ナノテクノロジーニュース

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世界最小のトランジスタ

2012-02-22 | 報道/ニュース

南ダコタ州立大学などの研究グループの成果は、今朝の朝日新聞にも小さな記事が掲載されていたが、ニューヨークタイムスなどアメリカの新聞には「単原子トランジスタ」などの表題で大々的に報道されている。トランジスタのサイズが2年間で半分になるというムアの法則(8/18参照)があるが、この法則が破られるかもしれないという表題の記事にもなっている。

トランジスタ(10/10参照)は、ベース、ゲート、トレインという三つの電極があって、ベースとゲートとの間に信号を加えることによって、ベースとトレインとの間の抵抗を変化させる。現在用いられている半導体トランジスタでは、半導体の中での電子の流れを制御して目的を達している。新しいトランジスタは、シリコン結晶表面上の1個の燐原子に電子を加えたりする取り去ったりすることによってその目的を達する様、巧妙な工夫を加えたものである。

現在インテルが作成するコンピュータ用チップは、約30億個の大きさ32ナノメートルのトランジスタで構成されている。燐原子の大きさは0.1ナノメートルであるから、この方式が現在のコンピュータに適用出来ると、その性能が格段に進歩するであろう。量子コンピューター(10/13参照)は、原子の電子状態を記憶に使うことになるから、この研究は量子コンピューターへの新しい道を開くかもしれない。

現在のところ、このトランジスタはきわめて低い温度でしか動作しない。しかしながら、この研究がきっかけとなって”単原子トランジスタ”の研究が進展するであろう。


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