をした。
近くのスーパーに行けば言葉を話せなくてもいくらでも買い物ができたのだが、それじゃあ女がすたると思っていた。
スペインのおばちゃんにしっかり混じって肉や魚を買う。
これこそスペイン生活の醍醐味だと。

サバイバル・スパニッシュとはこのこと。
生きてゆくために(大げさ?)食べ物の名前はまず最初に覚えた。
肉は、何の肉のどの部位を何グラムどのように切ってもらうかを伝えなければならない。
慣れるまでに相当時間がかかった。
けれどそのおかげで少しだけスペイン人の生活に触れることができた気がする。



そして今もマドリッドで相変わらずメルカードに通っている。
どこのメルカードもそれぞれに面白い。
その中で日本人に一番知名度が高いのが「メルカード・デ・チャマルティン(Mercado de Chamartín)」だ。
ここには大きな魚屋があって、新鮮なマグロが売られているのだ。

マグロの刺身といっても、日本のように四角いサクではない。
胴体を5枚に下ろした、つまり身の部分の4分の1がデデンと氷の上に乗っかっている。
そのでっかい三角の身を輪切りにして買う。
それを見て初めて知ったのだが、そうして輪切りにしてもらうと赤身の部分と脂の多いトロの部分が一度に味わえるではありませんか。
すごくお得感が。
それで1キロだいたい30ユーロ弱。
日本ではキロ単位で刺身とか買わないし、輪切りで買わないし、いったい高いのか安いのかよくわからないが、うまい。
日本の冷凍の刺身よりずっとずっとうまい。
サーモンも新鮮なので刺身でイケる。



難点はいつもすごーく混んでいることだ。
そのメルカードには他にも魚屋が何軒かあるのだが、マグロ屋だけが異常に混んでいる。
番号札を取ると、げげっ、40人待ちだ。
待ち時間に肉や野菜を買っておく。
スペイン人も結構マグロを買っている。
プランチャ(plancha 鉄板焼き)にするのだそうだ。
焼いちゃうんだ。
ま、それはいいけど全部買わないでよ、残しておいてよ。
いつも順番を待ちながら祈る。

無事マグロをゲット。
でもおいしそうなとこをスペイン人にごっそり持っていかれちゃって、ちょっとスジの多いしっぽの方しか残ってなかった。
まあいいか。
今晩はゲストを呼んで手巻きパーティーだ~!








ヒツジ公園

2007年02月01日 | 季節の風景

毎日車で通るルートの途中にとーっても広いカンポ(campo 野原)がある。
子供たちの学校へ行くときも、レンフェの駅に行くときもその前を通る。

この日も娘を乗せ駅に向かって車を走らせていた。
ロータリーを回りカンポの前に出たとたん、ギョエーと固まった。
いつも子供たちが遊ぶ野原になんとヒツジがいっぱい、いっぱい!

このカンポはモンテ・デル・ピラール(Monte del Pilar)と言って、車道に面しているあたりは、ボール遊びのできる広場や遊具のある公園、ローラースケートリンク、自転車道などが整備されちょっとした憩いの場となっているが、少し奥に入ると延々と松の林が続き、隣の市の境まで達している。
奥までウォーキングのコースがのびていると聞くが、怖くてまだ言ったことはない。
その奥の奥にヒツジの森があって、時々草を食べに車道あたりまで出てくるらしいと聞いたことはあったが、実際目にしたのは初めてでビックリした。
思わず車を路肩に寄せて停め、娘と降りてみた。



私たちが急接近してもヒツジたちはまったく意に介する様子はなく、一心に草を食んでいた。
一匹の大きな犬が、なんとなく僕はお仕事中なんだけど、という雰囲気で佇んでいた。
君はもしかしてヨーゼフではないの!?ヨーゼフー!!
なんかセントバーナードじゃないみたいだけど。
ヨーゼフはちゃんと仕事をしていた。
あやしい私たちを注視し、吠えて牽制してきた。
ぬぬっ、えらいじゃん。

まさかこのヨーゼフが一人(一匹)でこのヒツジの大群を森の奥から連れてきたのではないでしょうね、とよく見ると、ステッキを持った老人がいる。
彼が合図を送ると、ヨーゼフが「ヴォン、ヴォン」と吠え、それを聞いたヒツジたちは未練たっぷりながらも草を食べるのをやめてぞろぞろと森の方へ歩き始めた。
ヒツジの首につけられたベルがカランカランと音をたてていた。

そういえば用事があったので車を走らせていたわけなのに、結局ヒツジがすっかり森に消えるまで見てしまった。