3Dプリンターとは、コンピューターに記憶させた設計図をもとに、立体的な構造を作り上げる装置である。通常は、樹脂を流してそれにレーザー光を照射して硬化させるという動作を繰り返す。種々の3Dプリンターが市販されている。
最近、ウィーン工科大学の研究グループは、ナノスケールの立体構造を高速で作り出すことが出来る3Dプリンターを開発した。医療器具などへの新しい応用が開けたという。
http://www.nanitenews.com/research/3-D_printer_with_nano_precision.asp
この研究グループは、重合によって硬化する単分子の樹脂を用い、かつ重合を2光子吸収によって起こるようにした。樹脂が1個のフォートン(光子、11/18,19参照)を吸収しても重合せず、2個のフォートンを吸収すると重合するようレーザーの波長を選ぶ。2光子吸収はレーザー光強度が高くないと起こらない。したがってレーザービームの中心部数百ナノメーターの範囲でしか重合が起こらない。また、硬化が重合によって起こるため、従来のように硬化した膜に特別な加工を施す必要がない。さらに、レーザー光を導く鏡の動作に工夫したという。
レーシングカー製作のビデオを示すが、実際製作に要した時間で撮影されたものである。矢印間の距離が0.05mmである。樹脂がかぶせられ、それが硬化していく様子がわかる。約4分間に約100層の樹脂が積み重ねられて、各層ごとに平均200本の線が引かれたという。
http://youtu.be/5y0j191H0kY
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