スペイン母子家庭生活奮闘記☆毎日ドキドキ@マドリッド

夫の仕事でマドリッドにお引越ししたものの、諸事情によりスペイン内別居生活。
母は毎日がんばるよ!

ドイツ・スウィーツLOVE

2008年10月10日 | おいしいコト

ドイツのロ-テンブルクで出会った不思議な形のお菓子がある。

シュネーバルという。
名前の意味はスノーボール、雪の玉。
まあ、そんな感じのカタチをしている。



直径10センチほどの球体で、細切れのパイ生地をクシャクシャッと丸めて油で揚げたみたいな様子だ。
それに粉砂糖がまぶしてあったり、チョコやイチゴ味のクリームでコーティングしてあったり。

フォークでエイッと突き刺し揺さぶるとカサカサッと崩れるのでそれを寄せ集めて口に入れる。
思ったほど甘くないし油っぽくもない。
ただ、一人で一度に一個はちょっとツライかも。

ローテンブルクの名物らしく、町の至るところで売られている。
「それ」だけ、っていうお店もあるくらいだ。



ドイツは焼き菓子類がとても美味しかった。
どこでどんなケーキを食べてもはずれがなく、一切れがビックリするくらい大きいのに甘さが控えてあるのでペロッといけてしまう。
特にプラムやりんごなどのフルーツ系が焼きこんであるケーキは、フルーツの酸味と香りが絶妙で、日本の繊細なちっちゃいケーキとは違い見かけは大雑把で素朴なんだけど、どこか温かいしみじみとした美味しさだ。

旅行中あちこちで休憩してはケーキを食べた。
恐ろしいことだ。


初・闘牛の日 part 2

2008年10月08日 | スペインを知りたい!

いよいよ主役の闘牛士である、マタドール(matador)の登場である。
ムレタと呼ばれる赤いフランネルの布をさばいて牛をあちらへこちらへと走らせる。
もうこの時点で牛はかなり弱っている。
当たり前だ。
あんなに銛を打ち込まれているのだから。
なんてアンフェアな戦いなんだろうと思う。
馬に乗って上から槍で突いたり、何人もで寄ってたかっていたぶるなんて。
たぶんもう2度とこんな残酷なショーを観ることはないだろう。



ムレタを使った演技は、牛が絶命するまでの時間を含めて10分。
その10分間に闘牛士の持つ感性の美の表現を起承転結させるのだそうだ。

そして「真実の瞬間」。
牛と睨み合いながら闘牛士が静かに剣を構える。
凛と張りつめた空気がアレーナを包む。
一瞬の後、闘牛士の剣が牛の首の後ろにある隆起部の中心に深々と突き立てられる。
牛は心臓近くの大動脈を切られ、数秒後に膝から崩れ落ちる。



その演技と牛の死が美しければ観客は一斉に白いハンカチを振って主催者長に訴え、その闘牛士はご褒美に牛の耳をもらえることになっている。
つまり、いかに正確に牛の急所に剣を刺し、苦しませることなく逝かせるか。
そこのところにご褒美の耳がかかっている。
牛の耳の数はそのままその闘牛士のランク付けに影響する。
今までにいくつの耳をゲットしたかが闘牛士のプロフィールにしっかり記載されているのだ。



1頭目の牛は気の毒になかなか死なせてもらえず、最後は短刀で延髄を突き刺されて絶命した。
そしてすぐさま2頭の馬によってさっさと引かれて闘牛場の外へと運ばれる。
解体されて食肉となってしまうのだ。
2頭目、3頭目、ショーは続く。



1時間後。
どうしたことだろうか。
あれほど牛を想い涙し、来てしまったことを後悔したのにもかかわらず、気がつくと私は立ち上がって白いハンカチをブンブン振り回していた。
6回の闘いのうち最初の2回こそその残酷さに目を覆う瞬間があったものの、慣れとはかくも恐ろしいものか。
牛の気持ちなどそっちのけで私ときたらいつのまにか闘牛士の美しさにクギヅケ状態だったのだ。





実際闘牛士たちは皆、美しい。
頭が小さくて脚がスラリと長い。
お尻がプリッ!と上がっている。
赤いムレタを翻すポーズはまるでバレエを観ているようだ。

命と命が行き交い闘う真剣勝負の張りつめた緊張感の中から生まれるこの美しさといったらどう表現すればよいのだろう。
ただ牛をなぶり殺しにする残酷なショーだと思っていたことが、なんだかもったいなくさえ感じられてきた。



闘いを終えてホッとした笑みを浮かべアレーナを一周しながら観客に手を振るマタドール。
演歌歌手のようなスパンコールがキラキラ。
いや~、カッコイイわ~~。

牧畜農業の豊穣を祈願しての、神に牛の死を捧げる儀式である闘牛。
このスペインの伝統文化が伝説になってしまう前に、とりあえず一度来られてまあよかった。
観ずしては語ることができないから。
けれどやっぱりたぶんもう観ることはないだろう。
それでもただただ残酷なだけではない闘牛の魅力を少しだけ感じてちょっと興奮したまま闘牛場を後にした。